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第76話 クソ喰らえ

 国王からドラゴン討伐の依頼を受けた。


 哲治は即答出来なかった。

 「考えさせてください」


 ドラゴンにも正義があるのだろう。

 ドラゴンにも言い分が有るのだろう。


 王都の惨状を見た。

 多くの人が死んだのだろう。

 でも、哲治には他人事だった。



 会議は終わった。

 ヴァレルとブルーは王都に残る。

 魔素を呼び込む魔法陣をどうするか、話を詰める。

 ブルーは、兵士を動かし、連絡を密にする。



 ルヴァンを二代目クラケン号に乗せ、南へ向かう。

 直接、物置前シティーへ戻らないのは、迷うからではない。

 辺境伯への挨拶のためだ。


 迷うからではない!


 “大事なことは二回言う”の法則を使ってみた。



 辺境伯領で一泊して、物置前シティーへ戻る。



 いつもの物置前シティーでは無かった。



■■■


 ドラゴンは旧王都に戻って来た。


 しかし、様子が変だ。

 何が違うのかは分からなかった。


 いつものように、力が湧いてこない。

 遠出をして疲れたのか、魔素不足になったのか、気にしないようにした。

 一晩休めば、元に戻るだろう。

 そう考え、その日は休むことにした。


 次の日。

 やはり、何が違う。

 魔素召喚の魔法陣を調べる。

 魔石が無い。


 大人のドラゴンに言われていた。

 『この石は、大切な石だ。決して動かさないように』と。



 怒りが込み上げると同時に、焦りが生まれる。


 あの大男の仕業か。


 直ぐに飛び立ち、大男を再び探す。

 拓かれた場所を追えば、最初に訪れた街が有る。


 やはり、ここに居るのだろう。


 話はしない。

 殲滅する。


 ドラゴンは、空を飛んだままブレスを街中に放つ。

 逃げる人間も構わず焼き払った。

 大きな石の建物は屋根が無く、上空から中が見えた。

 大男は居ない。


 体力が限界になった。

 仕方ない、戻ろう。



■■■


 哲治は、街を見回す。


 返還の館と、ログハウスは無事だったが、周囲にあったはずの家々が、燃え落ちていた。

 リリアーナの邸宅も一部壊れていた。


 人々の気配も無い。


 宰相から聞いた、ドラゴンの行動と西門を思い出す。


 大声で叫んだ。

 「だ、誰が居るー?」


 ルヴァンもクラケン号から降りて来た。

 一目散に自分の家に走る。


 見る限り、ログハウスは無事だ。

 でも、中がどうなっているのか分からない。



 馬に乗った第八師団の兵士が走って来る。


 哲治は、その兵士に

 「な、何があった?み、皆は?」


 兵士は馬を近づけ、見上げながら

 「皆、第三砦に居ます。行きましょう」


 ルヴァンを大慌てで呼び戻し、兵士と一緒に第三砦へ向かう。

 良く見ると、街のあちこちに騎馬の兵士が、見廻っていた。



 第三砦に着いて、直ぐにライナーを呼んでもらう。

 しかし、出てきたのは、中隊長だった。


 「ライナー大隊長は?」


 「ライナー大隊長は負傷治療のため、私がお答えします」


 「負傷?……大丈夫なの?……それと、王女は?」


 「大隊長は治療中です。王女殿下はご無事です」


 その後、何が起こったか聞いた。



 昨日の昼頃、ドラゴンが、魔物領からやって来た。

 水道工事に治療班で来ていたラムダが見付けた。

 直ぐに兵士に報告がいく。


 既に街では、ドラゴンが再び現れたら逃げるように通達されていた。


 何人かの兵士が、街へ馬を駆けさせる。


 街に残っていた住民を、火に強いログハウスに避難誘導していく。


 ドラゴンは街の上空に来ると、いきなり火を吹いて街を焼き尽くした。


 逃げ遅れた人や、避難誘導をしていた兵士たちが死傷した。

 子供を含めて、20人が亡くなった。

 その5倍以上の人が、火傷などで負傷したとのことだ。


 石大工や職人は水道工事に行っていたため無事だった。

 リリアーナ王女や侍女たちは、返還の館に居て、運よく助かったらしい。


 第八師団の兵士が多く死傷した。

 ライナーも子供を助けるため、足に大火傷を負い治療中だ。

 意識が無いと聞かされた。


 シータ、ラムダ、クルーガが中心となり、治療班が、駆けずり回っている。



 徐々に怒りが、心を染めていく。

 また、頭に靄がかかる。

 頭の中が殺意に染まる。


 ドラゴンの正義?

 ……クソ喰らえだ!


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