第10話【新たなる力、謎の声さんの名前】
ギルドにてクエストを全てこなしてしまったイージス達は、 行きつけの店で昼食を取った後、 つけてきていた女騎士と突然対決をすることに……結果はイージスの勝利、 そしてその女騎士は王国の騎士団の一人であった。
「自己紹介が遅れた、 私はこの国、 ルスヴェラート王国の王直属に仕える十二天星騎士団の一人、 四番天星 アリアス・ミルストルだ」
「えっ……? 」
えっ、 えっ! ? 十二天星騎士団? 王直属?
イージスは混乱した。
待て待て落ち着け俺、 つまりこの人はこの国の王様に仕える騎士ってことだよな……そしてこの国の名前、 ルスヴェラート王国って言うんだ……知らなかった……てかさっき俺がやったことってこの国に対する反逆行為なんじゃ……
「も、 申し訳ありませんでしたぁ! 」
イージスは大声でアリアスに謝った。
「えぇ……いや、 どうした急に? 」
「きっとさっき俺がやったことはこの国に対する反逆行為ですよね? どうかお許しを! 」
するとアリアスは笑った
「ハハハハッ! 大丈夫だ、 元は私が仕掛けた戦闘だ。貴方が気にする事はない」
「よ、 良かったぁ……」
イージスは心底安心した。
今他の国から敵だと判断されたら面倒なことになるだけじゃなく、 下手したら大戦争だからな……
「それで、 貴方達の名前を聞いておきたい」
「おっとこれは失礼、 俺は冒険者をやりながらある王国の王をやっている、 イージス・カイマだ」
「私はイージス様に仕える守護者の一人、 覇竜戦士のザヴァラムよ」
「わ、 私はイージスさんの冒険者仲間のミーナと言います」
それを聞いたアリアスは驚いた。
「ま、 待て、 王国の王……? 」
「え、 はい……まぁ、 一応メゾロクス王国という国の王で……」
「まさか、 最近邪神軍が滅んだという噂を聞いたのだが……」
「あぁはい……実は……」
この人は国に関する人だ……ちゃんと伝えておかないと面倒なことになりそうだし……言っても大丈夫なはず。
イージスは今まであった事を全て説明した。15年間邪神軍と戦い続けたこと……死域 オベロニクスを開拓し、 新たな国を造ったこと……イージスは何から何まで話した。
イージスが全て説明し終えると、 アリアスは突然イージスの前にひざまづいた。
「こ、 これは大変なる無礼を……偉大なる英雄にして至高なる国の王に対し、 私は何ということを! 」
「えぇっ……いや、 別にいいって……気にしてないし……」
「面を上げなさい、 イージス様がこうおっしゃっているのです」
「ら、 ラムまで……」
こういうの本当に苦手なんだよなぁ……疲れるし……俺は冒険者として有りたいのに……
「えっと……それよりも……大丈夫なのかな? 俺、 勝手に自分の王国とか造ってしまってるけど……」
イージスは自分で勝手に国を築いてしまったことを気にしていた。
「あぁその事ならご心配無く、 この世界の法律では建国は自由とされていますので」
「そうなんだ、 良かった」
イージスが安心していると
(イージス様、 イージス様……)
突然頭の中でアルゲルの声がした
ん? アルゲルか、 これは通信魔法だな。
「ちょっと失礼……どうした、 アルゲル」
(お忙しい中申し訳ありません、 少し報告をしたい事がありまして……一度メゾロクスに戻って頂けますか? )
「分かった、 今行くよ」
そして通信が切れた。
「どうなさられました? 」
「ごめん、 守護者の一人に呼ばれたから俺達はここで……」
「左様ですか、 では私も国王に報告をしに城へ戻ります」
「じゃあ、 またいつか……」
そしてイージス達はアリアスと別れ、 メゾロクスに戻った。
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メゾロクスに戻ったイージス達は城に戻り、 守護者達と玉座の間に集まった。
「アルゲル、 報告って? 」
「はい、 実は私……イージス様達の外出中、 昨日に手に入れた膨大な魔力を使い……新たなる魔法兵器を研究していたのですが……それがたった今完成したので、 是非ともイージス様に見て頂きたく思いまして……」
魔法兵器! ? そんなものを作ってたのか。めっちゃ目てみたい!
「凄いなアルゲル、 早速見せてくれ! 」
「承知致しました」
そしてアルゲルは指を鳴らすと別の扉から鎧を身に纏った巨大な黒い影のような魔物が布をかけた大きな何かを持って来た。
あの魔物は……鑑定……
(スキル、 鑑定が発動します。)
『ダークナイト、 召喚魔法によって生み出すことができる超位精霊の一種、 高い戦闘能力を持ち、 召喚主の言うことは何でも遂行する。』
へぇ……超位精霊か……アルゲルが召喚したのか? やっぱり守護者達って凄いんだな……
イージスが感心しているとダークナイトはかけていた布を取った。
「こちらでございます……」
「これは……! 」
布の下にあったのはとても大きな固定砲台のような物だった。
「これこそ私が開発した新魔法兵器……超出力型魔力射出砲です! 」
すっげぇぇぇぇぇ! ! !
めっちゃカッコいいしめちゃくちゃ強そう!
イージスは大興奮、 アルゲルは説明を続ける。
「この兵器は周りにある魔力を吸収し、 内部で一つのエネルギーに変換し……一気に砲撃する兵器となっております……更にこの兵器は侵入者に対し、 自動で砲撃をする仕組みになっております」
「凄いなアルゲル、 こんな凄い兵器を作れるなんて! 」
「勿体なきお言葉……! 」
これがあれば警備の強化、 そして守護者達の負担を大幅に減らせるぞ!
「じゃあアルゲル、 今からその兵器を量産してメゾロクス中に配置しよう! 」
「はっ! 今から作業に取り掛かるように呼び掛け致します……」
そう言うとアルゲルは瞬間移動で玉座の間から出ていった。
……凄いなぁ、 守護者って……俺よりも有能なんじゃないかって位だ……俺も皆を見習わないとな。
するとロフィヌスが珍しく自分から口を開いた。
「あ、 あの……イージス様……」
「ん? 何だ、 ロフィヌス」
「その……前にイージス様の言っていた謎の声なんですが……」
ロフィヌスはたじたじしながら言った。
ん? 謎の声さんがどうかしたのかな?
「その……名前とかって……あるのでしょうか? 」
「名前か……」
そういえばずっと考えようと思ってて忘れてた……また忘れないうちに決めちゃうか……そうだなぁ……
イージスは考えた。
俺はイージスだからなぁ……折角だしここはアテナの槍の名前とか……いや、 確かあれには名前が無いんだよな……どうするか……
イージスが悩んでいると
「あの……もし無いなら……私から一つ名前の案があるんですが……」
「えっ、 何々? 」
「その……イージス様から取った名前で……ジース……というのはいかがでしょうか……? 」
ジースか……ジース……うん、 何かイメージに合うし、 これで決定にしよう!
「いいと思うよ、 その名前! ありがとう、 ロフィヌス」
「い、 いえ……そんな……勿体無きお言葉です! 」
よし、 これからは謎の声さんはジースさんだ!
……どうかな?
(はい、 ありがとうございます。)
本人も喜んでくれてるし、 これからはジースさんと呼ぶことにしよう。
イージスはまた仲間が増えた気がした。
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一方、 アリアスはルスヴェラートの城に戻り、 国王にこれまでの経緯を報告した。
「なんと……その冒険者が邪神軍を滅ぼした張本人だったのか……! 」
「そのようです、 国王陛下」
国王は何かを考えている様子、 しばらくして国王は口を開いた。
「是非とも儂もその英雄に会ってみたいものだな……今度その英雄が築き上げている王国に訪ねてみるとするか」
「なんと、 国王自ら……! 」
そして横に立っていた執事が
「では後日、 メゾロクス王国へ訪問に行きましょう。手配をしておきます」
「うむ、 頼む。ではアリアスよ、 他の十二天星騎士団の者達にこのことを伝えてくれ」
「はっ! 」
アリアスは返事をし、 玉座の間を後にした。
……………………
(明日メゾロクス王国に訪問か……緊張してきた……)
「ふぅ……」
アリアスは深く息を吐いた。
すると廊下の柱の陰からアリアスとは別の一人の女騎士が出てきた。
「アリアース、 何か色々あったんだってぇ? 」
「あぁ……ミレウィーか……実はな……」
アリアスはミレウィーという女騎士に色々話しながら廊下を歩いていった。
(さて、 この先どうなることやら……)
アリアスはつくづくそう思うのだった。
続く……




