第33話 魔法陣の改竄
異世界生活16日目
今日も快晴。
晴れの日多くない?
これも、“ご都合さん”かもって、職人さんたちに聞いたら、この季節は、晴れが多いらしい。
気温が下がる夜に、雨が降ることはあっても、日中は晴れることが多いそうだ。
でも、後50日くらいしたら、ちょっとした“雨期”が、あるそうだ。
日本でいう“梅雨”だね。
今日も、午前中は伐採作業と、ちょっと狩り。
魔物は、すべて持って帰り、食肉にならない魔物は、皮を剥いで、魔石を抜いて、開拓予定のない森へ、ポイ。
午後から、職人さんたちのお手伝い。
加工した木材を、運び、積んでいく。
「ウィーン」と言いながら、クレーンの如く、積んでいく。
細かいところは、職人に任せ、言われたとおりに重機作業。
あれよあれよと出来ていく。
何これ!めっちゃ楽しい!
積み木で、家が出来ていく。
別で作っていた屋根を、慎重に運び、乗せる。
何これ!めっちゃ楽しい!(2回目)
箱庭造り、ミニチュア作り。
まだ、一棟完成しただけ。
彼らからしたら、10畳一間のログハウス。
まあ、お試しだからね。
でも、まだ住めないらしい。
床張りなど、内装は今からやるんだって。
石大工が、作った他の土台に、また、テツジクレーン。
立ち上がって、俯瞰して見る。
あれ、これ都市開発の計画、ちゃんとした?
何か、ズレてるよ。
石大工たちに、怒られた。
ええー、理不尽。
物置から、メジャーを持ってきて、皆で直線を引き直す。
最初の計画が大事だよね。
◆◆◆
今朝、王女様の姿は見えなかった。
マーリンに聞くと、布団を被って寝ているらしい。
お寝坊さん。
ただ、マーリンから話を聞いた。
窮屈な王宮で、政治の駒として生きてきた王女。
生まれて初めて、王都を出て、目まぐるしい体験をした。
彼女は、今、“生”を実感している。
夜、寝る前、王女が楽しそうに、話すそうだ。
文句も多いが、それすら楽しそうに見えるらしい。
……文句、多いんじゃん。
マーリンにも、もう少し、居させてくれないか頼まれた。
哲治は、迷っている。
王国に対する条件は、“人質の安全”だ。
“返す”とは、一言も言っていない。
そんな、屁理屈が通るのだろうか?
◆◆◆
夕方に、ライナーとシータが戻ってきた。
あれ⁉上司風は?
話を聞いた。
塀の崩落は、仕組まれた可能性が高いこと、エルフが開発した魔法陣が使われたこと。
そして、その魔法陣は、誰も知らないこと。
シータが見つけたと聞いて、シータに
「凄いじゃん!よっ名探偵!」
って、褒めたら、
「※◇、ΣΘ、Ж▽」
分からん!通じん!
“意思疎通”仕事しろ!
後で、ルヴァンに聞いたら、“意思疎通”は、この王国と異世界人の意思疎通と言われた。
つまり、異世界人同士は、同じ世界、同じ言語ではないと、通じないということだ。
ライナーも言っていた。
爬虫類型異世界人と、シータは、言葉が通じないため、シータが戦線から離されたのだと。
ライナーが、ルヴァンに話を聞きたいと言ってきた。
ルヴァンの資料の件もある。
丁度良いのかもしれない。
ライナーは信用出来る。
裏切られたら、その時は、その時だ。
ライナーと兵士たち、それに、シータを物置へ運ぶ。
後は、ルヴァンと話してもらう。
話し合いの後、ライナーに聞くと、
「ルヴァン卿は、エルフ魔法陣の存在を知らなかったそうだ。自分が召喚したわけではないので、興味もなかったが、魔法陣が描けると聞けば、興味を持ったかもしれないと」
確かに、あの魔法陣オタクなら、“持ったかも”じゃなく、“持った”だろう。
「それで、エルフの魔法陣を知っていそうなのは?」
哲治は、特に興味は無かったが聞いてみた。
ライナーは、難しい顔をして
「ルヴァン卿が言うには、エルフを召喚した、最上位魔術師第二位のべリアス・フォン・シギリード卿ではないかと」
今度は、哲治が難しい顔をする。
「その、ベリースフォン・キシリトール……が、犯人なの?」
ライナーは、呆れ顔をしつつ
「ベリアス・フォン……まだ、犯人と決まったわけではない。ただ、調査はするが」
そこで言葉を切った。
「調査はするが?」
「ああ、調査はするが、表立っては出来ない。シギリード公爵の血縁だからな」
「ふ~ん」
哲治は、全く理解していないが、訳知り顔をする。
その時、シータが物置の出入り口で、下を見ながら何か言っていた。
ルヴァンが、四つん這いで覗き込む。
ルヴァンとシータが、話をしていたので、放置していたが、降りたいのかと思い、哲治が立ち上がる。
すると、ルヴァンが、
「テツジ殿、この建物の下にある、召喚魔法陣がおかしいと、シータが言っておる。何か変なところは有るのか?」
先ほど、崩壊した塀の破片に、魔法陣が分からないように、描かれていたと聞いている。
哲治は、慌てて物置の出入口へ向かう。
しゃがんで、割れてしまった石畳を見ると、黒い線とは別に、透明の塗料で描かれたような線が見えた。
よく見ると、黒い線に重なっているものや、違う場所に描かれた透明の線が見える。
ルヴァンへ伝えると、
「魔法陣改竄……やはり、嵌められたのか……」
そう言って、肩を落とし、物置の中へ戻って行った。
“魔法陣改竄”、その言葉が、哲治の耳に残る。
“多人数召喚”を、行おうとしたルヴァン。
魔法陣に、気付かれないように細工がされていた。
そして、哲治が“巨人”として、この世界に召喚された。
……誰だ。
自身の血も見ていないのに、頭に黒い靄がかかる感覚に襲われた。
皆様、本当にありがとうございます。
昨日累計で1,000PVを超えて『リリアーナダンス』を踊っていたのですが、何と、本日一日だけで1,600PV超え!?
ありがとうございます。
何が起ったのか分からず、正直ビビりまくっています。
もし名探偵の方がいらっしゃいましたら、ぜひコメントで推理を披露してください(笑)。
推理じゃなくても、コメントいただけたり、ブックマーク、評価などモチベーションになります。
今後ともよろしくお願いいたします。




