表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/46

夏目 晴斗3話 残念すぎる

「行ったことがない場所か……」


晴斗は少し頭をひねった。そもそも「行ったことがない場所」というのは、具体的にどう定義すればいいのだろうか?思い出せる限りでは、大学構内は自分の職場であり、毎日歩き回っている場所だ。


「んー、ここは全部『行ったことがある』判定になるのか?」


職場である以上、大学構内は行ったことがある場所だ。しかし、細かく言うならば自分が担当している建物以外にはあまり入ったことがない。

だが、建物の外観や内部を知っている以上、完全に「行ったことがない場所」と言い切れるわけでもない。


「他の建物の屋上はどうだろう?」


晴斗はふと思いついた。確かに、他の建物の屋上には行ったことがないし、見たこともない。大学構内全体では行ったことがある範囲だが、屋上のピンポイントで考えると、それはまた別の話だ。


「フォールドゲート」 すでに聞き飽きるくらいに唱えた言葉を再び唱えた。目の前の空間が歪み始める。期待を胸に、晴斗は一歩前へ踏み出した。しかし、次の瞬間、目の前に広がっていたのは、見慣れた自分のデスクだった。


「あぁ……ダメかぁ……」


晴斗は思わずため息をついた。どうやら、ピンポイントで行ったことがある場所でなければならないらしい。だとすれば、「行ったことがある場所」の定義はなんだろうか?


「逆に行ったことがある判定って、どういう基準になるんだ?」


日常的に通う場所でも、細かいところまですべて覚えているわけではない。ましてや、普段行かない場所ならなおさらだ。


例えば、普段行かない屋上ならどうだろう?基本鍵が閉まっているので開けた時以外はノブチェックをする程度でわざわざ屋上に出ることはほとんど無い。


頭の中でその場所を思い浮かべてみる。「フォールドゲート」 再び唱えるが、目の前の光景は何も変わらなかった。

「あら、だめか」 どうやら、一度行った場所でも、その場所を細かくイメージできなければならないらしい。


「となると、行ける場所なんて限られてくるよな……」


晴斗は頭を抱えた。今行けるであろう場所を考えてみると、家、実家、職場、通勤に使う道ぐらいしか思いつかない。


「うーん、グーグルアースや写真はどうなんだろう?」


ふと考えが浮かぶが、グーグルアースで映っている場所は人がいる可能性が高い。移動できても、見つかるリスクがある。


「とりあえず、屋上の写真を撮って試してみるか」


晴斗は携帯で適当に何枚か写真を撮り、それを見ながら再度チャレンジしてみる。

「フォールドゲート」 再び空間が歪む。今度は成功した。晴斗はその場に立ち尽くし、驚きと興奮が混じった表情を浮かべた。


「おっ!行けた!」 どうやら、明確にイメージすることが重要で、写真や映像がその補助となることもあるらしい。


「でも、ここまで分かったはいいけど、微妙に使い道がないなぁ」


晴斗は首をかしげた。人に見つからないことを前提にすると、職場から家に戻るときくらいしか使い道が思いつかない。確実に人がいない場所や時間が分かれば便利だが、現実はそう甘くはない。


「清掃が出勤早すぎるんだよ……」


最初は屋上が良いと思ったが、周囲に高い建物があり、丸見えになってしまう可能性が高い。さらに、扉には鍵が掛かっているため、結局別の場所に移動しなければならない。

屋上がダメならトイレと考えたが結局人がいたら使えない……。


「こりゃ無理だな……」

晴斗は天井を見上げ、期待外れの結果に落胆するしかなかった。




皆さんだったらこの能力どうやって日常生活に組み込んで楽しく生活しますか?

人に見つからず密かに自身の生活向上として使おうと思うとなかなか難しいです。

もし面白いと思っていただけたらブックマークか高評価よろしくお願いします!

それだけでやる気が嘘みたいに込み上げてきます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ