7 前夜
異世界召喚されて三週間がたった。
明日、実戦をかねてダンジョンに行くらしい。
僕も明日は、ついて行くことになっている。
ユリスと仲良くなってから毎日図書館に通っている。僕が来るとユリスは、僕のところに走ってくる。
毎日図書館に通っているので、訓練にはでていない。美子達にいつも何をしているのかきかれたので、「図書館でユリスと一緒に本を読んでいる。」と、答えたら、美子は驚いていた。亜沙子は、「ヴぅ~」と、唸りながら僕を睨みつける。姫に関しては、「ずるい」と、いってきたので、「僕は別に、訓練をサボっているわけじゃないよ。」と言うと、姫は、「そうじゃない」と言い、どこかに言っしまった。倉石さんに関しては、「私も、訓練を休んで図書館に行きます。」などと、おかしなことを言い出し、更には、騎士団長のアイザックさんに許可をもらおうとしたため説得するのに時間がかかった。
(明日は、いよいよダンジョンか。図書館で覚えた魔物に関わる情報が役に立つといいけど⋯⋯)
そんなこと考えていると、扉にノックの音が聞えた。
「ゼロト、いますか?」
「ユリスか、どうした?」
扉を開けるとユリスがいた。
「ゼロト、あ⋯⋯あの⋯⋯⋯」
「立ち話は疲れるから部屋に入って」
そう言って僕は、ユリスを部屋に入れた。
「それでどうしたの、ユリス?」
「ゼロト、明日ダンジョンに行くのはやめてください。」
ユリスは、予想もしてなかったことを言ってきた。
僕の為に言ってくれていることはユリスの目を見たらわかった。
しかし、
「どうして?」
なぜか聞き返してしまった。
「ゼロトは、弱いのにどうしてそこまで魔物に関することを知ろうとするのかが前から気になっていました、なぜそこまでするのですか?」
「そ、それは、ほかの勇者達のためにな――――――――」
「本当にそうですか?」
ユリスは、僕の返答が分かっていたかのように聞いてきた。
「私は、ゼロトがいつも勇者様達にいじめられているのをしっているんですよ。」
「みてたんだ。」
「ええ」
まさか見られていたなんて。ほかの人みられてないと思っていたのに。
そう、僕はいつもみんなの訓練が終わった後、王城の裏に呼び出され殴られたり蹴られたりしていた。それを行っていたのは霧島、岡村、山口である。
「だから、ダンジョンに行くのは、やめてください。」
「それはできない。」
「なぜ!?」
「確かに、僕は、ユリスの言うとおりいじめられている。だけど僕と仲良くしてくれる人もいる。だから、その人達だけダンジョンに行かせ、僕が安全でいることはできない。」
「分かりました。だけど、生きて帰ってきて下さい。」
「わかったよ、ユリス」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯帰ってきたら⋯⋯⋯⋯」
最後にユリスが何と言ったのかはききとれなかった。ユリスはしばらく僕の部屋にいた。しばらく時間がたち、
「ゼロト、そろそろ私は戻りますね」
「ああ、お休み」
「はい、おやすみなさい」
その後、ユリスは、自分の部屋に戻り、僕は、眠りについた。