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異世界ジパング戦記 ~いつか世界へ~  作者: 華研えねこ


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9/9

登用試験(中)

昔語りを始めましょう……。

試験という形式とはいえ、そもそも太郎佐を雇うために中立性を保つための試験であり、高崎の腹づもりは太郎佐は雇う、という方針で既に決まっていたのでございます。しかし、それを知るのは目下高崎満豊のみ、太郎佐やその家臣である南川や芝田は太郎佐に陳情し、太郎佐は右往左往するのでございました。

それでは、本日もとくとご覧あれー……。

「と、いうわけで御座います、若」

「……何が?」

 高崎家本城内の大隅家に割り当てられた屋敷に於いて、太郎佐は南川と芝田から”いつものように”陳情を受けていた。

「とにかく、日がありませぬ。小姓登用試験まで概ね七日少々でございますが故」

 この「七日間」、正確には八日後の正午に試験があるのだが、それは事実上高崎満豊が大隅太郎佐のために与えた機会であった。つまりは、ある程度合格の約束がなされていたものであったが、あまりにひどい成績を太郎佐がとってしまった場合、それが「なかったこと」になりかねないため、一応アリバイ作成の準備だけはしておけ、という意味であった。

「……その、「七日少々」でなにをせよ、と?」

 ……問題は、それであった。何せ、七日間しか日がないということもあったが、一番の問題は太郎佐にとってこの試験自体が寝耳に水というべき事態であったからだ。彼もかろうじて事態を把握したのか、あるいは考えることをあきらめたのかおうむ返しに聞き返した。

「まずは、登用試験に合格する必要がございます。小姓の仕事は登用後に覚えればよろしゅうございますので、まずは試験対策を行いましょう」

「……例えば?」

「まず、読み書きは必須でございますし、算盤の方も覚えておいて損はありませぬ。……まあ、若の場合はどちらも心配はなさそうではございますが、問題は若は人の目を見れませぬからなあ……」

 ……それこそが、太郎佐の目下の悩みであった。原因は不明だが、彼は人の目をまともに見ることが難しい、という特性を持っていた。まあ尤も、目下が目上の目を見る行為も、また逆に目上が目下の目を見る行為も、それなりに状況は限られてくるのだが、その「特定の状況」でそれができないのは、かなりややこしい事態になりかねなかった。

「うぐっ。……しょ、しょうがないじゃない、こればっかりは」

 他にも、空気が読めなかったり体術が苦手だったりする太郎佐であったが、彼は思いもよらぬ方法での解決を図ることとなる。

「しかし……。そ、それならば胸元を見るのはいかがでしょうか。それならば、直接目を見れなくとも問題はありませぬ」

「……まあ、そうなるよね……」

「さらに言えば、若はあがり症ですからな……。直談判の試験において、対策を練っておいて損はないでしょう」

「う……。……ほ、ほかには?」

 ばつが悪そうに話題をそらそうとする太郎佐。だが、それを聞いた家臣は待ってましたと言わんばかりに致命的な情報を告げた。

「若の場合、筆記試験は問題なくこなせると思いますが、問題は実技試験ですな。最悪、実技試験でよい成績を取れれば直談判の試験で下手を打っても大過なく合格できると思いまする」

「実技試験?」

「はい。小姓たる者はいざ戦場で敗勢に傾いた際に大殿の護衛となって散ることも求められまする。無論、大隅家の跡取りたる若の場合、そこまでの状態になるとは思えませぬが一応、試験としてございます」

「えー……」

 かくて、太郎佐の七夜漬け試験対策が始まった!

それでは次回、「登用試験(後)」。ご期待戴ければ、幸甚の限り。

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