うさ、トラ、狐、、、ベアー?
ムシャムシャと言うか、ズルズルと言うか、気が付けば俺は何かを食っていた。
頭がまだぼんやりとしていて、はっきりしない。
『あー、どこだここ?』
見渡すと知ら・・・ない部屋だよな?
見渡す? 今、俺はどうやった? 自分自身に、何かそこはかとない違和感を感じる。
視点が低い? 自分より上側が全部見えている・・・・這いつくばって、見上げているのか?
いや、しかし、ゴリゴリと体の下でまだ何か食べているし・・・・。
「コラー! やめてやめてやめて!! あたしの体を食べないでー!!!」
ん? すぐ上に何か飛んでいる。
『えーと、コオロギの妖精?』
言葉にしたつもりだが、音は何も出ていない気がする。俺は話せないのか?
「ちっがーうっっっ!! 誰がコオロギよっ!!!!!」
なんだ違うのか。
というか、あれ?
『えっと、ベル?』
「そ、そうよ、、なんであんたが知ってるのよ! なんて、そこはどーでもいーから食べるのやめてぇぇぇぇ!!!」
『悪い、手遅れみたいだ』
「いやぁーーーーーーーーーっっっ!!!!」
なんとかベルを宥めて、話を再開する。
そうだ、のんびりはできない。
あのクソ姫に復讐してやらないと!!
2度としくじるわけにはいかないんだ。ボーナスは一回のみだったのだから。
しかし何ができる?
どうやら俺のシースルーの体では、魔核とやらが丸見えのようだ。
いくら何でも弱点わかりやすすぎだろ、コレ。
むぅぅ。
とりあえず武器になりそうなものは・・・・そんなものはなさそうだ。
さて、どうしたものか。
『なぁベル、魔法って俺にも使えるのか?』
「さぁ? 魔力は大きいから、あとはイメージ力さえあれば使えそうだとは思うけど???」
イメージ力?
とりあえず、ベルの説明では、イメージしたものを魔力を使って実現化するのが魔法だと言う。
イメージした内容と、魔力が釣り合えば、力を行使できるらしい。
いくらイメージできても、それに見合う出力がなければ具現化せず、逆に魔力があってもイメージが貧弱であれば大した力は発現できない、と。
ふむふむ。
とりあえず、頭の中にマッチを思い浮かべてみる。
最初のスライム生の時に使ったように力を籠める代わりに魔力を籠めてみると・・・。
ぼっ。
と小さな灯が体の端に灯った。
いや、そこらあたりが俺の中では指先なのかもしかして。
それはともかく、実験は成功だ。火が付いた。
ならば、今度はガスバーナーのイメージで・・・。
シュボボボボ!!!
「きゃ! なになに! 突然変な火を出さないでよね!」
『すまん、すまん、しかし変な火って』
「え、だってなんか青いし?」
あー、青い火、見たことないのか。
この世界の火は全部赤いのかな?
ほんとに元になるイメージ次第なんだな・・・・となると、あとはアレかな。
『ベル、壁にある着ぐるみなんだけど、どれか借りてもいいか?』
「ほへっ? たくさんあるから1つくらいは貸してあげてもいいけどぉ、・・・スライムが服着るの?」
『着ぐるみを服といいはるか・・・いや、そのとおり、着るので貸してくれ。裸は恥ずかしい』
「変なスライムぅ!! いっこだけだからね!」
はいはい、っと。
アレを着とけば、ぱっと見、スライムとは思えないし、弱点まるさらしも防げるだろうし。
いや、しかし、どれにするかね。
どれを選んでも被り物には違いないんだが・・・兎っ娘、虎っ娘、狐っ娘、今のベルを大きくしたようなコオロギっ娘も居るな。
・・・って、おいコラ。
『ちょっとマテ、なんで全部女の子体形なんだ?』
「ひどっ! あたしが女の子以外のなんだってゆーのよ!!!」
『ああ、いや、そうか、ベルの“服”なんだっけな、は、ははは(汗』
ちっ、背に腹は代えられないとはいえ、・・・きついな。
むぐぐ、我慢我慢。
『そうだな、・・・・このピンクのクマ(?)が比較的ましか、これを借りるぞ』
フリルのひらひらしたパーツとか羽とか余計な物が付いてない分、まだ我慢できそうな感じだ。
・・・右手のグローブに黒熊と、左手のグローブに白熊の刺繍があるのに目をつむればな。