〜夢〜
夢を見た。
深くて浅い眠り。
夢を見るのはそんな時の様な気がする。
今度の夢は前と違っていた。
当然といえば当然だった、同じ夢ばかり見るはずはないのだから。
その夢はなんだか懐かしい感じがする部屋から始まった。
天空にそびえ立つ塔の一室で目を覚ました私は勢いよく外へと駆け出し天へと飛び立つ。
私の背中には片翼の白い翼があり空を飛び地上を目指す。
地上に降り立った私の瞳に映るは地獄の様な風景と、その中の世界では異質な鮮やかに咲き誇る花のような植物のある平原だった。
私は翼を翻し平原に降り立つ。
そこには古き時代の友がいた。
彼女は白い長い髪に赤と黒の服を着込んでいた。
あったこともないはずだが私は彼女のことをよく知っている気がした。
だが、彼女の顔には黒い何かがかかり、鼻から上の表情は読み取れない。
私と彼女は花の咲き誇る楽園の様な場所で遊ぶ。
と言っても何気ない話をしたり、じゃんけんしたり、二人で鬼ごっこするだけの子供時代の遊びをするだけなのだが。
私はその行為が凄く楽しくて時間がたつのも忘れるほどだった。
私は彼女の名前を聞こうとしたが、口パクの様で聞こえない。
まあ、夢の中の話だ、自分が作ったキャラなら自分が名前をつけない限り、名前などないのだろう。
だんだんと夜に近づき夕方となる。
彼女を家へと送るため私は翼を翻し、彼女の手を掴んで空を爽快に駆け抜ける。
彼女の家は大きなお城で、従者の様な人たちが慌てふためいた様子で彼女を囲っていた。
私はなんだか悪い気分になりながらも自宅へと飛ぶ。
私が天空の塔へと帰ると、布団に入り睡眠へと入る。
結局彼女の名前も顔も分からなかったが、いい夢を見たと思う。
彼女の寝言を聞く者がいる。
「カルシャ...やっぱり、お前が.....」
カルシャの部屋に侵入している。
彼はカルシャの手を見る。
先日の火傷が痛々しい跡になり残っているが、彼女が睡眠していると少しずつだが修復されていく。
普通ならありえない自動回復能力だ。
異常な回復力で何かを察する彼だったが、何をするわけでもなくその場を後にした。