表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/46

第21話 シャワー付きトイレとアトラクション

 異世界生活8日目

 昨日の雨が、嘘のように、晴れ渡っている。


 哲治は、外に出て、クーラーボックスとバケツを確認する。

 思惑通り、雨水が溜まっていた。

 いそいそと、洗濯物を取り出し、クーラーボックスで手洗いしていく。

 洗剤も洗濯板も無いため、完全に手洗い、揉み洗いだ。


 絞って、振って水気を切ると、物置の中へ。

 万能PPテープを、物干しロープにして、洗濯物を鼻歌交じりに干していく。


 リリアーナが、迷惑そうな顔で、朝御飯を優雅に食べながら見ていた。

 君たちは、良いよね。

 毎日、着替えが届いて。

 最初は、マーリンが「姫様が庶民の服を着るなんて…」て、言っていたけど、その姫様「この服、動きやすいわ」って、言って“リリアーナダンス”していたよ。

 

 そうそう、何故か、テーブルとイスまであるんだよ。

 俺、ライナーに頼んでないけどな。

 

 色々脅して聞き出したら、ルヴァンから羊皮紙を貰って、欲しいものを書いて、空の木箱に入れていたらしい。箱入りのくせに…やるな。


 あれ⁉情報も筒抜け?

 まあ、彼らの目線では、棚に何が乗っているかまで見えないし、大丈夫でしょう。


 洗濯していて、思い出したことがある。

 超音波洗浄機。超音波で細かい泡出して洗浄する機械。ん…合ってる?

 

 とりあえず、ルヴァンに、超音波出せる魔法陣描けないか聞いてみた。

 「超音波?何だそれは?」

 「音波を超える音波かな?」

 「音波って何だ?」

 そこから~⁉

 音波って、ほら音って波打ってて、その周波数が…分からん!理系の人に聞け~。諦めた。


 

 ライナーたちの、野営地に行く。

 ライナーは、まだ、戻っていないみたいだ。

 

 2人の兵士が、ブルーシートを見上げて何か言っている。

 エルフの魔術師――シータという名前だ――は、ボケッとした顔で、見上げていた。

 近付いて、兵士の話を聞くと、雨水でシートがたわみ、四隅の木も傾いてきていて怖いという陳情だった。

 

 確かに、ブルーシートに雨水が少し溜まっていた。

 雨水が流れるように斜めにしたけど、素人の即席DIYじゃあ、何らか問題はあるわなぁ。

 潰れなかっただけ、“良かった”ことにしよう。

 

 あれ?ブルーシート上手く使えば、雨水もっと溜められた?

 気にしたら負けだ。…負けないぞ。


 ブルーシートに溜まった水を落とした後、PPテープの結び目を外し、シートを外していく。

 何かあるといけないので、兵士とシータには、避難してもらっている。

 


 筏型ソリの作成に、取り掛かる。

 昨日、持って帰った木を、結束バンドでつなげていく。

 隙間だらけだが、そこから結束バンドを通せるので、良い様に捉えよう。


 長めの釘を、何か所かに途中まで打ち込む。

 そこに細長く切った防鳥ネットを引っかけて、転落防止ネットの完成だ。

 長さ1mくらい、幅70㎝くらいのソリが出来上がった。



 満足してから、川の様子を見に行く。

 歩数で数えたら、塀から700歩ちょっと、距離にすると…まあまあな距離。


 よくもまあ、一日で、ここまで木を切り倒したものだ。

 ただ、入口付近は、幅が2mほどあるが、川の近くは、自分が通れる程度の幅だ。



 川は増水している様子はなかった。

一昨日見た時よりも、少しだけ濁っているように感じた。

 川幅はざっと見、7~8mくらい。


 とりあえず深さを測る。

 靴とソックスを脱いで、裾を膝までまくり上げると、ゆっくりと川へ入っていく。

 冷たい…。


 慎重に、川の中央まで進む。

 膝下くらいの深さだった。


 川から出て、タオルで足を拭いて、ソックスと靴を履き直す。

 下流に向けて、河原を歩き出す。


 ある程度、下流まで来たところで、河原を探索し、大きめの石を探す。

 何個か集まったところで、また靴を脱ぎ、川へ石を持って入っていく。

 石を積み上げ、足場を作っていく。

 二か所だ。


 そこに乗り、安定性を確かめてから、しゃがんでみる。

 …転んだ。


 積んだ石が崩れ、川にダイブ。

 “暖の季節”と言っていたが、まだ肌寒い。

 さらに、冷たい川の水。


 河原に戻り、パーカーとアンダーシャツを脱いで、河原に並べる。

 周囲を見回し、誰もいないことを確認し、ズボンとスラパンを脱ぐ。

 そのまま、川へ行き、震えながら行水を行う。


 カラスよりも早い行水を終え、タオルで乾布摩擦並みに体を拭いていく。

 スラパンを履き、発汗性の高いアンダーシャツを着込む。

 その状態で、もう一度川に石を積んでいく。


 出来た。“開放型シャワー付きトイレ晴天時限定バージョン”…ありがとう。



 気を良くして、物置の方へ戻っていく。

 魔物に遭遇しないのかって?…います、出ます。

 石を投げつければ、逃げていくって気が付いて、パーカーのポケットは石だらけです。



 物置の前に戻ると、今日の食糧便と、ライナーが戻っていた。

 話を聞くと、木工の職人や大工も、明日か、明後日には来てくれるらしい。

 自分で壊しておいて何だが、ここに返還魔法陣を描ける施設も作ってほしい。

 ルヴァンには申し訳ないが、彼を、王国の元へ帰すわけにはいかない。



 早速、筏型ソリの試運転だ。

 ライナーたちに説明をすると、引きつった笑顔で

 「ウソだろ…」

って、言っていたので、

 「本当です」

と、笑顔で言っておいた。


 ライナーたち5人を乗せ、いざ出発。

 筏型ソリの前方を少し上げると、ギャーギャー言ってくる。

 少し上げないと、抵抗があって早く運べないでしょ。

 兵士が、ギャーギャー言わない!


 最初は歩いていく、少しずつ速度を上げていくと、ライナーたちの声が聞こえなくなった。

 人間慣れるものさ。

 

 小さな段差があったのか、ソリが少し跳ねた。


 「落ちた~」

 後ろから大声が聞こえる。

 振り返ると、一人地面に転がっている。

 ちゃんと掴まってなさいよ。

 

 戻って、落ちた兵士を見ると、釘を掴んでいた。

 あっ、抜けたのね。

 兵士を左手で持ち上げ、ソリを引いて戻る。

 また、ギャーギャー言っている。


 野営地まで戻り、落ちた兵士を、治癒魔術師のシータへ預ける。

 ライナーたちは、地面に降り、四つん這いになっていた。

 楽しいアトラクションだと思うけどな~。

 こっちに、遊園地は、無いだろうから、初めての体験で、ビックリしたのかな。



 人間、いつかは、慣れるよ…きっと。


皆様、ありがとうございます。

第22話は、来年1月4日に投稿します。

それでは、良いお年を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ