七夕の短冊(2)
3日後、そのスーパーに行くと短冊が吊るしてあった笹は無くなっていた。まぁ七夕も終わったから無くなったことには疑問は湧かない。七夕はあくまで行事の一環であるから終わったら撤去されるのは普通だろう。七夕の短冊を店や従業員への意見として残す客はいないだろうし。
いや、いたな。私は思い出した。トマト欲しいと書く人を。結局あの人はトマトを手に入れられたのだろうか。短冊に書くくらいだ。よほどその日はトマトが欲しかったのだろう。トマト、トマト、私はトマトが頭の中から離れられなくなってしまった。
これは買わずにはいられない。私は野菜コーナーに向かいトマトをカゴにいれた。その後スーパーを1周し元々目当ての食品などをカゴに入れレジに向かった。いつものように電子マネーで払いサッカー台に向かった。サッカー台にカゴを置き、持参したエコバッグにカゴから買った食材類を取り出して入れる。カゴが空になったことを確認してからカゴを片しスーパーを出た。
その日の店の閉店後、スタッフルームでは以下の会話があった。
「店長、今日もトマトの売れ行きがいいですよ」
「そうか、それはなによりだ」
「やっぱりアレのおかげですね」
「そうだな。短冊効果だな。いや、良かった。短冊にトマト欲しいって書いて」