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イケメンな女の子!

 天谷沙耶(あまやさや)は“一目惚れ”という言葉が好きではなかった。

 それは、その人を容姿だけで判断しているから。

 人を外見だけで判断しルックスだけを見て、内面なんて関係無い。


 そんな事で人を好きになっても、恋は上手くいかない。


 一目惚れは本物の好意ではないというのが沙耶の中での常識であり、ポリシーのようなものだった。

 彼女は恋愛ドラマを見たりマンガを読んだりするのが好きで、素敵な恋愛と呼ばれるような体験をしてみたかった。

 しかし、創作であっても一目惚れがきっかけで始まる作品は好きになれず、気分が冷めてしまう。

 逆にヒロインがピンチの時カッコいい王子様が助けに来るストーリーは特別好みで、うっとりとしてしまうのだった。

 それが一目惚れと何の差があるのかは本人でも分かっていないことで。

 何が違うのか、上手く言葉に出来なかった。

 きっと、わざわざ自分の為にエネルギーを使ってくれているからセーフなのだろうと無理矢理納得している。

 人助けは、やろう!と考えて行動するまでが大変という認識なのだ。


と、天谷沙耶は恋愛について長々と語れるくらいには持論を持っているのだが、彼女自身今までキスはおろか異性と手を繋いだことも無い人間だった。

 勉強も運動も出来ない彼女は自信が無く、異性に相手にされないのである。

 女子校に進学することになった彼女は、ますます異性と接する時間がないと考えていた。


 しかし、人生は不思議なもので。


 あれだけ嫌悪していた“一目惚れ”を、ピンチから救ってくれた“王子様”にしてしまう、そんな創作のような経験をしてしまったのだから。





 白百合学園に通い始めて3日目の4月10日の朝。

 皺1つ無い真新しい制服に身を包んだ天谷沙耶は、混雑した電車の中で声にならない叫び声をあげていた。

 雲1つ無い春の空とは裏腹に、真っ暗な雨曇が彼女の心を覆っている。

 平日の朝の電車の中は超満員で、席に座るどころか吊革に掴まって他の人に寄りかからないようにするのが精一杯な状態だった。

 この時間帯の車内は白百合学園だけでなく付近の高校や大学、加えて会社へ通う人でごった返している。

 4月も序盤なのに、少し蒸し暑く感じるくらいには。

 むしろ、夏のように冷房がかかってないだけ、暑く感じるのが現状だ。

 それは服装が正制服ということも影響していた。

 しかし彼女は、暑さや車内の混雑さに心を曇らせているわけではない。

 ましてや、座りたいと思っているわけでもなかった。

 いくら体力が無いと自負している彼女でも、在来線5駅立っていられないほどの虚弱体質ではない。

 彼女は中学時代テニス部に所属していて、下手なりに運動する機会の多い日々を送っていた。

 朝早くに起きて朝練に参加して、暗くなるまで部活に参加する日々だ。

 では、彼女の心が曇っている本当の理由は何か。


「やだ、また、触って……」


 それは、彼女の体を無許可に触る――所謂痴漢のせいだった。

 下半身を後ろから触られる不快な感触に、彼女は顔を歪める。

 右手で鞄を持ち、左手で吊革を掴んでいる今の体勢は完全に無防備であり、それにも関わらず、電車が目的地の駅に着くまで立ち続けなければならない。

 誰のかも分からない手が、下半身や背中をなぞったり触ったりする度に吐きそうなくらいの不快感に襲われ、鳥肌が立つ。

 辛い、止めて欲しい、声を出して「止めて下さい!」と叫びたい。

 そんなことを考えながらも、もし誰も助けてくれず見て見ぬふりをされたら、味方のいない自分はもっと酷いことをされるかもしれない。

 そんな考えも頭にあって、抵抗できなかった。

 そもそも抵抗しようとしても、得体も知れない恐怖に支配され体は動かないのだが。

 まるで、金縛りにでもあったかのように、体も口も動かない。

 彼女が痴漢に遭うのは今日が初めてではなかった。

 3日前の4月7日から、白百合学園に通うために電車に乗り始めてから毎朝触られているのだ。

 中学時代まで徒歩通学だった沙耶は電車で通学という経験が無かったので、最初は偶然手が当たっただけだと思っていた。

 しかし、その手は明らかに悪意が込められ、どこか楽しんでいるように沙耶の体を触ってきた。

 そこで彼女は確信する。

 痴漢に遭っていると、知らない人に体を触られているのだと。


「ひゃぁぅっ!!」


 そんなことを考えている時、急に太腿を撫で上げられ思わず素っ頓狂な声を出してしまった。

 いきなりの生温かい指と肌の触れ合いに、体を大きく揺らしてしまう。

 そのせいで、前に立っていた中年女性に睨まれてしまった。

 小心者の沙耶はその視線に萎縮し、体を動かさないように目をギュッと瞑って痴漢行為に耐えるしかなかった。

 今の彼女には選択肢が無く、自分さえ我慢すれば……と考えるしかできなかった。

 しかし、助けを求めていたことも事実である。

 大好きだった祖母の影響で、神さまは必ず力無き者の味方と信じている沙耶は、半ば諦めながらも必死に祈り続けた。

 勉強も運動も出来ない。

 かといって大した特技もない。

 そんな平凡以下な自分には、神様は味方してくれないのか。


(神様なんかじゃなくても良いから……誰でも良いから……助けて……!!)


 そう強く願った瞬間のことだった。



「この人痴漢です!!」



 張りのある大きな声が車内に響き渡った。

 それまで談笑をしている人たちで賑わっていた車内の時間が止まったような、そんな静けさに包まれる。

 後ろを振り返ると、沙耶と同じ白百合学園の制服を着た少女が、痴漢と思われる人の腕をしっかりと掴んでいた。

 沙耶と同じ正制服の彼女は、毅然とした態度で少しも委縮することなく男の腕を掴んでいる。

 時が動き出した車内はすぐにざわざわとし始め、次の瞬間には周りにいた乗客によって取り押さえられた痴漢の野太い呻き声が車内に響くことになった。

 当事者であるはずの沙耶が一番その状況を理解できておらず、その様子をただ、ぼーっと見つめることしかできないほどだ。

 気付けば降車駅に到着しており、危うく乗り過ごしそうになりながらもドアから飛び出す。

煙に巻かれたように混乱していた沙耶だったが、あの瞬間だけは鮮明に記憶に残っていた。

 自らを救済してくれた声はとても力強く、凛としており、しっかりと耳に残るような、永遠に心へ響く、そんな声だった。

 その声の持ち主は背に関して言えば沙耶と同じくらいだったが、比べものにならないくらいに顔が整っていると彼女は感じていた。

 その感情を形容するならば、沙耶の心を射殺するような感覚。

 もちろん比喩だが、それほど強烈な感情であったのだ。

 これが一目惚れだろうなぁ、と悟ってしまうほどに。

 今まで、周りの女子が“カッコいい”と呼んでいる男子を見てもこれ以上の感情が起こった覚えはない。

 テレビで歌って踊るアイドルや、恋愛ドラマを演じる俳優をも超える感情だった。

 沙耶を救った少女は、今まで見たどんな人よりも素敵で、俗に言うところのイケメンに見えた。

 

 その後、駅員に構内にある交番に連れて行かれ、私はここ最近の被害状況について話した。

 何でもこの時期は特に車内が混雑し、痴漢被害も多いらしい。

 そして、沙耶を助けたあの少女についての話になったが、彼女自身名前どころか見覚えもないので証言のしようが無かった。

 それから痴漢に関する質問が2,3聞かれ、沙耶は解放された。

 駅の改札を出た沙耶は、この3日間痴漢被害に遭っていた陰鬱な下車とは打って変わって清々しく、背伸びをすると体にパワーが充電感されるような晴れ晴れとした気持ちに満たされていた。

 あの少女はどこに行ったのだろうか。

 白百合学園の制服を着ていたので、この駅で降りているはずである。

 電車の中では上手くお礼が言えなかったので、少女を探すために周囲を見渡す。

 交番で足止めをくらっていた分、あの電車の乗客とは時間的なズレが生じている。

 そもそも駅全体がごった返していて、特定の1人を見つけることは不可能だった。


「まぁ、タイの色が同じだったしすぐに会えるよね」


 白百合学園はタイの色によって学年を分けており、1年生は例外なく赤いタイを身に付けている。

 一瞬だったが、その少女が同級生であることは見逃していない。

 沙耶は学校に向かいながらも、無意識に電車での情景を脳内で再生していた。

 少女の凛とした声は、沙耶の頬を赤く染めさせて鼓動を速くさせる。


「あんなにカッコいい子がわたしと同じ学校にいるんだよね……」


 これから3年間の白百合学園での生活が楽しみになり、スキップにも似た駆け足で沙耶は改札へと向かうのだった。





「おはよー!」


 朝の出来事のお陰でテンションが上がっている天谷沙耶は、それはもう明るいという次元を通り越した元気な声で自らの席の隣に座っている霧崎棗(きりさきなつめ)とその親友である星瀬川瑠衣(ほしせがわるい)に声をかけた。


「ふっふ~」


 楽しそうに鼻歌を披露しながら、スキップで席に着く沙耶を、2人は茫然とした表情で見ている。

 それもそのはずだ。

 昨日、一昨日と痴漢にあっていたせいで棗と瑠衣がいくら話しかけても、そうだね…、だとか、本当だね……、などとしか口にしていなかった。

 そんな人間に朝から元気100%の挨拶をされる。

 2人は完全に困惑し、昨日今日のあまりの変貌ぶりとその快活な声に気圧され、


「お、おはよう……」

「おはよ……」


と、若干引き気味に挨拶をする。


(ねぇ、なっちゃん。天谷さんどうしたのかな?)

(知らないわ……瑠衣。ただ、春だなぁって思ったけど)

(それは流石に失礼じゃないかな……)

(私には理解できないわ)

(昨日までとテンションの差がありすぎだよ……)

(これは私の推測だけど、天谷さんって元々はすごく明るい性格なの。でも、何か大きな悩みがあって昨日まで落ち込んでいた。それが昨日の放課後、もしくは今朝に解決して元通りになったってところじゃないかしら)

(おー、なるほどー。流石、なっちゃんだね! 探偵もビックリの推理だよ!!)

(いや、あくまで推測だから……瑠衣ったら褒め過ぎ)

(そうかな? 至極真っ当な評価だと思うけど)

(ぅ……なんか恥ずかしいわ)

(でも、ここまで来ると2重人格という線も考えられるね)

(2重人格?)

(そう2重人格。ホラ、よく漫画とかであるじゃない)

(つまり、明るい天谷さんと暗い天谷さんがいるってこと?)

(そういうこと!多分、明るい天谷さんは人当たりも良くて優しい人。反対に、暗い天谷さんはクールで損得勘定だけで動く人)

(瑠衣の想像力が豊かなのは分かったけれど、普段の生活でそれを切り替える意味はあるのかしら)

(ハッ、もしかして天谷さんは私たちを混乱させて騙そうとしているんじゃ……)

(勝手に人を悪者扱いしてはダメよ……瑠衣)


 限りなく小声で会議という名の雑談をしながらも2人は注意深く沙耶を観察する。

 入学して3日目の教室は、周りの人と馴染めていない生徒が多いのか、それほど騒がしくなく、テンションが異常に高い沙耶はすごく目立っている。

 事実、教室にいるほぼすべての生徒が彼女の方を向いている。

 近くにいる、それだけの理由で注目されている棗と瑠衣にとって何十もの視線は少々恥ずかしいものだった。

 2人の会話もクラスメイト達からの不審な視線も完全に気に留めることもなく、購入したての教科書を嬉しそうに机へと放り込む沙耶。

 本が机の底に当たる音さえ楽しそうに聞こえる。


「えへへ……かっこよかったな………うふふ……」


 今朝助けてくれた少女のことを妄想すると身悶えてしまうのだ。

 それは傍から見れば完全に危ない人であり、棗だけでなく沙耶を注目している人間のほとんどが、春の訪れを感じていた。

 しかし、そんな視線を気に留めない妄想少女は机をどんどんと叩いてみたり、頬に両手を 当て恥ずかしそうに首を振ったりと、奇行をとり続けている。

 この場に警官がいれば、まず間違いなく職務質問をするだろう。

 最悪、任意同行すらありえるかもしれない。

 オブラートに包まず言えば、とても危ない人である。

 流石にクラスメイトが不審者扱いされて、通報されてもいけないので棗と瑠衣は彼女とコミュニケーションを取ってみることにした。


「あのー、天谷さん?」

「えへぇ……なぁに?」

「いや、えへぇって…………な、なんだかお楽しみのところ悪いのだけど、今朝何か……その、楽しいことでもあったのかしら?」

「うん!! あは、あはははっ!」


 棗は目の前にいる少女は実は薬物中毒なのではないか、という可能性まで示唆してしまった。

 怖い映画に出てくる、薬に溺れた殺人者を想像する。

 ナイフでも持っていれば完全なハマり役で見事大抜擢だ。


「実はねぇ……えへ、えへへ…」

「う、うん……」


 思わず身構える棗と瑠衣に沙耶は今朝の出来事を説明した。

 途中かなりの美化されている表現や感情的で擬音満載の言葉のオンパレードになっていたが、何とか棗と瑠衣は、『昨日まで痴漢の被害にあっていて、今日も痴漢にあったが、白百合学園のイケメン(沙耶談)な同級生に助けられた』と、最低限のことは理解することができた。

 それなりに頭の良い2人でも、テンションが異常な人の言語を聞き取って内容を整理するのにはかなり苦戦したようで、疲れの色が見える。

 まだ、1限目すら始まっていないのに体力を半分くらい持ってかれた気がする2人。

 対して、ニッコニコと笑顔を浮かべながら奇行を再開している沙耶。

 もう、棗と瑠衣に止める気力はなかった。

 教室にいる人間もあまりじろじろと見るものではないと判断したのか、友人と談笑を再開し、授業の準備へと興味を移している。


「あれ、でもイケメンって、白百合の生徒なら女の子じゃないの?」

「うん! だから、イケメンな女の子!!」

「ふーん……まぁ、女の子でもなっちゃんとか超イケメンだしおかしくない表現か……」

「瑠衣? 何か言ったかしら?」

「え、何でもないよ?」


 腑に落ちない表情を浮かべる棗に、瑠衣は沙耶が登校してくる前に話していたことを話題に挙げごまかすことにした。


「そういえば、今日も行くの?」

「えぇ、もちろん」


 棗は青色のクリアファイルを取り出す。

 中には、A4サイズの紙が5枚ほど入っている。

 それらには楽譜が印刷されていた。


「楽譜?」


 首をかしげる沙耶に棗は、そうよ、と言い返しながら手に持った楽譜をファイルごと手渡した。

 受け取った沙耶はそれを見るなり、難しそうな顔を浮かべる。


「えっと………? こふれー?」

「ケーラーって読むのよ。イタリア人なの」

「イタリアってあの、ピザとかスパゲッティで有名な!?」

「他にもピサの斜塔や音楽でも有名ね」


 さも当然のイタリアの情報を並べる棗に、沙耶は目を輝かせた。


「じゃあ、霧崎さんってイタリア語喋れるの!?」


 沙耶は半分驚き、半分期待といった顔で尋ねる。

 自分の知らない言語を身近な人が流暢に話す姿を見てみたいとワクワクしていた。


「まさか」


 だが、その期待は棗の素っ気ない言葉によって空振りに終わった。


「私が読めるのはこれを練習しているからよ。バイリンガルじゃあるまいし」

「うん……残念だよ」


 沙耶は落胆して机の楽譜に目を落とす。

 そしてあることに気が付くと、難しそうな顔を浮かべた。


「あれ? こんな記号あったかな?」


 そう言って人差し指で指しているのはアルファベットの“V”のような記号だった。

 小学生まで近所のピアノ教室に通っており、今でも気分転換に弾く彼女にとって見てもそれは初見の記号だった。


「これは“ブレス”。息継ぎをするポイントを表す記号よ」

「息継ぎ?」


 当然のことながらピアノに息継ぎ要素など無い。

 鍵盤……息継ぎ……この2つのキーワードから、導き出される沙耶の解答は、


「つまり、鍵盤ハーモニカ?」

「天谷さん……さっきから何を言っているのかしら?」


と、棗にとって全く謎のものであった。

 棗が残念なものを見るような視線を向けてきたので沙耶は慌てて言い訳をする。


「だって! ピアノに息継ぎなんてないし――」

「なるほど」


 全てを理解した棗はさらに言い訳を続けようとする口を指で制した。

 その高校生にしては大人びた立ち振る舞いに、一瞬見とれながら沙耶は押し黙る。


「いい? 私はフルートをやっているの。ピアノじゃないのよ」

「あ……そうなの?」


 まったくもって恥ずかしい限りである。顔がどんどん赤くなっていることが鏡なんて見なくても想像することができた。

 楽器=ピアノという短絡的な思考をした自らを穴へ埋めたい衝動に駆られる。


「先入観って凄いわね」

「ううう……」


 その、棗の言葉がトドメとなり、沙耶は唸りながら机に突っ伏してしまった。

 とりあえず、当分の間は復活しないだろうと勝手な予測を棗は立てる。

 困った顔で笑いながらしょうがない子ね、と声に出さずに口を動かした。

 そして、前の席に座っている親友にむけて一言。


「さて、瑠衣はなんでそんなに笑っているのかしら?」


 彼女の視線の先には口に手を当て、必死に笑いをこらえている瑠衣がいた。

 よくよく見ると耳は真っ赤でぷるぷると小刻みに震えている。

 髪を後ろ手で束ねるための白いリボンが、お好み焼きにかけられた鰹節のようにゆらゆらと踊っていた。


「だって……くくっ…………なっちゃんが、大真面目に……鍵盤ハーモニカ吹いてるところを想像したら……お、おかしくて……ふふっ!」


 なんとか会話を続けようとするが、呼吸が続かない。

 どうやら笑いが収まるまでまともに会話をすることは不可能のようだった。

 そんな親友に対し、今度は本当に困った顔で溜息を吐く棗。

 仕方ないわね、とばかりに彼女の耳元へ口を近づけて、


「ふぅー」


と、悪戯っぽく息を吹きかけた。


「ひゃうっ!?」


 耳元吐息攻撃の効果は抜群のようで、大きく瑠衣の体が跳ねたかと思うと大爆笑はどこかへ飛んで今度は別の意味で机へと突っ伏した。

 まるで全速力で走ったかのように肩で息をしながら息を整えている。

 さっきよりも何故か症状が悪化しているのはきっと気のせいだろう。


「あら、やりすぎたかしら?」


 結局、話し相手2人をノックアウトしてしまった棗は、仕方がないので手にしている楽譜に目を走らせることにした。


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