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I am Aegis 1  作者: アジフライ
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第1話【転生】

「うぅん……ここは……? 」

俺は確か……小学生を助けて……トラックに轢かれて……死んだのか? 周りを見るに普通の世界じゃないし……ははっ……つまらない人生だったな……

そんなことを考えていると……

「目覚めましたか、 龍人さん」

その声と同時に目の前に美しい女性が現れた。

輝く銀の髪に黄金に輝く瞳をしており、 肌は透き通るように白かった。

誰だあの人、 何で俺の名前を? って……明らかに女神様だよな……

女性は話を続ける。

「私は女神、 ヒュリスと言います。 貴方はあの時、 少年を助けてトラックに轢かれてしまったのです」

「そっか……本当に死んだんだな、 俺」

「しかしこの死には大きな意味があるのです……貴方はこの世の運命の鍵を握る者として選ばれたのです……」

「えっ……それってどういう……? 」

「……それは私でさえも知り得ないことです……私の使命は貴方を別の世界へ送る……ただそれだけです……」

女神様も分からないって……上司でもいるのか……?

「では貴方を別世界へ送る前に、 一つだけ聞きます」

「はい? 」

おいおいもう送るのかよ……もう少し話を聞きたいのだが……

そう思いつつも龍人はヒュリスの質問を聞いた。

「貴方は、 これから転生する世界で……何者になりたいですか? 」

何者になりたいか……

龍人はじっくり考えた。

そして導き出した答えは

「……誰か弱い人間にも手を差し伸べられるような……そんな英雄になりたいです……」

この答えには龍人の思いがあった。

龍人は昔から弱かった、 何かを始めようとしてもすぐに諦めてしまっていた。そして体も弱く、 いつもいじめられていた。

だから……俺は次の人生では、 心と体が強く、 いろんな人の助けになりたい。

俺は……そんな俺みたいな弱者も守れるような……そんな人になりたいんだ。

「……ふふっ、 分かりました。 では、 貴方に特別な能力を授け、 転生させます。心の準備はいいですね? 」

「……はい」

「……全ての命の希望でありますよう……私はお祈り申し上げます……」

そして龍人は意識を失った。

「うぅ……うん? 」

ここは……そうか、 俺は転生したんだ。

龍人が目覚めたのは森のど真ん中だった。

服装が変わっている……きっと女神様が違和感が無いように変えてくれたのだろう。

龍人は辺りを見渡した。

するとすぐ側に剣が立て掛けてあるのを見つけた。

もしかして……初期武器ってやつか? シンプルなデザインだけど中々悪くないな……

「女神様、 ありがとうございます」

まさか武器までくれるなんて思ってもいなかった……これはありがたく使わせてもらおう。

龍人は剣を背中に担ぎ、 しばらく森をさ迷った。

「そういえば女神様が言っていた特別な能力って何だろう? 」

特別な能力……魔法とか? それとも身体能力とか?

そんなことを考えているといつの間にか森を抜けていた。

すると目の前に村があった。

「お、 丁度いいや。ここでしばらく泊まらせて貰おう」

龍人は村に向かった。

しかしその村は人気が無く、 どの建物ももぬけの殻だった。

「……何かあったのかな? 」

建物の中で色々考えていると外から何かが近付いてきているのが聞こえた。

何だろう、 人ではないな……この世界の魔物かな? だとすれば今は戦闘は避けたいところなんだが……

自分の能力を把握できていない状態で戦闘に挑むのは厳しいと判断した龍人は建物内で隠れながら試行錯誤した。

こういうのって大体はステータスとか見れたりするはずだけど……

すると目の前に宙に浮くステータス画面が表示された。

あった、 これだ!

「何々……名前、 不明? 」

まだこの世界での俺の名前は決まってないからか? まぁ今はそんなことはどうでも良くて……

龍人は自分の能力を見た。

レベルは1、 職業は無し、 スキル……何だこれ、 多くないか! ?

他のステータスはまだ初期段階だからそれほど強くはないが、 スキルだけ何故か異様に多かった。

これが女神様が言っていた特別な能力か? こんなに覚えられないぞ……

そんなことを考えていると外から突然爆発音が響いた。

「おわっ! ? 」

外を覗いてみるとそこにいたのは……

「人間、 出てこい……ここにいるのは分かっているのだぞ! 」

とんでもなく強そうな悪魔のような化け物の軍団がいた。

な、 何だよあいつら! 転生した場所でいきなりあんな強そうなやつらに出くわすなんて!

やっぱり俺はついてないな……

場所もバレてそうだし、 早く出ないとさっきみたいな爆発に巻き込まれるな。仕方ない。

「お、 俺はここだ! 」

龍人は外に出た。

「何故人間がここにいる。ここが我ら邪神軍の領域だということが解ってのことか? 」

邪神軍って何だよ……とりあえずヤバい軍団だというのは伝わってくるけど……何とか和解……できそうな雰囲気じゃないしなぁ……

すると頭の中で声が聞こえた。

(スキル、 能力透視が発動します。)

な、 何だ? 急に頭の中で声が……

するとさっきまで見えなかった化け物達のステータスが浮かび上がってきた。

す、 すげぇ……スキルって自動で発動するのか……これなら一々覚えなくてもいいな……でも……

相手のステータスを見て龍人は思った。 やはり勝てないと……

無理だ……レベル500以上が普通の敵に今の俺が敵うはずがない。だけど相手は俺を逃がすつもりは無さそうだし……詰んだか……まさか転生してすぐゲームオーバーとかあり得ねぇだろ……

そう思った瞬間だった。

(スキル、 超級戦闘術が発動します。)

「え……? 」

次の瞬間、 龍人はとんでもない速さで化け物達の中に突っ込んで行き、 その中の一人の首を剣で切り落とした。

自分でも気が付かなかった……今の俺がやったのか?

「貴様、 やる気か……! 」

邪神軍が一斉に襲いかかってきた。

「えぇい、 こうなったらやけくそだ! 」

(スキル、 能力略奪が発動します。)

龍人はその声と同時に剣を構え、 戦った……戦い、 戦い……ずっと戦い続けた。

邪神軍は倒しても倒しても次々と新しいやつが出てきた。

無限に続くのではないかと思った。

……彼が踏み込んだのはこの世界の中でも最も危険と言われる領域、 死域 オベロニクスだったのだ。

そこはどんなに強い冒険者、 騎士でも絶対に近付こうともしない……正に死の領域である。

龍人はそこで領域の支配軍、 邪神軍と戦い続けた。

戦いは何年も続いた。

……そしていつしか彼は……感情を失った……

……15年後……

俺は……一体どのくらい戦った……一体何年経った……

人としての感情を失った龍人は今まで殺してきた邪神軍の化け物達の死体の山の上で、 立ち尽くしていた……髪はストレスで白く染まり、 瞳は血のように赤くなっていた……もはや元の龍人の顔の面影はほとんど無かった……

その時、 龍人に感情を取り戻させる者が現れた。

それは恐ろしくも……

「あれだけの数を全て倒すとはな……面白い人間がいたものだ……」

「……あんたは……? 」

物凄い威圧感に思わず感情が蘇った気がする……あいつはかなりやばいな……

「我が名は邪神、 ガイン……邪神軍を支配する、 すなわち……この世界の悪しき存在の一つだ……」

邪神軍の親玉、 邪神 ガインであった。

ガインからは今まで戦ってきた敵よりも遥かに強い魔力を感じた。

「さぁ、 戦いを始めよう」

龍人は剣を構えた。

(スキル、 身体能力超越が発動します。)

(スキル、 魔法超強化が発動します。)

……

龍人は今までの戦いで自分のスキルを大体把握していた。

龍人は自分の持つ全ての戦闘スキルを発動させた。

そうでもしないとガインには勝てないと悟ったからだ。

龍人は戦いの中で新しいスキルも覚えた。

そしてその中でも一番の強さを誇るスキルの一つがある……それは

(スキル……不死身が発動します。)

そう、 不死身だ……このスキルは常に発動しているようなもの……龍人の体に傷が付けば一瞬にして治癒するスキルである。

例え体がバラバラになろうと、 塵と化しても……絶対に死ぬことはない。

ある意味呪いだな……

「行くぞ! ! ! 」

そして戦いが始まった。

龍人は時空魔法で時を止め、 ガインの後ろに回り込み

(スキル、 能力吸収が発動します。)

一時的に相手の能力をコピーできるスキル、 能力吸収を使った。

……しかし

(報告、 スキルを無効化されました。)

「……やはり一筋縄ではいかないか……」

魔法解除。

「時間を止めたか……面白い……だが我には攻撃魔法は通じぬぞ」

魔法では倒せないのか……なら剣だ……!

龍人の持つ剣はどんなに硬いものでも一刀両断できる。

そして持ち主が戦いを重ね、 精神的にも肉体的にも強くなることでさらに強くなる。

強敵を乗り越える程強くなっていくのだ。

名前は無い……この剣は龍人そのもの……体の一部に名前なんて必要なかった。

それからは早かった。

お互いに剣をぶつけ合い、 斬りつけ続けた。

当然のようにガインも傷を一瞬で治せる……ただ違うのは不死身ではないということだ。 また、 ガインは龍人が不死身だということを知らない。

そして激戦の末、 決着の時が来た。

「……何なのだ……お前は……何故死なない……」

疲れ果てたガイン、 龍人はスキルで疲労回復をし続けている。

龍人は剣を構える。

「……ふっ、 勝敗は決したか……もういい、 殺せ……」

龍人は何も言わずガインの胸に剣を突き刺した。

急所を突けばガインは死ぬ……それは邪神軍の奴らから聞いていた。

「お前の勝ちだ……人間よ……」

「……」

体が崩れていく中でガインは話した。

「お前はもはやこの世界最強の生物だ……魔王軍を越える我が軍を一人で壊滅させたのだから……」

「……」

「最後に名を聞こう……お前の名は何という……」

龍人は戦いの中で自分の名前も決めていた。誰にも負けない強さを持ち、 誰でも守れる存在になりたいと。 その思いから考えた名前……




「俺は……イージスだ……」




「イージス……良き名だ……その名前、 大事にするといい……」

ガインは最後にそう言い残し、 消滅した。

(スキル、 能力略奪が発動します。)

(新しいスキル、 覇神の加護を習得しました。)

覇神の加護? 聞いたこともないスキルだな……

そういえば俺のステータスってどうなっているんだろう?

俺はステータスを見た。

「名前、 イージス……」

やっぱり名前は自分の中で決めたものになるのか。

「職業……覇者……? 」

……奇妙な職業になっちまったな。

レベルは……

「レベル…………せ、 1356! ? 」

レベルって上限は無いのかよ! 四桁いっちまってるよ!

……気が付かない内に俺は強くなってたんだな……力の使い方を間違えないようにしないとな。

(報告、 新しいアイテムを入手しました。)

「新しいアイテム? 」

イージスはステータスの画面を見てみた。すると一番下に新しく手に入った物が表示されている欄があるのに気付いた。

これか、 どれどれ……

『武器・邪神剣×2

 防具・覇者の装備一式

 装飾品・覇者の魔石

 その他・無し』

装備が手に入ったのか、 早速装備してみよう。

画面をタッチすればいいのかな?

『装備品を装備しますか? 』

『はい』

はいを押した瞬間、 イージスの服装が変わった。

おぉ、 凄く軽い! そして腰の両脇に新しく剣が下げられているな……

剣三つも使いこなせるかなぁ……?

そんなことを考えていると突然腰に下げていた剣が二つ共飛び出した。

剣はイージスの周りで宙に浮いている。

「うお! マジか、 自動で戦ってくれるのか! ? 」

すると頭の中の声が説明し出した。

(邪神剣、 持ち主の危険を感知すると自動で戦闘を始めます。折れた場合、 再び鞘に戻り自動修復を行います。)

めっちゃ便利じゃん! 倒した甲斐があった。

「……さて、 もうここにいる必要はないな。さっさとこことおさらばするか」

イージスは浮遊魔法を使いオベロニクスから出ていった。

出たのはいいがどこに行こう……とりあえず村か街でも探すか。

広範囲探知……

(スキル、 広範囲探知が発動します。)

「……」

数分後……

……見つけた! かなり大きいぞ!

イージスは探知した方向に飛んでいった。

続く……


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