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第63話 分かること

 ゴブリン変異種事件から数日が経ちました。

 ゴルフボールが回収出来ず、少し落ち込んでいる哲治です。



 ヴァレルやブルーに、この国で魔素や魔物を研究している人がいないか聞いた。

 二人揃って

 「居ない」

と言われてしまった。


 ヴァレルが、

 「一度、王都へ戻って、過去の文献を見てくる」

と言ってくれた。


歴史探訪ですね。


 ブルーは、

 「第八の兵士に話を聞いて、魔物の詳細を纏めよう」

と言ってくれた。


 魔物図鑑が出来るのか〜。



 クルーガは医療に目覚めたのか、ベリアスノートを研究したり、木工職人や農家の人に薬になる木や植物がないか聞いて回ったりしている。

 シータとラムダも一緒だ。


 あの時、感染症の話をしたので、ウイルスや細菌について話を聞きに来た。

 詳しくないが、知る限り抗体なども含め話をした。

 こちらの人間のことだ。

 すぐに抗体物質など作ってしまうのだろう。



 リリアーナ王女は、何と、この街で学校を開いている。

 校舎はないので、青空教室だ。

 大人も子供も関係なく教えている。


 大人はさすがに、最初は

 「王女さまに教えてもらうのは、恐れ多い」

と言って遠慮していたが、マーリンたちの陰の努力で、今は大盛況だ。


 リリアーナ。ポンコツがバレないといいね。



 この街には、税金が無い。

 それも人が集まった理由のひとつだ。

 移住の制限が王国から正式に出たため、今は新規移住者が居なくなった。


 表向きは、『帝国のスパイが入り込むのを防ぐ』という理由だ。

 政治だね。


 王国からの援助は無くなったに等しい。

 魔物肉や植物紙を王国へ卸し、その対価で水や食糧を貰っている状態だ。


 辺境伯領との行き来は、従来通り。

 ルイーゼ辺境伯とは、毎回いろんな話をしている。

 相変わらず、聞き上手だ。



 畑から食糧が採れるようになり、水道が完成したら、王国と商談になるな。

 今のうちにルイーゼ辺境伯を名誉市長にしておこう。



 第八師団の第2大隊も、砦ではなく、この街に常駐している。

 塀の見回りから解放された第三砦赴任の大隊は、暇になるかと思ったら、ブルーの伝令でこき使われているとのこと。


 ブルーはこの街から、モールス魔法陣をイジっているだけだ。



 ゴルフは、自重している。

 何か、ゴルフに関わるたびに事件が起きている気がしてならない。

 ベーカー街をもじった町じゃないんだから勘弁してほしい。



 魔物領の開拓と言うより、奥へ進んでいる。

 奥に何が有るかは分からない。


 高い山が有るので、そこを目指している。


 奥へ行くと、変わった魔物に遭遇する。

 この前は、サイクロプスの腕が4本あるやつに出会った。

 変異種だろう。


 腕が4本あっても、サイクロプスは石が天敵のようだ。


 食肉になる魔物と変異種は、そのまま持ち帰る。

 それ以外は、魔石のみ持ち帰る。


 食肉は街で一部振る舞われるが、ゴブリンモドキの件があるので、少量に抑えている。

 余りは王都や近隣の街に持って行くが、ルヴァンの開発した冷凍魔法で凍らせて持って行く。


 ルヴァンはやっぱり天才だね。

 「温められるなら、冷やせない?」

って、暑い日に聞いたら、クーラーじゃなくて、冷凍魔法作ったよ。

 気化熱の説明したんだけどね。

 クーラー欲しかったなー。



 変異種は、今後のため、魔物図鑑のため、ブルーとライナーに研究してもらう。

 どう攻撃してきたか聞かれるけど、大体一方的な遠距離攻撃で倒すので……。

 安全第一!

 哲治重機株式会社の指標です。



 魔石の回収も、さすがに慣れたね。

 慣れたんじゃないな。

 腹が決まった。


 慣れたと言えば、コカトリス!

 石化怖いけど、射程が短いみたい。

 投石で必殺です。


 あれ?魔物、投石だけで倒しているわ。

 コントロール良くなる魔法でもかかっているのかね。


 唐揚げのためには、ラードも必要。

 ボア系はセットです。


 今度、農家さんに菜種、ゴマ、オリーブを聞いてみよう。

 紙も有るし、搾りますよー。



 魔素や魔物。

 分からないことだらけだ。

 分からないは怖い。


 でも、立ち止まっていても解決しない。

 少しずつでも進めば、分かることもあるはず。

 分かれば、何も怖くない。



■■■


 アストレイア王国。

 国王の執務室にアストレイア国王と宰相が話していた。



 アストレイア国王は宰相に話しかける。

 「巨人勇者の魔物領開拓は順調か?」


 「はい。話では、かなり奥まで行けているようです」


 「ヴァレルが王都に来ているな?」


 「はい。過去の文献を調べているようです」


 「巨人勇者を西へ向かわせるように出来ないか?ヴァレルに少し情報を流せ」


 宰相は驚いた顔で聞く

 「旧王都ですか?」


 「そうだ。巨人勇者が居る内に見付けたい。あそこに眠る魔法が見付かれば、帝国にも対抗出来るはずだ」


 「旧王都伝説ですか。陛下。あの話は眉唾ですぞ」

 宰相が苦い顔をする。


 「すがるつもりはない。巨人勇者が見付け、過去の魔術が再現出来れば、僥倖と言うことだ」

 国王は笑みを見せ続ける。

 「巨人の召喚。最初は王国の危機を覚悟したが、蓋を開けてみれば、有益な駒だったな」


 宰相が硬い表情になり

 「眉唾と言えば、濃度の高い魔素を浴び続けると魔物化するという話。巨人勇者は大丈夫なのでしょうか?万が一、アレが自我を失えば甚大な被害が出ます」


 国王は息を吐き、

 「便利なものには、危機がある……か。その話も本当かどうか分からない。だが、巨人勇者に変化がないか、逐一報告させよ。今以上にな」


 「かしこまりました」

 宰相は頭を下げ、退出した。


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