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お盆の連続なろう小説 短編集?  作者: 勇者の名前を忘れた男
1/1

気象誓願天基 てるてる坊主

ひとつの巨大なてるてる坊主を取り巻く人々がが織り成す物語。

ご覧下さった皆様の快適なお盆を願って。


2021年9月4日修正しました。



「間に合ったな」

「えぇ、完成がギリギリになると報告が上がってきたときは冷や汗ものでしたが」

「しかし、急拵えとはいえ、よく形になったものだ」

「えぇ、本当に」


青年が一人、壮年の男が一人、四隅を巨大な鉄骨が貫く大きな格納庫の中で、中央にあるなにか白くて大きなものを見上げていた。


「全国の神社仏閣に要請して集められた祈祷済みティッシュペーパー、総枚数1万2千。 これだけの協力が得られるとは思わなかったな」

「人類史上最も重ね、積み上げられた紙の山… いえ、紙の塔から織り成された、同じく人類史上最大の積層型紙触媒」


「気象誘導媒体計画 第一号基、てるてる坊主。長かったなぁ、着工からもう…どれくらい経ったか」


その白いなにかの正体は、てるてる坊主であった。

しかも冗談のようにでかい。


長さにして18メートルほどあろうかというその物体は、その表面を見る限り確かに紙、どこにでもあるティッシュでできているように見える。

その頭のてっぺんには確かにそれらしき吊り下げる紐のようなものが生えているが、それもやはりご家庭で見るそれとは明らかに大きさが違うものだった。

格納庫に鎮座、いや、吊るされているから鎮吊と言うべきか。


二人の男はその鎮吊されている巨大なてるてる坊主の左側から、白い大きな横顔を見上げていた。


「徹夜続きで追い詰められて全く気が気じゃなかった。君もよく頑張ってくれたな」

「いえ、こちらこそ 引っ張って頂いた事が多すぎて」

「今日からはお互いぐっすり眠れる」

「はい」


「さて 時間まであと少しだ。どうだ、ぐるっと一回りせんかね、皆に挨拶がてら」

「お供します」


壮年は格納庫の中で長きに渡って計画に従事してきてくれた作業員達に挨拶しつつ、近くの金属製の階段を降り始めた。

青年はそのあとに続いた。



「しかし、長い道のりでしたね」

「全くだ、だが実りは得られた」

「本当にこれだけの協力が得られるとは思っていませんでした。…関係各所にこの提案をしても、無視されるか、部署同士でいがみ合ってうまく行かないだろうと」

「悪い癖だな、そうやって悪い可能性から潰そうとするのは」

「…今は自分でもそう思います。個々のトラブルの対処より、ハッキリとした方針を示すべきだったのだと」

「水利や農業との利害関係の調節もな」

「治水にしかり開墾にしかり。今までは自然には逆らえない、で済ませてきたことが変わっていく訳ですからね」


「君は何かを変えようとする時に生じる軋轢に足踏みをして、その全てを避けて通れる道を模索していた」

「目先の軋轢に囚われて、自分が何をしたかったのかを見失ってしまっていたんです。その軋轢を乗り越えるだけの価値のある事をしようとしていたのに」

「完璧が主義になっているきらいはあったな。それでも、雨を望む農家と日照を望む農家、お互いに譲れず納得出来ない部分は多い」

「利害関係にある顔役同士を繋ぐのは、やはり大変でした」


「だが同時に、その覆しようの無い利害関係の調整を、逆転の発想で切り替えてきてくれた君の功績も大きい」

「言い出しっぺですから」

「言うようになったじゃないか」

「いままでの僕はそうしたアイデアを閃いても、実際に人と打ち解けることで状況を変えていけることを信じきれていませんでした」

「そのようだね。ここに来てから君の働きぶりがみるみる良くなっていくのを見てよくわかった」


「その事を気付かせて下さったのは、それは「学び取ってくれるとわかっていたからね」

「い、言わせて頂きたくて…」

「恩返しと思うなら、それはまずそれを受けた順番に片付けていくべきものだよ」

「いえ、ですから…」


食い下がろうとする青年を壮年は無視した。


「まぁ、技術が進歩し、時代が変わっても、この二本の足は相変わらずくっついてきた。顔を繋ぐにしても、こういったことはやはり足を運んでからでないと始まらんからな。君もよく血マメを潰したな?」

「日頃の不足というものを思い知りました。足の裏の痛みと疲れで眠りや夢見まで悪くなるとは」

「靴とは否応なしに実用のものだ。君を紹介されてプレゼンを見てから、今回のプロジェクトそのものに不安はなかったんだがね」


壮年は靴べらを使うようにかかとを鳴らしてこういった。


「歩きかねている様子を見かねてはいたんだが、君の方から靴職人を紹介してくれと言い出してくれるのを待つことにした」

「お恥ずかしい、その節は「待った」


「礼節の誠とは、なんだと思う?」


青年は先程から人の話を食いぎみに遮った壮年の普段との違いに何かを感じ、そして考える。


「…頂いたものに見合う人物だったという事を、身を以て示す、ということでしょうか」


返事もなく 、壮年の男は満足したように頷き階段を降りていく。



「計画自体は、元々は局所的な天候に干渉するシステムの研究から始まった」

「天候というものを調整するために必要な温度、気圧、色々な要素を検討した。様々な学者が人工降雨装置の大規模化等を提案してきた」



「だが、君はてるてる坊主は風を司るシステムだといってのけた」

「えぇ、覚えています。その考え方自体はプレゼンの直前に思い付いたものだったのですが」



「気象の動力とは確かに風だ。その考えに基づいて天気の誘導方法を組み立てていった結果…」

「てるてる坊主本来の晴天のを祈るおまじないという姿、つまり気象変動の最大の要因である太陽に向かって笑顔を向けることで、その製作者の要望する天気を伝える性質を拡張、再解釈して計画の目的に叶うように再設計。その結果、日照を僅かに調整することで台風の進行速度を調整、経路を誘導、勢力を分散して日本全土に風を分配、供給する能力を開発、実装するに至りました」


「台風を風の貯蓄として見る、これが痛く気に入ってね」

「台風の防波堤にして、風のダムですね」

「ふむ、ダムか。確かにそうと言える」


二人は階段から地上に降り着き、そのままてるてる坊主の前を横切り始めた。


「しかし、わかってはいたが金はかかったな」

「見積りは厳しめに建てたつもりだったんですが…」

「予算だの省同士の権限争いだの越権行為だの安全性だのなんだの。いちいちうるさい連中がいたが、完成してみればみな蜘蛛の子を散らすように寄ってこなくなったな」

「ああいうものですから、あれは」


「そういえば、感染症対策の能力を証明せよなんて言ってきたのもいたな」

「その手の飯の種が増えることももうないでしょう」

「それこそどうでもいいがね。」


「だが、こうしてお披露目が近づいてくると逆になぁ。期待が大きすぎるのも困るものだ」

「マスコミ… いえ、例の軌道上に打ち上げるプランですか。 話には聞いたことは」

「紙なのをいいことにメンテナンスや他の衛星のとの兼ね合いやらを考えん連中が言い出してきた事だ。まぁまだ相手にはせんがね」

「地上から見えるのか?と聞かれましたよ、僕は」

「何と返した?」


「ティッシュを全部防燃素材に切り替えた場合の費用の概略を渡しておきました」

「ハハハハ、成る程。集光レンズ一つで地上から燃やされかねんか」

「いえ、酸素がないので部分的に炭化して、そこにGがかかってバラバラに」

「黒いてるてる坊主は宇宙の塵と消える、と」

「カーボン系の素材なら行けるかと。蛍光塗料でも塗っておけば目立って宣伝にでもなるかもしれませんね」

「…夢があるんだか無いんだかわからん話だな」


壮年はそのままてるてる坊主の足元を歩いて、正面まで来た所で前々から気になっていた事を青年に聞くことにした。


「しかし、なんだったか、あのドレスの様な…」

「ペーパーフラワーですか? 企画部の若い女子が言い出したことだそうで」

「まぁそういうものの好みはわからんでもないが、しかし坊主だろう?」

「単純にからだの部分を広げるだけでもそうなってしまう点はあるので… ただ広げるだけというのも下から見たときに味気がない、と言うことだそうで」


「学芸気分で…」

「いいっこなしですよ、それは。でも、そうですね。確かに昔の事を思い出します。誰かに自分が作ったものを見てもらえた時の喜び見たいなものが、昔から好きだったと」

「見てもらいたい誰かがいたのかね?」

「…それは、そうなのですが…」


「ふむ… 足を作るとかなんとか言い出したとも聞いたが」

「えぇ、自立するようなものではなく、あくまで飾りといっていたそうですが」

「オーソドックスな形に落ち着いてよかったよ、分かりやすさというのも必要だからな」

「坊主だけではかわいそうだから2号基はてるてる童女にしようと言われた時は、そうきたかと思いましたよ」

「…」

「どうかなさいましたか?」


「計画への尽力はいいが、女性陣からのお小言に傾ける耳がないほど余裕がないのはいかんな」

「余裕とは… あぁ、そうか。なるほど、すみません」

「頭を下げる相手も私ではない」

「あっ… そうですね」

「才あればこそ、こういうときに若輩をそれと知るというものでな。後で菓子折りでも持っていきなさい」

「いえ、今すぐ」

「まぁ、まぁ、待ちたまえ。先にあれを拝んでからでもバチは当たらんよ」



てるてる坊主の右側まで歩いてきた二人は、そのまま上まで続く階段を登り始めた。


「大型台風自動追尾回転機能もテスト済み、接近中の台風の補足精度も良好。360度、死角はありません」

「風の供給方法に関して色々とギリギリまでやっていたみたいだが?」

「窓を狙い撃ちすれば風量を抑えてプロジェクトの成果を皆さんにも実感してもらいやすいのではないかと」

「窓を。しかし国内全ての住宅の窓を手作業で指定するのかね

?」

「そこはてるてる坊主ですから」

「あぁ、なるほど。確かに飾るのは窓だな」


「窓を狙い撃ちすれば一人辺りに供給する風の量を大分節約できます。玄関か他の窓かを開けてもらって、風の通り道さえ作ってもらえれば風圧としては十分なはずで。少し不安はありますが、その機能も間に合わせておきました。虫などのものを巻き込まずに清浄な空気を選別して送り込む調整自体は完成していたので」

「わかった、ありがとう」


階段を上りきった所で、二人はそのまま正面の通路歩いて、大きなてるてる坊主の顔の正面にたどり着いた。


「しかし、やはり善い顔をしている… 渾身の顔入れ。 返す返す話すが、見事だった」

「恐縮です」

「この爽やかな表情は、よいものだよ」

「快晴と雨の恵みを司るにふさわしいものをと思いまして」

「そして、風か。 あの見事な顔がティッシュを丸めて重ねただけの不安定な塊の上で走り回ってかかれたものとは、今でも信じられん」

「弘法筆を選ばずというのは知ってはいたが、実際に目の当たりにする機会に恵まれようとは思わなんだ」

「選ばず…というより、丁寧にその時々の最良を選択し続ける。そういう習慣の一環ですよ。」



「しかし、紙を丸めた後に筆を入れるという判断、的確だったな」

「あれですか。外装用の取っておきの一枚に書く為に格納庫一杯に広げた後でしたから、肝を冷やしましたが」

「墨汁の水分が下の層のティッシュに吸いとられる事まで計算にいれていたとは、いやはや」

「それであの、滲みのないはっきりした表情になると思いまして」

「うん、やはり見事なものだ…。 どうだね、お披露目に先方をお呼びするというのは」


「…いえ、やはりこういう立場で公私混同は…」

「縁と言ってもいいんだよ、こういうのはね。長く待たせてしまったんだろう?」


「…」


「… 本当に大変な、だが必要なこととは、誰かの為じゃなく、自分のわがままを貫き通すことだと、この年になって思うようになってね」

「わがまま、ですか」

「個別の対処より、一貫した方針。君の言葉だ」

「っ!…」


青年はハッとした後、顎に手を当てて考え込み始めた。


「… 家庭の、いや、自分の中の整理を着ける必要があった。

本当は今もまだあると思っています。でも、結局僕のしたことは…」

「見捨てて、逃げ回っていただけではないか、と?」

「身勝手に、です… その後ろめたさから目を背けて、さらに逃げるということを繰り返してしまった」

「だが、それで終わることをよしともしない」



「… はい」


壮年は、そのまま何も言わずに青年に向き直した。




「それで、ここでこれのお披露目を見届けるつもりかね?」

「えっ しかし 今はお盆で… 」



「…」



壮年は、青年の逡巡に穏やかな沈黙を返した。



「順番、誠、余裕、わがまま…」


「そうか… なるほど」



「 いえ、そうですね。 後をお願いします。」


「任されよう。楽しみにしているよ」

壮年は大きく首肯した。


「さぁ、行きたまえ。忘れ物の無い様にな」


「はい! 失礼しま… いえ、行きます っ…!」


青年はそのまま壮年の横、てるてる坊主の快活で巨大な笑顔の前を通りすぎ、格納庫を出て自分の未来に向かって歩きだした。




青年の背中を見送って、壮年は一人こう漏らした。

「家内安全はなんとやら、スピーチを頼まれるのが好きな家系でね。全く悪どいマッチポンプだ」


_______________________




壮年はそのままてるてる坊主の頭の紐、注連縄が繋がった格納庫の天井部分、管制制御室へと託された仕事を果たしにいった。

その中では既に数人のオペレーターが手元の機器を操作して忙しなくしながら、指示役とおぼしき壮年の号令を待ちわびていた。


「幕が上がるぞ、みんな準備はできてるな」

「待ちくたびれましたよ」


壮年は咳払いをひとつ、制御室を後ろから見渡す台座にたってマイクのスイッチをいれた。


「えー、よろしいかな… それでは!本日はお日柄もよく、こうして「気象誘導媒体計画 第一号基、てるてる坊主」のお披露目の日を迎えることができました。ここまでご尽力いただいた皆々様の家内安全と無病息災、お盆の帰省が善いかたちで終わる事を願いまして、一同!本日のお披露目、頑張っていきましょう!」


オペレーターたちも手を止め、壮年の方に振り返った。


「では、お手を拝借! よぉーおっ!」


パンッ、と軽快な拍手が部屋に鳴り響いた。



「では、満を持して、てるてる坊主をお天道様に晒すとしますか!雨戸開け!カーテンを上げろ!」


壮年の号令と共に格納庫全体に大きな金属音が響き渡る。

格納庫を構築していた四方の外壁の底辺部分が切り離され、車のリアドアの様に持ち上げられた後、格納庫の天井部分に引き込まれるように収まっていった。


同時に、てるてる坊主をU字に囲っていた庫内のカーテンも、良くある観音開きで左右に引き込まれてゆく。

その二つがしまわれると、外界とのしきりはまだ巨大なガラスの壁と巨大な金網が残されている事がわかるようになった。


格納庫は外から見れば骨組みだけで、その中の巨大なてるてる坊主の視界を塞ぐものは金網のみとなった。


「隔壁展開完了しました」

「各層の紙面繊維の励起を確認 気象同調係数率上昇中」


「頭部深層セクション67の34枚目に抵抗を確認、これは…」

「虫か何か、製造過程で紛れてしまったティッシュのようです 。異物ですね。」


「気を付けてはいたんだがな… 一応データをとっておけ。経路を特定して2号基では無いようにするからな」

「異物特定診断は機能しています。この御披露目が終わったらオーバーホールですから治しておきます」


「衛星からの映像来ました、四国遠洋に接近中の台風28号。 進路、風速、予定通りです。」


「よぉし、目標を確認した 。では、ご対面と行こう。回転用意!」


「フライホイール解放、回転速度上昇中」

「コリオリ計算、高精度焦点照準開始」

「気象台から緒元来ました。各データ照合中」

「いずもから観測機発進、データリンク確立、観測開始まであと78分」


「目標の中心点を特定中、座標でました。これは…」

「黄金比、か?」

「近似率99%以上、過去に類を見ない、美しい台風です」

「綺麗ですねぇ… 最初のお客様がこんなに…」


「縁起のいい話じゃないか。くれぐれも、丁重にお招きするようにな」


「フライホイール接続、回転開始」

「右へ視差調整、コンマ0199」


地響きかと思うような轟音が鳴り出した後、巨大なてるてる坊主を納めたさらに大きな格納庫が、なんと丸ごと右に回転をし始めた。


「台風28号の目をとらえました」

「風量分配機能起動、各人工密集地への風道形成開始」


「あぁ、そうだ。個人を追尾して風を送り続けるシステムがあったな。あれも使ってしまおう」

「え? あれはまだ調整中と」

「構わんさ、こういうものは言い出しっぺが引き受けると相場が決まっとる。彼が調整中と言っているということは使っても問題ない」

「あー、なるほど。見かけないと思ったら」


「追尾対象確認、実験時のログとも一致、彼です。」

「風道計算開始、流量はどれくらいで?」

「快適、とかそこら辺でいいだろう」

「追い風にしておいてあげましょうか」

「いや、逆にしておけ」

「は?」

「風上を特定の人物に指定して風道を随時更新するシステムもあったはずだ」

「なるほど、了解です… ッ?!」




オペレーターの一人の表情が険しくなったのと同時に、制御室全体に警報が鳴り響き、部屋の照明が赤一色になった。



「どうした!」

「異常発生、先程の人物指定です!」

「送風対象への風速と風圧、風向き、いや、風道のルート形成プロトコルに異常発生!」

「風上から風下に対して右側に湾曲? 数値が安定しません、なんなんだこれは、一体…」


「対象に指定した二人が危険です!」

「先程の命令を撤回!全てキャンセルだ!」

「駄目です!こちらからの命令は全て保留扱いされます!」

「割り込みか!」

「人工密集地への風量優先供給序列にも干渉しています!最上位の供給先が先程のものに書き換えられました!」

「序列変更に伴う風道の再設定、日本全土のを再計算してます!止められません!」


「全調整システムコントロール不能! 指示を!」

「ひとまず外部からの侵入の遮断を優先する!マニュアル404の実行を」

「違います!これは…」



「てるてる坊主の過剰風力から人命と自基を保護する機能が管理者権限をオーバーライドしています!」

「そんな機能、いつの間に!」

「先程の異物です!あれを外部からの攻撃と判定して保護機能を拡張解釈、いえ、書き換えています!」


「ガラス戸と網戸のコントロールにも介入!全隔壁収納されます!」

「観測機から警告!台風28号の規模と勢力が急激に増大中!」

「今度は何だ!一体何が起きてるんだ!」

「てるてる坊主が分解分散と同時に周辺の海風を統合して28号をさらに強化しています!」


「ガラスも網戸も全部開けて、しょっぱなから全力で組み合うってか…」


「気象同調係数急上昇!紙媒体臨界まであと3分!」

「異物の反応消滅!励起した紙の中で焼き払われた模様!」

「吊るされてるだけの癖に、なんでこんなに好戦的なんだコイツ!」


「どっかの部署が出した危険予測レポートで見た覚えがある… なんだっけ… そう… 九十九神、か」


「これは、暴走?」


「違うな、これは… 」



「覚醒だ」



_______________________


季節は夏。

遥か遠洋の大いなる風と雲と雨の塊と睨み合う、

大真面目で大迎なおまじないを背に一人、

今はまだ穏やかな向かい風に向かって歩きだした男が、

ようやく到らず届かずだった春と巡り会う運びと、相成った。



思いつきで書き始めて、回りの助けがあってひとまずここまで書き上げることが出来ました。

独りよがりで、分かりにくい内容にはなりましたが、読んでもらえたら嬉しいです。

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