ペンギン三兄弟 〜 28話 おおきなカオ の巻
ペンギン三兄弟
チャン・・・性格は几帳面。声がいいが顔がデカい。
サングラスをかけている。つぶあんが大好き。
ドン・・・体はちっちゃいが、器用に何でもこなす。
収集癖あり。
ゴン・・・ド天然。普通のことが超不器用。
日々体を鍛えてる。ゴジラが大好き。
ダミオ・・・近所の猫。鳴き声がダミ声。
ペンギン三兄弟、チャン、ドン、ゴン。
今日も仲良く暮らしています。
チャンとゴンが庭でキャッチボールをしていました。
チャン「ゴン、いくぞー」
ゴン「いいよー」
チャン「えいっ」
チャンの投げたボールは、山を描き、ゴンのミットにきれいに収まりました。
ゴン「チャン、いくぞー」
チャン「おお」
ゴン「ほいっ」
ゴンの投げたボールは、山を描き、チャンの頭上をはるか高く越えて、飛んでいきました。
チャン「おい、飛ばしすぎだよ」
ゴン「ごめん、ごめん」
チャンは、ボールを追いかけて、庭の端まできました。
ボールは、庭の柵の向こう側に転がっていました。
がんばって手を伸ばせば、届きそうな距離でした。
チャンは、柵の間から手を伸ばして、ボールを取ろうとしましたが、
あとちょっとだけ届きません。
チャンは、さらに身を乗り出して手を伸ばしました。
チャン「あ、取れた」
チャンの手がボールを握った瞬間、
チャンの頭が柵の間をすり抜けていました。
チャン「あ、やば」
チャンの頭が柵にはさまって抜けなくなってしまいました。
チャン「ゴン、助けてー」
ゴン「あーあ、何やってんだよ」
チャン「顔が抜けなくなっちゃったんだよ」
ゴン「ばっかだなあ、チャン」
チャン「いいから、なんとかしてよ」
ゴン「どうしたら抜けるかなあ?引っ張ってみよう」
チャンの体をゴンがつかんで、よいしょっと、引っ張りましたが、チャンの顔はぬけません。
ゴン「ひとりじゃダメだな。おーい、ドン、手伝ってー」
ドンが庭に出てきました。
ドン「どしたの?」
ゴン「チャンの顔が挟まっちゃってさ」
ドン「あらら」
ゴン「一緒に引っ張ってくれる?」
ドン「いいよ」
チャンの体をゴンがつかんで、
ゴンの体をドンがつかんで、
よいしょっと、引っ張りましたが、
チャンの顔はぬけません。
ドン「こまったなあ」
すると「ギャオーン」と猫のダミ声が聞こえました。
ゴン「あ、ダミオも手伝って」
ダミオ「ギャオーン」
チャンの体をゴンがつかんで、
ゴンの体をドンがつかんで、
ドンの体をダミオがつかんで、
よいしょっと、引っ張りました。
すると、ポンッとチャンの顔が柵から抜けました。
チャン「イッターい」
チャンは涙目で、真っ赤になった顔を両手で押さえています。
ゴン「あーよかったー」
ドン「抜けたねー」
ダミオ「ギャオーン」
チャン「無理矢理引っ張ったら痛いよ〜」
ゴン「引っ張らないと抜けないでしょ」
ドン「ダミオが通りかかって助かったよ」
ダミオ「ギャオーン」
ドン「みんなで力を合わせれば、なんとかなるもんだね」
ゴン「まったく、チャンは顔がデカいんだから気をつけろよな」
チャン「おいおい、ゴンが変なボール投げるから、こうなったんでしょうが」
ゴン「あれ?ボールは?」
ボールは、柵の向こう側に転がったままです。
ダミオ「ギャオーン」
ダミオがスタスタと柵の間を通り抜けて
ボールをくわえると、
また柵の間を通って戻ってきました。
ゴン「ダミオ、サンキュー」
ドン「こりゃダミオに完敗だね」
ダミオ「ギャオーン」
踏んだり蹴ったりなチャンなのでした。
おわり