とあるメイドの業務報告 ☆
ポイント伸びた! 目指せ1000突破 未だ先は長いが終了迄には……
本日、書きためのを二話 これを一話書きました 応援感謝です
絵を発注中 二枚もです 書いてもらえるの嬉しい!
七十四万字で七章完 次は八十四万字! 賞は無理でもって折角だから一章十万字越え目指し続けます
「アイリーン様、朝で御座います」
人間の皆様初めまして。私は最上級魔族で在らせられるレリル・リリス様の居城に配属されたメイドで御座います。名乗る程の者でもないので詳しい挨拶は省略させて頂きますので、適当に思い浮かべるメイドの容姿とメイドという立場だけを認識下さいませ。
さて、早速ではありますが私がお世話係を任命された方の紹介を。レリル様の側近で上級魔族の中でも飛び抜けた実力を持つアイリーン様で御座います。上級魔族の中でもこのお方と渡り合えるのはレリル様と同じく最上級魔族のリリィ・メフィストフェレス様の側近で在らせられるビリワック・ゴートマン様だけだとか。
・・・・・・正直に申し上げるとリリィ様の配下でなくて安堵していますわ。あの方は下級や中級の使い捨てが酷く、既に人手不足故に人間の奴隷を使っているとか。いえ、私達は人の苦しみ等で力を増すので異論は御座いますせんが、破滅願望の持ち主と噂される方と関わりが無くて幸いでした。
「朝食の準備が出来ました」
こんな風に考え事をしながらも私は職務を続けております。特にアイリーン様は低血圧で寝起きが悪い上に早朝から多忙な身。動きにの妨げにならない程度の量を用意するのが私の務めですわ。
「本日はレリル様がお楽しみ明けですので普段より軽めのメニューとして、豚の丸焼きが三つ、食パンが四斤、目玉焼きが卵二十個、千切りキャベツのサラダが五玉分、コーンスープが十リットル、デザートにヨーグルトが二キロで御座います」
「幾ら何でも少なくないかしら?」
「本日は間食が多い日ですので」
少々不満そうにしながらも食べ進めるアイリーン様。私はその間も仕事を進めます。少し食べ方が汚いアイリーン様の為に着替えは朝食後となっており、レリル様のご要望で本来は男性の衣服の筈の燕尾服をご準備するのです。まあ、燕尾服が男性物だなどは人が決めた事柄であり、私達は魔族ですからね。
・・・・・・男装の麗人に心ときめく同僚の存在は否定しませんし、どう考えてもレリル様の意図はそれなのですが。まあ、私は下級魔族のメイド。深くは踏み込みませんよ。
そして肝心のお着替えなのですが、アイリーン様は下着には強い信念が御座いまして・・・いえ、正確に申し上げるとショーツに関して強い信念が。何と言いますべきか・・・・・・ノーパン主義なのですよ。どんな場所でも、休みの日でさえノーパン。いえ、流石にミニスカは穿きませんがオフの日はスカートを選ぶのですから何とか止めて頂きたいと切に願っている毎日で御座います。
「レリル様、入りますよ」
「ええ、どうぞ」
本人からすれば少々物足らない食事を終え、身支度を整えたアイリーン様が向かうのは当然ですがレリル様のお部屋。私も専属メイドとして細かいお手伝いを任されてはおりますし、リリィ様と違うレリル様にお仕え出来る事は大変喜ばしい事なのですが、お楽しみの翌朝は少々堪える物が有りまして……。
入室許可を得てドアを開ける際、アイリーン様はハンカチで鼻を塞ぎ、私も同じくそれに倣う。ドアを開けた瞬間、漂って来たのは何をしていたのか一発で分かる強烈な香り。媚薬効果の有るピンクのお香の煙を充満させるべく窓は閉め切っており、空気の流れで臭いは一気に押し寄せます。
「また随分と派手に……」
アイリーン様はレリル様の側近であり、絶対的な忠義を誓っております……が、言うべき事は言いますし、拒否するべき指示は拒否しています。今はあからさまな呆れ顔。胃がチクチク痛む事でしょう。医者に胃薬の処方を伝えなければ。
部屋に転がるのはレリル様のお相手を一晩お続けになった殿方達。その数は三十人を超えていますが死屍累々の有り様。性も魂も搾り取られた彼等と違ってレリル様はお肌がスベスベ艶々で元気一杯。相手をする者が残っていれば続きに発展しそう。この時、私達使用人は女でさえも注意して業務に励みます。レリル様は男女の見境も種族の見境も有りませんので。私にはそっちの趣味は御座いませんし、今の所は上手に躱していますよ。
では、業務に入りましょう。別のメイドが身支度や朝食の準備を整える中、私は魔族とそれ以外を分ける作業に入ります。使い捨ての道具と考えれば人間を相手にする事に異論は無いのですが、人間に手を出す位ならば操を捧げるべきかとも思う悩ましさ。
「ほら、起きて下さい」
魔族は仲間なので手を貸して起き上がらせ、歩けない方は集まった人員で運びます。人間は? 足で蹴り上げて適当に積んでいればアイリーン様が軽く摘まんで下さいますので処理が楽で御座います。……モンスターの時が本当に大変で、毛が飛び散るので一旦退室を願い出る事も。……しかし、この独特の臭いは馴れませんね。
「今日は書類仕事よりも肉体仕事が多い日よ。……ちょっと少なくないかしら?」
この日のお仕事は魔族に対抗するべく訓練を続ける兵士達の殲滅。お昼は此方でお弁当を食べますので持って来ていますが、五十段重ねの重箱に少々不満顔のアイリーン様。ですが私とて仕事、言うべき事は言わせて頂きます。
「ええ、本当は二十段程更にご用意したのですが……少し様子を見に行くと出掛けた先の村から人が消えていましたので」
「……ちょっと小腹を満たしただけよ」
「村一つは小腹とは言いません。では、お仕事をお願い致します」
抗議を受け入れず、軽く睨む目もお辞儀で躱して目を合わせません。私、弱い弱い下級魔族ですからね。怖い思いをすれば身が竦んでしまう事でしょう。
しかし、命懸けて故郷の為と戦う彼らの上の者が極秘の筈の訓練場を伝えたのですから、本当に人間は救えない。魔族が世界を制した後の地位の確約? 口約束が守られる筈も無く、中には証文を作成する者も居ましたが、魔族が支配する世において、人間が書類片手に叫んだ所でどうにかなると思ったのでしょうか?
私達は巨大な岩山の陰から訓練の様子を眺めますが、使い物になりそうなのは一割未満。魔族に対抗可能な人材がそう簡単に集まる筈が有りませんので。それこそ天運とでも呼ぶべき何かを持っている者ならば別でしょうが。
「では、さっさと終わらせましょう」
これ以上は何も探る価値が無いと見切りを付けたアイリーン様。現在、私達の姿は兵士達に見付かってしまっています。二十メートルを超える岩山が持ち上げられれば当然ですし、今更何も出来ませんけど。そして巨大な岩山が宙を舞った時、恐怖が広がりました。
掛け声すらなく投げられた岩山が多くの兵が集う場所の中央に落ち、逃げ出す時間すら与えず押し潰す。砕けた岩も降り注ぎ、転んだ者は他の者に踏まれて、正に屍山血河。オマケとばかりに投げられた岩が運良く残った者を絶命に至らせ、断末魔すら聞こえません。聞こえるのは風の音と……。
「……少々早い気もしますがお昼に致しましょう」
「あら、良いのかしら?」
豪快に腹の虫を鳴かせながら舌舐め擦りをされれば致し方無いでしょうに……。ええ、専属メイドとして過大な間食は見逃せません。重箱を食べ尽くす前に仲間と共に死体を処理しなくては!
「御馳走様。今日も美味しかったわ」
「そ、それは何よりで……」
本日の処理係だけでなく手の空いている者を総動員しての後処理は何とか間に合い、アイリーン様が重箱さえ食べ尽くした頃には終了致しました。それが少し残念そうですが私には精々夕食後のデザートを増やす事だけ。では、私も昼餉に……あれ?
「アイリーン様、此処に置いてあった弁当箱は……」
「食べちゃったわ。ごめんなさいね」
前言撤回! 本日のデザートは中止で御座います! 私情? はい、そうですが何か問題でも?
「ふふふふ、部下の子のお昼まで食べちゃうだなんて悪い子ね。今日は私の椅子として過ごしなさい」
「はっ!」
あの後、食堂にて残り物を食べて空腹を満たした私は報告書に昼食の事を記載。罰としてレリル様の書類仕事中の椅子を命じられたアイリーン様ですが、偶に命じられてはいますのでキリッとした返事で表情も誇りと忠義が感じられる物です。
……まあ、下着姿になる罰も与えられていますので逆に滑稽に見えますが。と言うか、上だけ着衣とは中々マニアックな姿に思います。レリル様も悪い癖が出たのか時折お尻を撫で回していますし……巻き込まれる前に退散致しましょう。
「では、私は報告書の作成と交代要員への引き継ぎが有りますので失礼致します」
「そう? 今からちょっと休憩にするから三人で楽しもうと思っていたのだけれど、それじゃあ仕方無いわね。私とアイリーンだけで楽しませて貰うわ」
「はっ!」
アイリーン様が流石に救援要請を送る顔になりましたが、下級魔族如きが最上級魔族に意見など、とてもとても……。
「ほら。アイリーンは此処と此処を同時に攻められるのが苦手なのよね」
「ひゃわんっ!? だ、駄目です! それ以上はお許しをっ!」
「駄ぁ目。今日はたぁ~っぷり楽しませて貰うから」
さて、レリル様の仕事が遅れたなら次の時間帯担当は徹夜でしょうが頑張って頂くしか有りません。
まあ、これが私達の日常で御座います。では、次の機会にお会い致しましょう……。




