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第71話 ドラゴン

 哲治とヴァレル、ブルーの会話は続いた。


 ドラゴンが来て、何をしたか。


 ドラゴンが来たのは2日前だと言う。

 昼過ぎに空から飛んできたらしい。


 三本足のドラゴン。


 あれ?

 四本足だったよ。

 違う奴?


 街の人々は、恐怖で逃げるどころか、テツジを傷つけた奴だと憤ってくれたらしい。

 胸が熱くなる。


 哲治の物置の上に降り立ち、ざわめく住民たちに向かい話しだした。

 「我は、遥か昔、この地に舞い降りた気高きドラゴンである」


 何!?その中二病的な自己紹介!


 「貴様らが送り込んだ大男はどこだ?」


 その時、住民たちが

 「大男って誰だよ!」

 「そんなのは居ねーよ」

 「テツジなんて知らねー」


 おーい。最後のやつ。

 言っちゃてるじゃん。

 誰?

 ガンツか!?

 ガンツ、デコピンだな!


 ドラゴンは首を傾けた後、

 「と、とにかく、あの森には手を出すな!手を出せば、お前等を滅ぼす。覚えてろ!」

 そう言って、魔物領へ飛び立って行った。


 捨てゼリフ!

 悪役ムーブ!

 何?


 俺の恐怖心……なんか、モヤモヤするー。



 三本足のことを詳しく聞いた。


 ブルーが

 「確かに不自然だった。左前足が千切れていたように見えたな」


 もしかしたら、投げた石が左前足に当たっていたのかもしれない。

 だから、すぐに追い掛けてこなかったのか。


 友人から、

 『ドラゴンの鱗は硬いんだぜ』

 って聞いたのを思い出した。


 投石が、効くなら戦える。

 だが、意思疎通が出来る相手。

 魔物ではなく召喚された者。

 シータやラムダ、そして、俺と同じこの国の被害者。



 ブルーが、魔物領で何があったか聞いてきた。


 哲治は、ヴァレルに

 「話して良いの?」

 と聞く。


 ヴァレルは頷き言う

 「旧王都のことか?構わないぞ」


 哲治は二人を見ながら

 「西へ向かって進んだんだ。高い山の麓に瓦礫になった街を見付けた。王都と同じような壁があった」

 思い出しながら、ゆっくり話す。

 「多分……昔の王都だと思う。お城もあった」


 ブルーが驚いた顔をする。

 ヴァレルは納得顔だ。


 哲治は続けて

 「そこに入って、歩いていたら、あの翼竜……ドラゴンが空から降りてきた」


 「魔物だと思って、石を投げたんだけど……火を吹かれて……逃げた」

 哲治は項垂れる。


 ブルーは笑顔で

 「そうか。逃げたのは正解だ。おかげで大事な情報が手に入った」


 ヴァレルも頷き、

 「旧王都を見付けたのは、大きな功績だ。なぜドラゴンがそこにいたのか、ドラゴンをどうするかは、後で考えれば良い」


 哲治が顔を上げると、

 「今日は、ゆっくり寝ろ」

 とブルーが言い、立ち上がる。


 ヴァレルも立ち上がり、出入口に向かう。

 出入口でブルーが、振り返り


 「明日には分かると思うが、あまり落ち込むなよ」


 え!?何?


 意味深な言葉を残して帰って行った。



 翌朝。


 体は元通り動けるようになった。

 左腕は少し疼くが、気にならない程度だ。

 やっぱり、魔法スゲーな。


 目隠しの板を退かし、外へ出る。


 物置が……平行四辺形になっていた。



■■■


 魔物領、旧王都跡地。


 ドラゴンは考えていた。


 あの大男は何だったんだ。

 何が起こったか分からない。


 あの大男の腕が動いた瞬間、強い危機感が襲った。

 本能的にブレスを放ったが、焼き尽くせなかった。


 しかも、左前足に激痛が走った。

 見ると左前足が、付け根から無くなっていた。

 攻撃された?


 今まで、キズを付けられたことすら無い。


 もしかすると、この森の外はあの大男のような人間が、支配しているのか?

 気が気ではなくなり、キズが癒えてから見に行った。


 やはりこの世界も、人間は矮小なるものだった。

 大男の存在すら知らないようだ。


 ただ、人間の元へ行く途中で見た森は、明らかに切り拓かれていた。

 あの大男は、この森に住んでいるのか?



 この世界に来た時、自分はまだ子供だった。

 大人のドラゴンが、この人間の街を焼き尽くし、ここに安住の地を築いた。


 魔素を発生させる魔法陣を守り生きてきた。

 他のドラゴンは死んでしまった。

 魔素が、元居た世界と性質が違っていたようだ。

 子供だった自分は、馴染むことが出来た。


 大人のドラゴンに聞いた。

 この世界は魔素が薄いと。

 この森より遠くへ行くと、魔素不足で死ぬかもしれないと。


 森中を飛んで調べたが、あの大男の存在を見付けられなかった。

 森も人間の住む方向から、切り拓かれている。


 あの集落の人間たちが知らないのなら、もっと大きな街から来たのかもしれない。


 一度、見てくるしかない。


次回も2話連続投稿します。


宜しくお願いいたします。

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