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三人称的ライトノベルの弱さ

作者: いかぽん

 『機動戦士ガンダム』という作品がある。

 これのファン向け作品として、『機動戦士ガンダム0083』や『機動戦士ガンダム第08小隊』などといったコア向け作品がある。


 十分な基礎力がある作者の作品なのに、もう一つ人気が伸び切らない作品にありがちな特徴として、最初から『0083』や『08小隊』を作ろうとしてしまうところがある。

 これらの作品は、一度作品世界に魅力を感じて引き込まれたファンに向けた作品としてはそれなりに適切であるが、単体としてこの作品を出すには、ちょっと厳しいものがある。


 『機動戦士ガンダム』と、そのファン向け・コア向けの『0083』『08小隊』といった作品群が、作品単体として見たときに、どこが最も違うのか。

 これは、主人公の特別性スペシャリティにある。


 『機動戦士ガンダム』は、主人公の一人称的な物語として、魅力的なのである。

 主人公のアムロ・レイは、最初は敵よりも圧倒的に強いガンダムという力を持ち、やがては本人がニュータイプという特別で圧倒的な存在として開花する。


 圧倒的な力で、なみいるザコ敵をバッタバッタと倒してゆく無双感。

 子どもたちがワクワクする物語としての適格を、この作品は備えている。


 これに対して『0083』や『08小隊』は、主人公の力が圧倒的に渋い。

 普通なのだ。

 普通の人たち同士の物語を描こうとしている。


 小説としては、これは決して悪いことではない。

 ただライトノベルとしては、童心にかえって作品を楽しみたいライトな読者に「読みたい!」と思わせるような、欲求即応的なパンチ力に欠けると言わざるを得ない。


 もっとも、『機動戦士ガンダム』とて、三人称的な面白さがないわけではない。

 というかむしろ、この作品が他の子供向けアニメと一線を画したのは、この三人称的な面白さが強かったからだと言える。


 ここで言う「三人称的」というのは、その世界が主人公のためだけに用意された舞台ではない、といったイメージである。

 その世界には、物語の中で描かれた者、描かれなかった者も含めて、主人公以外のたくさんの人が実際に生き、各々の人生ドラマを繰り広げているのだろうと視聴者に想像させるだけの強度がある。


 最終的に強いのは、この「一人称的な面白さ」と「三人称的な面白さ」を、どちらも併せ持った作品であると僕は考えている。


 しっかりしているのに伸びない作品は前者を軽視し、骨のないランキング上位作品は後者を軽視する。

 そして評論家気取りのノイジーマイノリティは、後者のみを見て、前者を見る力がないのだから、彼らの言うことばかりを聞いていては多くの読者にとって魅力的な作品が作れないのも道理である。


最近、「感想にレスしないとか読者をバカにしている」的な意見が別のエッセイに別の読者から二連発して来たので、エッセイの感想欄は閉じることにします。

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