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カエルSサイズ 販売価格未定

六十三万六千七百七十一文字が前回 よし次は七十三万六千七百十一だ

 正直言って人間は弱っちぃ。モンスターの中には私達魔族でさえ苦戦するのが存在するし、そうでなくてもモンスターに対抗出来るのは全体からして見りゃ僅かでしかない。魔族が人類の天敵だって宣う奴も居やがるが、魔族が居ない間にもモンスターは存在する。魔族はモンスターを眷属として指揮下に置けても、希に居る奴を除いて別にモンスターを創り出す訳じゃ無ぇから当然だよな。


 なら、何故弱っちぃ人間共が今みたいに繁栄しているのか。それをちゃんと考えずに見下すだけの馬鹿が多いのは魔族の弱点だよな。


 神の加護が有るから? いーや、違う。そりゃ必死に祈れば力を貸す時も有るが、毎回でも無ぇ。神ってのは餓鬼を甘やかす親とは違うからな。


 だったら何かって? 簡単だ。弱いから群れ、知識や技術、そして想いを継承する、それだけだよ。素手じゃ戦いにならないから武器を作り、より強く発展させる。試行錯誤を繰り返し、相手の弱点を探る。個としての強さではなく、群としての強さを突き詰めたからこそ、モンスターに追いやられる事無く今の社会が在る。


「……くっくっく。だがまぁ、だからこそ私達が存在するんだがな」


 怒り悲しみ妬みに憎しみ、人が放つ負の念が集まって発生する淀みから生まれる存在し、それを糧に力を増すのが魔族だ。だから、魔族が人を傷付けるのは人間が悪いって事だな。


「……飛鳥、どうかした?」


「一人で急に笑い出したけれど思い出し笑い? えっと、何か面白い話なら聞かせて欲しいな」


 柄にもなく人間の強さだの魔族の存在がどうか等を考えていたんだが、ダチ公二人が怪訝な顔を向けて来ていた。あー、恥ずかしい。適当に誤魔化しながらも手を動かし、適当に選んだ石に名前を刻む。ブルレルのとある孤島、その中央辺りの花畑には、浄化された同胞の名前を刻んだ石が並んでいた。此処は墓だ。私達が作っている、仲間を弔う為の場所。


 偶に人間が羨ましくなる。亡くなった奴らが笑顔で過ごしていると信じる事が出来るんだからな。死んだ奴の想いを決めるのは生者だが、私達魔族にはそんな事すら不可能なんだ。


「……疲れた。大体、魔族は死んだら消える。此処に魂は眠っていないし、死体も存在しない」


「違うよ、プリューちゃん。えっと、皆の心の中に居るの」


 美風の言う通り、墓ってのは死んだ奴の為に作るんじゃねぇ。残った奴が先に消えた奴を偲ぶ為に作るんだ。それが理解出来ないみたいなプリューだったが、文句を言いつつもプリューは石に名前を彫っていってくれる。私達の目の前にはズラッと並んだ墓石。……随分と多いよな。私達が生まれながらに持つ記憶や知識は先代魔王の物。人と同じで代々繋げて来たそれは、私にとある事実を告げる。歴代よりも速いペースで増えている浄化された魔族の数は、勇者以外にも魔族と戦える人間が増えている事を示している。


 それはある観点からすれば魔族にとって有益だが、それでも私の心は晴れねぇ。スカーの名を彫り、残り数人分となった所で朝日が昇り始め、鳴り響く鐘の音。今日も魔族の本能であり私達の仕事でもある、捕らえて来た人間を苦しめる作業の時間だ。


「あっ! ウェイロン君の朝ご飯を作らなくちゃ! 飛鳥ちゃん、プリューちゃん、先に戻るね!」


「……美風、相変わらず」


「ったく、あんな野郎の何処が良いんだか」


 随分とウキウキした様子で建設中の城に戻って行く親友の顔が赤いのは、朝日に照らされただけじゃ無ぇ。私が知る中で一番嫌いな人間、先代勇者の仲間で今は人間に敵対する糞野郎に恋しているからだ。裏切り者は信用出来ねぇ。ましてや他の女が好きなままで、私の親友の恋心を利用する奴なんて大嫌いだ。


「……何時か絶対殺す。だが、それよりも先に勇者だ」


 正直言って餓鬼相手に抵抗は有るが、既に仲間が何人も浄化されている。私が尊敬していたクレタ様もだ。だから容赦は無しだぞ、勇者。私達三人が揃えば無敵。絶対にぶっ殺してやる。






「そーれ!」


 照りつける太陽、押し寄せる波。波打ち際に足を入れれば冷たい海水が足に当たって気持ちが良い。四代目勇者ゲルダ、只今絶賛休暇中よ。ネットを張った海辺で賢者様が出してくれたボールでビーチバレー、対戦相手はソリュロ様。二人共、水着に着替えて楽しんでいるわ。


「くっくっく。私が魔法だけでない所を見せてやろう! 秘技! 消える魔球!」


 高く舞い上がったボールはスパイクした途端、私の目の前から消える。次に現れた時、それは砂の上で跳ねた時だった。


「す、凄い! 凄いわね、ソリュロ様!」


「はっはっは! 誉めろ誉めろ。存分に讃えるが良いぞ!」


 私の言葉に胸を張るソリュロ様。……うん、大差無いわね。見た目年齢は私と大して変わらないし、着痩せするタイプでなくって良かったわ。最近、私が出会う相手は胸に対するコンプレックスを刺激する相手が多いから、ソリュロ様を見て安心したわ。


「うん? 私の方を見てどうかしたか?」


「えっとね、子供相手に本気を出して情け無いって思っているんだ。見た目がロリでも中身はお婆ちゃんだからね」


 横から飛んで来たアンノウンの余計な一言に、得意そうに笑っていたソリュロ様の表情が一瞬で固まる。うん、正直思ったけれど口には出さないで置こうと思ったのに。


「……おい、馬鹿弟子。貴様は相変わらず使い魔を甘やかしているみたいだな。大体、私の事を散々に言っているのではないか?」


「そんな馬鹿な! 師匠の事は偶に、加減を知らないロリ婆ぁ、そんな風に言うだけです!」


「はっはっはっ! ……よし、死ね」


 忽ち始まる鬼ごっこ。砂浜で魔法を乱射しながら走るソリュロ様と、それから逃げる賢者様。女神様がビーチパラソルの下でスヤスヤと眠る中、鬼ごっこは遂に空中で行われ出す。


「……アンノウン、何か食べに行きましょうか」


「良いよー。全部ゲルちゃんの奢りねー」


「はいはい。その代わりに買う物は私が決めるわよ」


 あの師弟対決に私は介入出来ないし、出来たとしても疲れそうなのでしない。そもそも、どうしてソリュロ様が一緒に居るのだったか、それは今朝まで遡るわ。





「これで最後!」


 ダサラシフドで起きた魔族との戦いの後、政治的な介入が大々的に行われたわ。嫁渡りで来ていた網元の息子が魔族と入れ替わっていたり、魔族に組みした町長や実は周辺を荒らしていた海賊達が、勇者である私を殺そうとしたり。此処から先は国の仕事だからと、賢者様はやって来た役人さん達に説明だけして旅立ったわ。


 今後ダサラシフドはどうなってしまうのか心配だけれど、賢者様は王族とも顔見知りらしく、遠回しに残された人達への配慮を頼んでいたわ。海賊を匿っていたのだから、被害を受けた人も居るし何も無いのは難しいとは思うけれど、それに至った背景を理解して貰えれば良いと思うわ。


 さて、誘拐事件の手掛かりも手に入らなかった私達だけれど、世界を救うのだから旅は続けなくちゃならないわ。迷惑を掛けたと謝る町の人達に別れを告げ、やって来たのが今居る町、ニカサラ。早速町長さんの所に顔を出し、その結果、こうしてモンスター退治をする事になったわ。


 最近浜辺で産卵の時期を迎えた雲丹亀の群れ。どうもダサラシフドに向かっていた一部が潮の流れで辿り着いたらしく、凄く気が立っているわ。偶に餌を求めて町の市場に顔を出すのも居るし、棘だらけの甲羅を持っているから近付くだけで危険なモンスター。だから私が退治するの。魔族の相手だけが勇者の仕事じゃなくて、こうした人助けだって功績を積む一環だもの。


「賢者様、終わったわ。それで次は何をするのかしら?」


 雲丹亀の退治を終えた私は次の仕事を求めていた。そうしないと落ち着かない理由は分かっているわ。幸せを急に奪われた人達、魔族の言いなりになってしまった人達、中には一緒にお話しして交流を深めた人達だって居たから私は焦っている。でも、そんな焦りは賢者様にはお見通しだったみたいね。私に一枚の紙を差し出して来たわ。


「えっと、神様達からの指令? ……一週間の夏期休暇!? ちょっと賢者様、一体これは……」


「拒否権は有りません。しっかり働き、しっかり休む。それが世界を救うには必要な事ですからね。それにお忘れですか? もう直ぐ誕生日でしょう」


「……あっ!」


 旅が忙しくて、そして知らなかった景色が楽しくって忘れていたけれど、もう直ぐ私は十一歳の誕生日を迎えるのだったわ。えっと、ダサラシフド件で私が落ち込んでいると思われて、誕生日と合わせて休暇をくれたって事かしら?


「で、でも……」


「弟子が拒否権は無いと言っただろう? 子供が細かい事を気にするな。思う存分遊ぶのも仕事の内だ」


「ソリュロ様っ!?」


 声に振り返れば、そこにはソリュロ様が立っていた。サングラスを頭に乗せて服装は水着、手にはビーチパラソルを持っていたわ。


「私もついでに休めと言われてな。……ふむ、普通に遊ぶのが気が咎めるのなら私に付き合え。神の暇潰しの共をせよ」


「は、はい!」


 こうして勢いに乗せられる感じで始まった私の休暇。町長さんには予め言い含めて勇者である事は伏せているし、気持ちを無碍にするのも失礼だし、お言葉に甘えて満喫させて貰うわ。



「クレープ、イカ焼き、チョコバナナ……最高ね、この市場」


 町長さんに会いに行った時はゆっくり見ずに通ったけれど、ニカサラの市場は大いに賑わっていたわ。普段の食材を売る店から、工芸品や食べ物の屋台まで沢山のお店に目移りしちゃうわ。


「ゲルちゃんは本当に食べ物ばかりだね」


「別に良いじゃない、子供だもの。育ち盛りよ、育ち盛り」


「その割には一部が全然育ってないよね」


 流石に元々の大きさは目立つし怖がる人も居るからと、最初はパンダを連れて行こうと思ったのだけれど、アンノウンから待ったが掛かったわ。


「僕はパンダと五感を共有出来るけれど、遊びに行くなら生身が良いよ」


 仕方が無いので子猫サイズにまで小さくなって私の頭に乗って、更にその上にパンダが乗る事に。……叩き落としちゃ駄目かしら?



「それにしてもソリュロ様には気を使わせちゃったわね」


「うーん、違うんじゃないかな? ゲルちゃんを休ませる為にソリュロを派遣したんじゃなくって、ソリュロを休ませる口実に……串焼き食べたい! ゲルちゃん、買って買って!」


「いや、真面目なセリフは最後まで言い切りなさいよ。まあ、私も食べたいから買うけれど」


 思えばソリュロ様も私みたいに思い詰めるタイプだったみたいだし、それを考えれば賢者様との鬼ごっこもガス抜きの一環かも知れないわね。うん、遊んで過ごす理由が増えたわ。ソリュロ様と遊びに行く所の下見もしたいし、今日は町を見て回りましょう。


「オジさーん! 串焼きを二本……いえ、八本下さい」


「あいよー」


「八本? ゲルちゃん、凄く食べるんだね。買い食いが過ぎてお昼ご飯を食べられなかったら怒られるよ?」


「別に私が七本食べるんじゃないわ。ほら、何処か休める場所に行きましょう」


 活気が有れば人混みも凄い。漂って来る様々な臭いに少し酔った私は串焼き肉の袋を片手にフラフラと歩いて行く。その後を尾行する人が居るのには気が付いていたわ。






「はい、アンノウン。一本ずつね」


「残りはお土産?」


 市場から少し離れた場所にある公園のベンチに腰掛けながら、私は頭の上のアンノウンを下ろして串焼きを差し出す。タレが香ばしい厚切りのお肉は焼き立てだから凄く美味しそう。アンノウンは袋の方をジッと見ていたわ。


「まあ、お土産ね。……賢者様の家でお留守番中の貴方以外のアンノウンにだけれど。ほら、一日交代だし、私が毎日奢るにしても食べたい物が被ったら駄目だもの。……まあ、悪戯は過ぎるけれど助けても貰っているからお礼よ」


 うん、本当にアンノウンの悪戯は酷いわ。だって旅に出てからツッコミの精度が上がった気がするもの。でも、私に気を使って助けてくれているのも知っている。だから今回は何時ものお礼をする事にしたの。悪戯への御礼参りは……その内よ。


「……ねぇ、ゲルちゃん」


「……何かしら?」


「ありがとう」


 まさか素直にお礼を言われるとは思っていなかった私は少し気恥ずかしくなり、残りの串焼きが入った袋を横に置いてしまう。それを見計らった様に私を追って来た知らない誰かが手を伸ばして袋を掠め取った。


「もーらい!」


「あっ、ちょっとっ!」


 様子を見て尾行した理由を問いただそうと思っていたけれど、まさか串焼きを狙っていただなんて。でも、相手は私と同じ位の子供。簡単に捕まえられる……。


 泥棒の姿がハッキリ見えた。頭はボサボサで虱だらけ。服もボロボロのドロドロ。靴を履いていない足は豆だらけ。何よりもアバラが浮き出る位に痩せていて、私は追うのを止めた。とても追い掛けて取り返す気にはならなかったわ。


 色々な物を見て、沢山の事を知った私が初めて見る社会の闇の一つ、貧困。家族が居ないのか、それとも家族の為に盗みをやっているのか。それは分からないけれど、少なくとも悪戯で盗んだんじゃないって分かったから、私には彼を追えなかった。






「ぐへっ!?」


 但し、私は。私の真横をすり抜けて放たれたビームは少年に命中する。うん、分かっていたわ。分かっていたけれど、声高々に叫びたい。


「何をやっているの、アンノウン!」


「パンダビーム・ネオ」


「そんな事を言っているんじゃないって分かっているでしょ?」


「当然だよ。イシュリアじゃないんだからさ。それにほら……怪我一つ無いよ」


 確かに気を失っている彼には怪我をした様子は見られない。うん、見られないんだけれど、その代わりに頭にカエルのキグルミの頭部を被っているし、徐々に広がって全身を包もうとしている。


「本当に何やっているのよ……」


「パンダビーム・ネオ」


「それはもう良い!」


 一週間の休日初日のお昼前。私は精神的にドッと疲れを感じていた……。



「う、うーむ。このキグルミは凄いな、色々な意味で……」


 起きないので仕方無く連れて帰った少年を診察するソリュロ様だけれど、放置する訳にも行かない理由の一つであるキグルミを調べながら唸っていたわ。私の力じゃ脱がせられないからお願いしたのだけれど、直ぐにどうにか出来るソリュロ様は何故か脱がそうとはしなかったの。


「このキグルミだが、着用者の栄養及び健康状態の改善、体の洗浄、精神状態の安定、この様な便利で優れた機能が魔法で付与されていてな。……ふぅむ。斬新な魔法設計だな」


「えぇっ!? こんな物がっ!?」


「ああ、こんな物がだ」


 思わず叫んじゃった私だけれど、絶対仕方無いと思うわ。だって、全体的に丸っこいフォルムのキグルミで、ソリュロ様がそれ程誉める物には見えないもの。


「ふっふっふ、甘いな、ゲルちゃん。このキグルミの能力はそれだけじゃないんだよ。着用者の気分に合わせて、目の絵柄が変わったりウインクしたりバネで目玉が飛び出したり、更に鏡を見るか誰かに指摘されるまでは本人には着ている事が分からないんだ」


「……この馬鹿は全く。どうして高い能力をそうやって無駄にするのだ、貴様は」


 未だに小さいままのアンノウンは私の頭の上で得意そうにして、ソリュロ様は呆れ顔。魔法に詳しくない私には分からないけれど、余程高等な魔法が使われているのは物凄く驚いている風なソリュロ様の反応から分かった。……その後の呆れ顔でアンノウンがそれを無駄な使い方をしている事も。


「ぶー! 失敬だな、ソリュロはさ」


「常に失敬な貴様が言うな、貴様が。寧ろ失敬以前に最初から失う敬いの心を持っていない奴が何を言う」


「ちゃんとマスターとボスは敬ってるよ。ソリュロは全然だけれども」


「おい、こら」


「それに僕の魔法は斬新なだけさ。フリッフリの衣装が好きなロートルには理解出来ないだろうけどね。……さらば!」


 口論の途中、何かが切れる音が聞こえた気がした。それは私だけでなくてアンノウンにも聞こえたらしく、即座に転移して逃げ出したわ。結論から言うと無駄だったけれど。姿を消したアンノウンが次に姿を現したのはソリュロ様の手の中。


「……やばっ」


「はっはっは、その喧嘩買った。おい、誰がロートルだ? 誰が少女趣味の若作りだ?」


「そこまでは言ってないよ、思ってはいるけど」


「死ぬか? 死ぬな? よし、死なす」


「ぎゃー!? ヘルプヘルプ、ゲルちゃん、ヘルプー!」


 アンノウンの頭にソリュロ様の指が食い込みメキメキと音を立てる。ジタバタ暴れるアンノウンに助けを求められたけれど、誰が自分から竜の口に入り込むのよ、有り得ないわ。見ない聞かない私は知らない。サッと目を逸らして背中を向ける。……うん、アンノウンなら死にはしないわ、大丈夫。


「うっ、うぅ……。此処は?」


 そうやって騒いでいると泥棒の少年が目を覚ます。周囲を見回し、私の顔を見た瞬間に飛び起きた。左右同時に飛び出して、バネがビョンビョン動いているカエルの目にも『!』と『?』が浮かんでいるわ。目玉が戻った後、カエルの顔が私に向いた。


「お前は公園に居た間抜けな観光客! おい、私はどうして此処……に……?」


 さっきアンノウンが言った事だけれど、カエルのキグルミは誰かに教えて貰うか鏡を見れば着ている事に気が付くわ。そして私の背後には小さな鏡が置かれている。ギョッとした様子で鏡を凝視して、手を挙げたり上げ下げして自分である事を確かめる。


 次の瞬間、絶叫が響いた。勿論目玉も飛び出した。



「何だこれぇえええええええええええっ!?」


 うん、そうよね。その叫びに私は静かに頷くしか無かったわ。





「ウゥ、ウァアアアアアアアアアア!」


 一方その頃、町の地下水道で不気味な存在が雄叫びを上げる。一見すれば只の血溜まり。家を持たない者が地下水道に住み込むのは珍しくなく、諍いや同じく地下水道に住み着いたモンスターに襲われるのも然り。だが、それは蠢いていた。それは生きて声を上げている。この日、町に恐怖が広がろうとしていた……。


 


 

 

アンノウンのコメント 言ってもない事を言うって自覚有るんだね、あのロリロートル





応援待っています 無反応は辛いなぁ

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