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2話 カタリナ村

 <カタリナ村>。



 キャビーの生まれた村は、そう呼ばれていた。



 かの有名な<勇者ハイル>の出身地である、史上最大の人間大国──<アルトラル王国>の南西、<お咎め様の森>という大樹海の只中にカタリナ村はある。



 転生の際、ある程度の条件が設定可能であり。現に、攻略対象であるアルトラル王国の人間に転生することは叶った。



 アルトラル王国を陥落させれば、人類滅亡に最も近付く。だからキャビーはここに送り込まれた。



 彼が真っ先に目指す先は、アルトラル王国の王都<ヘイリム>であった。



 キャビーは自宅の屋根に登り、村を見渡していた。



 彼が転生して半年が経過した頃──


 

 幸先が良いとはいえなかった。



 魔族と違い、成長の遅い人間の赤ん坊は身体がとても小さく、言葉を喋ることもままならない。活動時間はごく僅かに限られ、睡魔に襲われると気絶するように寝てしまう。



 加えて、穴という穴から、液体を垂れ流してしまう始末。ファイに掃除させるにも、喚いて伝えるしかない。



 屈辱的だった。



 赤ん坊からやり直すのは、非常に不愉快極まりない。特に人間の赤ん坊とあれば、尚更だ。魔王直々の命令でなければ、プライドを保てていなかっただろう。



 だがしかし、つい先日魔法の発現が可能であると分かった。



 魔力の源である<魔素>を体内で貯蓄、生成することが出来るようになり、最も基礎的な魔法──<無属性魔法>による<身体強化>の行使が、可能となったのだ。



 これにより、排水用のパイプを伝って、屋根に登ることが出来た。



 大した高さでは無いが、赤ん坊やファイにおぶられた時よりも、遥かに見渡せる。何より人間を見下ろせるのは、優越感があった。



 彼は気分良く、喋れない口をもごもごとさせる。



「とても不可解な村だ。周囲は高い塀で囲まれ、まるで村民を閉じ込めているみたいだ。それにあそこ──兵士の訓練施設もある」



 転生前に何度も人間の村を襲っている。しかし、そのどれとも、この村の様相は違っている。



 カタリナ村の村民は20人程度と、ごく少数であった。代わりに駐在している兵士は多い。また、奴隷制度を導入している為、獣人の奴隷も多数見受けられる。



 村民におかしな点はなく、至って普通だ。カクモという果物を主に栽培し、基本的に自給自足の生活を行っている。



 しかし──



「やはり、あの高い塀は少し気になる……」



 カタリナ村の周囲を囲う5、6メートルの高い塀。その外には、更に高い巨大な木が群生している。



「森の中というのは、間違いない。だとしても塀が必要な理由は一体……? それこそ、巨大な魔獣(獣型の魔物)でも居なければ──」



 村はそこそこに広い。一部隆起している地面や、段差はあるものの、綺麗に整備された平らな地面となっている。



 半分程度を畑が占めており、村民はその周辺に小さな平家を持っている。馬小屋や、豚や鶏などの家畜も育てていた。



 そして、兵士の訓練施設──



 遠方に見える兵士の様子へ眼を移した。



 10人以上の兵士が重装甲の鎧を身に纏い、訓練をしている。片方は突進し、もう片方がクッションで受け止める。



 まるで、自身よりも遥かに大きな敵を想定しているように見える。



「あれでは格好の獲物じゃないか。確かに防御力は高そうだが、火魔法に滅法弱そうだ。それよりも先ず、魔法をかわすことすら儘ならないだろう」



 馬鹿な奴らだ。そう一蹴するのは簡単だったが、やはり何処か納得がいかない。



 <魔族>との戦闘は、元より意識していないような気がする。



 塀の外に、何かが居るというのだろうか──



「キャビーちゃんっ!!??」



 すると、屋根の下から悲鳴に似た声がした。



 ファイが彼を見上げ、驚愕に眼を見開いていた。



『作者メモ』


 短いですが、サクッと行きましょう。


 お咎め様の森についてですが、人類未踏破のエリアであったりもします。何が居て、何故この場所に村を作っているのか、若干のミステリー要素です。


 

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