第44話 騒動のその後①
暑の季節です。
つまり、夏です。
夏と言えば、海です。
……海は、ありません。
水着も、ありません。
残念な気持ちを共有できる、哲治です。
水着はありませんが、王国から下着と肌着を提供されました。
継ぎはぎだらけですが、パッチワークと思えばオシャレです。
オシャレです!
さて、スタッドレスタイヤを使った、荷車が完成しました。
職人たちが設計をし、木材でパーツを作る。
お手伝いしました。
パーツを持ち上げ組み立てる、テツジクレーンです。
なんだか、毎月パーツを買って、組み立てる雑誌っぽくて楽しかったです。
創刊号は、お手頃なんですけど……ね。
四輪の大八車の完成です。
名前を付けました。
“だいはち”車なので、“第八”から、“ライナー号”
本人から、烈火のごとく怒られました。
仕方ないので、改名。
第八師団長の名前、“ブルー”から、“アクア号”と、オシャレな感じにしてみました。
アクアマリン。
夏と言えば、海ですから。
……海、ないけど。
このアクア号。
結論から言います。
ジャジャ~ン!……大失敗でーす。
重い!
とにかく重い‼
タイヤ4本、舐めていました。
土の道路、舐めていました。
アスファルトが欲しーい。
魔法よりも、舗装を!
アクア号、2輪へ変更です。
トライ&エラーです。
馬車職人と木工職人に、土下座しました。
出来る男の土下座は安い!
最近、魔物領で採石出来る山を見付けた。
アクア号で運ぶ予定が、アクア号自体が重すぎて断念。
ええ、そうです。
相棒のクラケン号頼みです。
クラケン号に、パワハラ訴訟されないか心配です。
唐突に話を変えます。
この国の体制が、大幅に変わっているようです。
軍務大臣が殉職し、魔術大臣が辞任、第一師団長も空席。
そして、シギリード公爵に関係のあった方々が、何人か別件で粛清されたらしい。
“シギリード公爵に付けば、粛清するぞ”という、裏メッセージだ。
大人の世界は、怖いね。
新たな軍務大臣に、第八師団長のブルーが推挙されたと聞いた。
“貴族じゃないと大臣に成れない”と聞いていたので、不思議に思っていたけど、あの人、南部領地の辺境伯の御子息らしい。
塩や海産物で、大儲けしている辺境伯。
ブルーさん、ボンボンやん。
ブルー曰く、辺境伯は貴族というより、商人みたいな人で、人の弱みを突いたり、口八丁で契約を纏めたりと、そんな姿が嫌だったそうだ。
自分は、貴族に向いていないと、若い時に飛び出して、庶民のふりして軍部に入ったそうだ。
でも、王国には、バレバレだったらしい。
まあ、政治も商売も似たようなもんだよね。
利益のために、働くのだから。
本来は、誰の利益の為かが違うだけで。
誰かが得をすれば、誰かが損をする。
その損を、“得”と思わせることが、商売なんだろう。
ブルーは頑なに、軍務大臣のポストを拒んだらしい。
軍務大臣のポストは、空席のまま。
第一師団長に、第二師団長が就任。
以下、ひとつずつ昇格していったようだ。
第八は、そのままブルーが師団長。
第七師団長に、ライナーの名前が挙がったそうだが、“巨人勇者との窓口”を理由に、断ったらしい。
人をダシにしないでください。
実は、ブルーが、父親である辺境伯に手紙を出していた。
王国が、きな臭くなっている時に、“テツジのことを頼む”、と。
そのお陰なのか、物置前集落は異常に人が増え、もう“街”と言ってもいい規模になっている。
そしてなぜか、ブルーもここに居る。
物置前は、キャンプ場のようにログハウスが並んでいるが、その周りにはあらゆる建物が建ち、少し離れたところには畑まである。
畑は、テツジ耕運機が大活躍。
街の道幅は、哲治が通れるように、広めに作られているため、余計に規模がデカくなっている。
凄いのは、木工職人たち。
あの人たち、本来は内装や家具作っているはずなのに、家自体も作り出した。
更に、足場まで組んでいる。
アクア号も手伝ってくれたし、“返還の館”建築にも貢献してくれている。
バンス、ありがとう。
そして、ガンツ!
「王女様の館の後は、宮殿だ」
じゃ、ねーよ。
お前の仕事は、“返還の館”!
お前は仕事しろ!
石材、運んでやっているだろ。
……クラケン号が。




