第9話【大切な仲間、そして新たなる敵……? 】
メゾロクスの国民を集め、 エネルギー問題を解決したイージス達はその疲れを癒し、 再び冒険者の活動を再開する。
「うぅ~ん……いい朝だなぁ……」
イージスは城の中庭で背伸びをする。
そういえばこの城の名前、 まだ決めてなかったな……まぁきっとメゾロクス城とか言われるんだろうから必要ないかな、 言われたらその時決めればいいし。
「イージス様、 朝食の準備ができました」
ザヴァラムがイージスの目の前に現れた。
「おう、 じゃあ食べようか」
イージスとザヴァラムは城内に戻り、 食堂に向かった。
「うぉお~~! 」
食堂には今まで見たことのない程豪華な料理が並べられていた。
昨日の晩飯も凄かったけど朝食も凄いな……何度見ても驚かされるよ。
ミーナは先に席に着いていた。
「あっ、 おはようございますイージスさん! 」
「おはよう、 ミーナ」
「では私は別室にて待機しておりますので……」
「えっ、 ラムも一緒に食べないの? 」
そういえば食事の時は守護者達を見かけなかったな……皆はどこで食べてるんだ?
「そんな、 イージス様と一緒に食事なんて恐れ多いです! 」
……なるほど、 守護者達は上と下の立場を気にして一緒に食べないのか……俺的には一緒に食べた方が賑やかで楽しいんだけどなぁ……
「そうかぁ……俺は皆と一緒に食べたいんだが……」
するとザヴァラムは
ハッ……!「承知しました、 イージス様がお望みとあれば私、 守護者達を呼んで参ります! 」
そう言うとザヴァラムは部屋から急いで飛び出していった。
数分後……
ザヴァラムは守護者達を連れて戻ってきた。
「皆ごめん、 俺の勝手で……」
「いえいえ、 私は嬉しいです、 イージス様! 」
「イージス様と食事……これ程までの幸せはあるでしょうか? ♡」
「私もイージス様と食事をしてみたかったところなんですよ! 」
「ガイン様の時はこうもいかなかったので……我々は皆嬉しいですぞ……」
「わ、 私も嬉しいです……! 」
皆本当は俺と食事をしたかったんだな……良かった。
「よし、 じゃあ皆で朝食を食べようか」
『はっ! 』
そしてイージス達は朝食を食べ始めた。
食事中、 イージスはこんな話を守護者にした。
「……皆、 守護者として俺の為に働いてくれているのはとても嬉しいよ」
「勿体なきお言葉です……」
「でもな……俺はあくまでも皆とは友達としていたいんだ。国王だとか守護者だとか関係なしに……俺は皆と仲良くしたいんだ」
イージスは自分の気持ちを守護者達に伝える。
成り行きでこんなことになったけど……やっぱりこれは俺の望んでいることじゃない、 皆と仲良くワイワイ騒いだり……時には協力し合ったり……そんな楽しい毎日を過ごすことこそが、 俺の望んでいることの一つだ……
するとザヴァラムを含め守護者達は
「い、 イージス……様ぁ……ううっ……」
「イージス様……ありがとうございます……」
「ただでさえ美しいイージス様……こんなにも心も美しいなんて……♡」
「こんなにも素晴らしい主を持つ程……嬉しいことはないだろう……」
「イージス様……やはり貴方様は偉大なるお方……」
「うぅ……私も泣けてきちゃいました……」
皆……
「よし、 じゃあこれから皆は俺の親友だ! 」
『はい! 』
するとザヴァラムは
「ですが我らも誇り高きイージス様の守護者……貴方様に対する永遠なる忠誠は変わることなく勤めさせて頂きます! 」
と、 また自分達の忠誠心も改めてイージスに表明した。
「分かった、 それも踏まえてこれからもよろしくな! 」
『はい! 』
「さてと、 早く食べて冒険者活動をしないとな! 」
イージス達は朝食を終わらせた。
そしてイージスはザヴァラムとミーナと一緒にメゾロクスを後にした。
守護者達は国を守る役目があるためザヴァラム以外の守護者は全員メゾロクスで待機となった。
さてと……今日は色んなクエストをやりたいところだ、 このところメゾロクスの建国や街の襲撃事件の事もあってあまりできなかったからな。
ギルドに着いたイージス達は早速クエスト掲示板を探る。
「うーん……薬草採集に魔物討伐……護衛依頼まであるのか……」
こうして良く見ると色んなクエストがあるんだな……中には依頼系統のも混じってる。
「えぇい悩んでいても仕方ない! 片っ端からやるぞ! 」
「はい! 」
「えぇ~……」
ここからはとても早かった、 イージス達は掲示板に貼り出されているクエストを次々と攻略していった。採集クエストは探知スキルで目標の物を大量に採集し、 討伐クエストに至っては魔物が湧きすぎて問題になっていた森がたった二時間で魔物達が絶滅した。
そんなことをしている内に……
「……はい、 クエスト達成です! 」
「よし、 次! 」
「申し訳ありません、 今日出されたクエストはこれで全部なんです……」
「えっ……」
「流石です、 イージス様! 」
やり過ぎたぁーーーー! ! !
なんてこった、 今はまだ昼だぞ……てか他の冒険者達の活躍を俺達が全部……
イージスは自分のやったことに引いた。
しかし悪いことばかりではなかった。
「……そういえばミーナのレベル、 どうなったっけ……」
「えぇっと……」
ミーナは自分のステータスを見た。
「レベル……50! 凄いです! 」
おぉ、 前よりも格段に強くなってる!
あとは他の魔法を覚えるのが課題だな。
「やったなミーナ! 」
イージス達が喜びを分かち合っていると……
“くぅ~……”
「うっ……も、 申し訳ありません……///」
ザヴァラムの腹が鳴った。
「そろそろ腹が減ったな、 一旦飯にするか」
「そうですね」
イージス達はギルドを後にし、 街で昼食を取ることにした。
さて、 どこで食べるか……そうだらこの街に来て初めて食事をしたあの店とかどうかな?
イージスはある飲食店に行った。
「ここだここ、 俺が一番最初に食事をした店……」
「イージス様、 ここは……」
「そうだラム、 ここは俺と君が初めて一緒に食事をした店だ」
そう、 そこはイージスとラムが会って間もない頃……初めて食事をした飲食店なのだ。その当時のことは話してはいないが、 ザヴァラムはこの店のオムライスが大いに気に入っている。
イージス達は店の中へ入った。
「私もこの店大好きですよ、 よくここに食べに来てたりするんです」
「へぇ、 ミーナはここの常連さんか」
「ちなみにザヴァラムさんは何がお好きなんですか? 」
ミーナはザヴァラムに聞いた。
「わ、 私は……その……」
「ラムはオムライスが好きなんだよ」
「い、 イージス様! うぅ……///」
ザヴァラムは顔を赤らめた。あまり自分のイメージを壊したくなかった模様。
「あっ、 美味しいですよねぇここのオムライス! 」
「み、 ミーナも……そう思う? 」
「はい! 」
この時ザヴァラムは初めてミーナと会話をした。
(一応ここで捕捉、 ザヴァラムや守護者達が敬語を使うのはあくまでもイージスに対してだけなのでそこのところをご理解下さい。)
そしてイージス達は食事を始める。
……………………
イージス達の席から離れた席にて……
あの女騎士がイージス達を監視している。
(……どう、 例の冒険者は? )
通信魔法で誰かと連絡を取っている。
「今のところ問題無し……引き続き監視を続ける」
(了解……)
そして通信は切れた。
女騎士は目の前のパンケーキを食べ始める。
「やはりこの店のパンケーキは最高だ……」
……………………
イージス達は食事を終え、 店を出てしばらく街で暇を潰していた。
その時、 イージスはついに女騎士の気配に気付く……
「……」
「ん? どうかしました、 イージスさん? 」
「……あの女ですね……イージス様……」
「あぁ……さっきからつけてきている」
「えぇっ……! 」
何だあの女……敵意は感じないが凄く気になる。下手をすれば戦闘になるかもしれないな……ここは……
「皆……ちょっとこっちに……」
イージスは小声でザヴァラムとミーナを誘導し、 誰もいない空き地に移動した。
そしてイージスは
「……つけてきているのは分かっている、 出てこい」
女騎士に声をかける。
女騎士は隠れていた木の陰から姿を現した。
「流石はダイヤ等級の冒険者……いつから気付いていた? 」
「店に入る前からだ」
両者は睨み合う……
「で……あなたは敵なのか、 味方なのか……それを聞きたい」
すると女騎士は突然イージスの目の前に高速移動し、 腰に掛けていた剣を振りかざした。
それをイージスは軽く避ける。
「……戦って試してみるといい……」
「……そう来ると思った。ラム、 ミーナを頼む」
「承知致しました」
そしてイージスは背中の剣を抜いた。
本当はこの剣……悪い奴らにしか使わないようにしているんだけど……あの人はきっとこの剣を使わせたいんだろう……なら……
イージスの剣を見た女騎士は
「その剣……物凄い力を感じる……そして何人もの強者を斬っている……貴様もただ者ではないな……」
「勘違いしないで欲しい、 俺が斬ってきたのは全て……悪のみだ……! 」
イージスがそう言った瞬間、 女騎士はイージスに剣を振りかざす。女騎士の剣技は凄まじく、 空気の刃まで発生させている。
イージスはそれを全て避けていく。
(何故攻撃をしてこない……当たれば死ぬぞ……)
女騎士がそんなことを考えていると今まで避けるだけだったイージスが突然物凄い速さで女騎士へ距離を詰めてきた。
それに驚いてバランスを崩した女騎士、 それを見てイージスは剣を横から振りかぶった。
(や、 やはり……勝てない……)
女騎士は死を覚悟した……しかしイージスは剣を女騎士の脇腹に当たる寸前で止め、 倒れそうになる女騎士をもう片方の手で支えた。
「なっ……///」
「勝負あり」
女騎士は慌ててイージスの手から離れる。
「な、 何故殺さなかった……」
「簡単さ、 あなたからは殺意を感じなかった。本当に殺そうとしているなら目の色が違ったはずだ。だから俺はあなたを敵ではないと判断した」
イージスは微笑みながら女騎士に言った。
「……ふっ……どうやら貴様……いや、 貴方はこの国の敵ではないようだ……先程は突然に失礼した」
女騎士は剣をしまい、 イージス達に謝罪をした。
「それで、 あなたは一体……? 」
「自己紹介が遅れた、 私はこの国、 ルスヴェラート王国の王直属に仕える十二天星騎士団の一人、 四番天星 アリアス・ミルストルだ」
「えっ……? 」
続く……




