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恐怖と悔しさ

 ゾウチョー地下洞窟、其処は思わず感嘆の言葉が漏れ出る程に綺麗な場所だった。長い長い坂道の途中から日の光が射し込まない深さになるのだけれど、代わりに翡翠色に輝く苔が道行きを照らしてくれていたの。思わず手を伸ばして苔を触ればパラパラと乾いた感触と共に手に収まったのだけれど、まるで宝石の破片を手にして入るみたいだったわ。


「ティアさん、この場所については教えてくれなかったけれど、どうしてかしら?」


 流石にお日様の下を歩いている時よりは暗く、日の出前より少し暗い程度だけれど、そっちの方がこの苔がハッキリ見えて美しいわ。でも、此処で疑問が一つ。絶景スポットを案内してくれたティアさんだけれど、この洞窟については教えてくれなかったの。


 私が疑問を口にすると女神様が教えてくれたけれど、少し言いにくそうだったわ。


「あの子はまあ……狭くて薄暗い所が苦手なんだ。怖いという訳ではないが落ち着かんらしい。……私が教えた事は黙っておけよ? あの子はお前には見栄を張りたいらしい」


「ふふふ、私を妹みたいに扱っているもの、お姉ちゃんの意地って奴ね。それにしても女神様も立派なお母さんだわ。ティアさんの事をよく分かっているもの。わわっ!? もう……」


 天井から垂れて来た雫にビックリして思わず声が出てしまった。氷水みたいに冷たくて、指先で撫でるとほんの僅かだけれど重い気がする。舐めてみると変な味がしたわ。


「ぺぺっ! 何なのかしら、この水は……」


「確かコモク水だったな。グリエーンの豊かな緑を育む土壌、その栄養が凝縮された水で、城竜はこの水だけで育った苔のみを食べていると聞くな。一滴で肉体労働の成人男性一日分のエネルギーだとか」


「私も凄く動くから大丈夫ねっ!」


 自分に言い聞かせる様に叫びながら今日の晩御飯は控え目にしようと決める私。やがて坂道の一番下まで辿り着けば巨大な滝が壁の一番上に開いた穴から流れ落ち、地下深くまで流れる激流が存在する広大な広間を目にする。壁も天井も床も一面が苔に覆われて明るく照らされ、私は一瞬だけその光景に目を奪われながらも我に返る


「何なの、これは!? 地図と全然違うわ……」


 地図によれば坂の先には確かに広間が存在するけれど、目の前の広間よりは小さいのが詳細が書かれたメモで明らかで、幾つも存在する分かれ道は見当たらない。坂以外で他の場所に繋がる穴は滝が流れ落ちて来る天井近くの物と激流が行き着く先の二カ所のみ。その上、洞窟の一番奥に生息している筈の城竜が鎮座していたわ。


「……ディロル様ったら地図を渡し間違えたのかしら?」


 真っ先にそんな考えが浮かぶ事に我ながら苦笑しながらも城竜を観察する。絵本で描かれる翼を持つ格好良いトカゲみたいなドラゴンじゃなく、首と胴体が一つになった鰐の様なタイプで翼の存在しない地竜と呼ばれる竜の一種。高い天井に届きそうな程に盛り上がった背中の甲殻は巨体を更に大きく見せている。だけれど一番の特徴は見た目じゃないわ。


「お酒臭い……」


「気を付けろ。可燃性が非常に高いそうだ。ちゃんと専用の柄杓で汲んで瓶に入れるのだぞ」


 栄養豊富にしても程がある水で育った苔を主食にする城竜の体内から湧き出る城竜酒は少し熱しただけで激しく燃え盛る程に危険らしいわ。背中の窪みから汲み取って一定時間冷やせば安全になるらしいから専用の柄杓と瓶を持って来たけれどアルコール臭が凄くて思わず手が鼻に向かう。子供の私なんて暫く嗅いでいたら酔い潰れそうだと思いながら城竜に視線を向けた時、知っている臭いが漂って来た。


「居るのは分かっているから出て来なさい、クレタ!」


 先程から鎮座するばかりで一切動く様子のない城竜の背中、お城の頂上位の高さから顔を覗かせる魔族が一人。牛柄のビキニアーマーに牛の尻尾と角、褐色の肌と赤い髪。筋肉質な所まで女神様と見た目が被っているクレタ・ミノタウロスが氷のジョッキでお酒を飲みながら私を見下ろしていた。


「人が自棄酒を飲んでいる時に五月蝿い奴だと思えば、勇者か。……ふっ。少し震えているが寒さか……それとも私への怯えか?」


 クレタの指摘通り私の体は震えていたわ。そして寒さが理由ではなかったの。勇者に選ばれて何度も苦戦はしたけれど初めての敗北を喫した相手。何より初めて私を殺し掛けた相手を目にした私の体は震え、柄を持った剣は鞘の中でカタカタと音を立てる。


「あの時のふざけた武器も持っていないが……まあ、良い。死ね、今度こそな」


 クレタは氷のジョッキを投げ捨てると空いた手でハルバートを掴んで飛び上がる。体勢を天地逆転にして天井を蹴り付け、落下速度を更に加速しながらハルバートを私に向かって振り下ろした。


「ええ、そうね。私は貴女を見て震えているわ。それは否定しない」


 静かな声で呟きながら頷き、ハルバートに向かって剣を振るう。刃と刃が激突して凄まじい衝撃が腕に走り、足下一体に衝撃で蜘蛛の巣状の罅が入った。でも、そこまで。前回私をなす統べなく追いつめたクレタのハルバートは止まり、私はそのまま剣を振るって弾き返す。クレタは空中で姿勢を整えて着地するけれどおどろいたようすだったわ。


「驚いたかしら? 震えは震えでも武者震いだったの。二度も負けはしないわ、クレタ」


「男児三日会わざれば……か。……ふふふ、ふはははははは!」


 私が得意そうに笑えばクレタは俯いて肩を震わせたかと思うと大声で笑い出す。それにしても先程から感じていたのだけれど、一つ気になった事があるわ。


「クレタ、もしかして片腕が使えないままかしら?」


「そうだが、別に気にする必要も有るまい。万全の状態で戦うのも、万全の状態でない敵と戦えるのも、結局は実力の内だ」


前回の戦いでイシュリア様に肩を貫かれた腕が未だにマトモに使えないのか動く腕で肩を撫でて見せるクレタ。


「要するに私は片腕で十分と言いたいのね?」


「いや、予想以上に強くなっているからな。流石に片腕は厳しい。だから……」


 地面を滑る様な勢いでクレタが迫り、側頭部に爪先が向かって来る。浮かぶのは頭が砕け散るイメージ。咄嗟に後ろに体を反らせば鼻先を通り過ぎた。


「手だけでなく足も使ってお前を殺そう、ゲルダ」


 蹴りの脚を振り抜き、そのまま着地したクレタは勢いを殺さずに体を動かし続けて今度はもう片方の足の踵が不安定な体勢の私へと迫った。今の姿勢じゃ防御は無駄で、後ろにも逃げられない。


「なら、上よ!」


 脚の力だけで無理に飛び上がった私はクレタの蹴りを辛うじて回避、そのまま蹴り付けるけれど力が大して入っていない蹴りじゃ少し後退させただけで効いた様子はなかったわ。でも、これで良いの。前回は手も足も出なかった相手に戦えている、今の私はクレタを相手取れるって分かったから。


「……本当に強くなったな。シャナを倒しただけある」


「貴女に誉められても嬉しくはないのだけれど……リノアって貴女のお仲間かしら? 人質を取って刺客を差し向けるだなんて卑怯な真似をするわね」


 私を見て嬉しそうな顔をするクレタに少し腹が立つ。私は強くなりたいけれど、それは目的達成の方法に必要だからであって強い相手と戦うのが目的らしい相手は理解出来ない。でも、此処で疑問が湧く。こんな相手がイアラさんを脅して私を殺そうとするのかって。案の定、クレタは怪訝そうな顔になったわ。


「……リノアだと? 確かに同朋の一人だが、奴は別の世界の担当の筈。あの女が余計な真似でもしたのか……問いたださねばならんな」


「あら、此処で私に倒される貴女には無理な話ね。……知らないのなら別に良いわ。私達で見付けて助けるだけだから。あの人は助けられなかったけれど、守りたかった相手だけは守って見せるわ」


「ほざけ。此処で死ぬのはお前だ!」


 双剣を構えた私とハルバートを片手で振り上げたクレタが相対し、同時に走り出す。地面を砕く勢いで踏み締めて進むクレタに対して私は風を切る様に進み、リーチの長いクレタの方が先に相手に届く距離に到達した瞬間、私の左手から剣が放たれた。デュアルセイバーを扱いながら学んだ投擲技術によって剣の切っ先はクレタの眉間へと向かって行く。


「ふん!」


 当然それを予期していたクレタは左手で振るうハルバートの軌道を僅かに変え、私を狙いつつ柄で剣を叩き落とそうとする。だけれど予期していたのは私も同じ。右手の剣も続けて投げ、左手の剣の柄頭に当てて軌道を変える。素早く右手で剣を掴んでハルバートを受ければ手が痺れる程の重みがあるけれど耐えられない程じゃない。イシュリア様に改めてお礼が言いたいわ。クレタの利き腕を潰してくれて助かりましたって、ね。


「くっ!」


 軌道を変えながらも顔に向かって来る剣を体を反らして避けるクレタの腕の力が緩み、私はそのまま弾き上げる。ハルバートを放しはしないけれど腕を大きく上げた状態のクレタは腹部を無防備に晒し、私は右手で切りかかった。でも、僅かに切っ先が掠った瞬間にクレタは不格好な体勢のまま足先の力だけで後ろに飛んだ。力強く振るった右手を戻しても間に合わず左手には武器を持っていない。だから私は踏み込んだ。


「いっ!?」


 そのまま口を開き、クレタの尻尾に噛み付く。流石にこれは予期していなかったのね。私だってこんな事をするとは思っていなかったわ。驚愕の声を漏らし、尻尾を押さえられた事で後ろに飛ぶ力を殺された体は下へと向かう。それでも咄嗟に受け身を取ろうとしたクレタだけれど、私は八重歯を力強く尻尾に食い込ませた。半分とはいえ私は狼の獣人、噛み付く力には自信がある。皮を貫いて肉に食い込む牙先、僅かに口に広がる血の味。目の前のクレタが怯んだ瞬間、私の左手は尻尾を掴んで引き寄せた。


「せーのっ!」


「退け、ゲルダ!」


 左手でクレタを引き寄せながら右手の剣を逆手に持ち替えて突こうとした時、突然響いた女神様の声。私は咄嗟に口と手を離して後ろに跳ぶ。突如私が居た場所の左右の地面が鋭利に尖り、開いた本を閉じる様に岩盤が起き上がる。激しい音と共にぶつかり合った左右の地面が元の場所に戻る中、窪みに納まって無事だったクレタが忌々しそうに睨んでいたわ。


「……ぐっ。尻尾を挟んだ」


「あっ、痛かっただけなのね」


 少し涙を滲ませて尻尾をさする姿に思わず気が抜けそうになるけれど直ぐに気を引き締める。きっと今のがクレタの魔族としての能力ね。


「地面の操作かしら?」


「……まあ、否定はしないで置こう。ペラペラと手の内を話す馬鹿になる気はないが、この程度なら構わんだろうさ」


 何か含みを持たせた言い方に警戒を増す。地面だけじゃなく、壁や天井にも注意を払わなければ駄目ね。なら、この洞窟内で戦うのは不利だわ。きっと地図と違うのも彼女の力だもの。


「……馬鹿力だけでも厄介なのに面倒な相手だわ」


「馬鹿力とは何だ、馬鹿力とは。せめて怪力と言え。馬鹿呼ばわりされているみたいで好かん」


「傷んだ明太子を食べ過ぎてお腹を壊した人が何を言っているのよ。貴女は馬鹿で間違い無いわ」


 逆にあれで馬鹿じゃないのなら、馬鹿に当てはまるのはどれだけなのかしら? そんな事を考えつつも素早くバックステップを踏めば立っていた場所に落とし穴が開く。穴の底には逆向きの岩杭、下手にジャンプすれば危ないわね。


(デュアルセイバーが有れば気にしないで済むのだけれど……)


 予想以上にデュアルセイバーを頼りにしていた自分に気付き、これを乗り越えて新調した時はどれ程の力なのかと期待に胸を膨らませる。……本当に膨らまないかしら?


「どうした? 私を前に考え事とは……随分と余裕だな!」


 ハルバートを構え、腰を落とすと矢の如く飛んで来るクレタ。それに併せて地面から鋭利に尖った逆杭が伸びる。剣で切り落としても即座に先端が尖って意味は無い。だから私は杭を掴み、表面から伸びた棘が手に突き刺さるのを無視して腕の力を合わせてクレタ目掛けて飛び掛かった。意表を突きクレタに接近する私、確か女神様はこの技をこんな風に言っていたわね。


「ドロップキーック!!」


 咄嗟に柄を挟み込んだクレタだけれど空中じゃ踏ん張れない。地面を操作して即席の足場を作ろうとするけれど間に合わず、そのまま後ろに飛んで激流に飛び込んだ。


「よし、これでお返しは完了したわ」


「矢張り気にしていたか」


「……だって吹き飛ばされたのってあれが初めてだもの」


 あの時は怖いという気持ちが勝っていたけれど、今は悔しい気持ちが強かった。でも、これで相殺、水に落とした分、私の勝ちね。だから本当の勝負は今から。水から出て来た時が次の局面の開始の合図ね。私はクレタが何処から現れても良いようにと気を張る。だけど、一向に出て来る気配は無かったわ。


「……ねぇ、女神様。もしかして……」


「片腕、だからな。あの激流では泳げないのだろう。……だが、この程度なら可能か」


「きゃっ!?」


 突然私の胴に女神様の腕が回されてその場を飛び退く。洞窟全体が揺れ、地面が盛り上がったのは次の瞬間だった。盛り上がった地面で形成された岩山は徐々に姿を変え、巨大な岩のクレタへと変わって行ったわ。その姿は本物にそっくりで……あれ?


「女神様、本物と違うわね、よく見れば」


「胸が盛ってあるし全体的に女らしい体付きだな」


「う、五月蝿い! 理想の見た目にして悪いか!? ……お前達だって貧相なお子様体型と私と同じ体型の癖に」


 私と女神様が指差して指摘すれば岩なのに表情が豊かに変わり、今にも泣きそうな顔になる。実は気にしていたのね。それとも、気にする様に変わったのかしら?


「……こんな見た目の方が男は好むのだろう? 良く知らんが惚れた相手の好みには合わせたい」


「ああ、そうだな。気持ちは分かるぞ。……だが、消えろ」


 私の脚が地面に着いた時、女神様の姿が横から消える。瞬きの瞬間すら使わずに巨大な岩のクレタの頭上に着地した。いえ、既に拳を振り下ろしていたわ。山が崩れたと錯覚する程の轟音と共に衝撃が突き抜け、発生した風から腕で顔を庇う。再び前を向いた時、岩のクレタは破片すら残らず、砂塵だけが山盛りになっていた。文字通りの一撃粉砕だわ。


「人の夫に色目を使うな。……姉様もこの位した方が良いだろうか?」


「えっと、イシュリア様には助けて貰ったし勘弁してあげて欲しいわ。それに賢者様は女神様に一途じゃない」


「当然だ。それでも腹が立つし、魔族なら力を込めて殴っても問題無い。今のは操っているだけの木偶だがな。……岩の人形の時も木偶と呼んで良いのだろうか?」


「……さあ? でも、もうクレタが何かしてくる様子も無いし、力の範囲外に行ったのか気絶でもしたのか……倒せていないのが残念だけれど、城竜酒を持って帰りましょう」


 今ので力が増大した感覚が来なかったから倒せていないのは間違い無い。出来れば片腕の状態の時に倒して置きたかったのだけれど仕方無いわ。……それにイアラさんの子供について気になる事を言っていたわよね。


「女神様、戻ったら賢者様に子供の捜索を頼みましょう。この際、功績がどうとか言っていられないわ」


「……まあ、お前の心の重荷になっても困るしな。私からキリュウに言うさ。では、さっさと用事を済ませて帰ろう。キリュウにキスがしたい気分だ」


 そういった事を平然と言うのだもの、困ってしまうわ。未だ子供の私には早過ぎるしね。……ちょっと羨ましいとも思うけれど。だって、そこまで愛せる相手に出会えたのだもの。少なくても旅を続ける最中には難しそうね。


「出会いかぁ。楽土丸は今頃……あれ?」


 何故か口に出た名前に気が付いて無性に恥ずかしくなる。彼は魔族の裏切り者だから敵じゃないし共闘もしたけれど、そんな相手じゃないわ。胸を触った責任を取るとか言ってプロポーズまでされたけれど……。


「どうした? 早く帰ろう」


「あっ、はい」


 顔を左右に激しく振って脳裏に浮かんだ顔を追い出すと既に酒を汲んだ女神様の後を追う。この洞窟も後で賢者様に頼んで直して貰わないといけないわね。だって、今回は気絶していたけれど元々城竜は大人しいけれど城竜酒は危険だし、簡単に手に入ったら駄目らしいもの。






 そんな事を考えながら洞窟を出た私達は弓を手にした獣人のお兄さん達と出会したわ。それだけでなく、何故か弓矢を向けられているのだけれど。


「お前達、見ない顔だが東の奴らの味方か?」


「まあ、良い。子供も居るし、大人しく酒を渡せば命は取らない。一応捕虜にはなって貰うがな」


 この時、悪意は私の想定以上に事を進めていたわ……。






 




後書きのネタが…… このまま反応が良ければキグルミ達の日記でもやろうかな

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