25 織本 咲音
「会いたかったです。零斗先輩」
「咲音ちゃん!?どうしてここに?」
目を開けると前には俺の後輩の咲音ちゃんが立っていた。
「どうしたの、ゼロ⋯⋯ト⋯⋯⋯く⋯⋯⋯⋯ん⋯⋯⋯⋯」
「どうした知音」
「えっ」
二人はお互いの顔を見た瞬間、涙を流しながら抱き合った。
「会いたかったよ、お姉ちゃん」
「私もだよ、咲音」
「もしかして、二人って姉妹?」
「そうだよゼロト君」
「そう言えば零斗先輩には名前しか教えてませんでしたね」
「そういえば名前しか教えてもらってないな」
「その前にどうしてゼロト君が私の妹と仲が良いの?」
知音に聞かれて俺と咲音ちゃんは半年前の事を話した。
~~~~~ 半年前 ~~~~~
新入生が入学してまだ数日たったころ、新入生だった咲音ちゃんは移動教室のときに迷子になっていた。
ちょうどその時移動教室だった俺がそわそわしている女の子を見つけた。
「きみ一年生だよね、どうしたの?」
「あ、いえ、⋯⋯その、迷子になってしまって⋯⋯⋯⋯」
「それなら送っていくよ。」
「いいんですか?」
「うん、どこにいくの?」
「えっと、美術室です」
「わかった、行こうか」
「はいっ」
それから美術室まで喋りながら一緒にいった。
5分くらいしたら美術室に着いた。
「送ってくれてありがとうございます。私、咲音と言います。」
「僕は零斗。よろしくね、咲音ちゃん」
「よろしくお願いします、零斗先輩」
これが俺と咲音ちゃんの初めての出会いだった。
それからたまに会うことがあってだいぶ仲良くなった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「―――――というわけで俺と咲音ちゃんはまぁまぁ仲が良いというわけだよ」
俺と咲音ちゃんの初めてあった事を話した。その時知音の表情はとても複雑なかおになっていた。
「ゼロ様、話を聞いてる限り知音さんの妹さんのようですが」
「そうか、エミとレグレスは知らないのか、彼女は織本 咲音、俺の後輩で知音の妹だ」
「初めまして、織本 咲音です。これからよろしくお願いします」
「初めまして。エミといいます。サキネさん、これからよろしく」
「妾は魔剣レグレス。よろしくなのじゃ。」
まぁ、これならすぐ仲良くなれそうだな。
「そういえば、サキネさんはどうしてここにこられたのですか」
「あぁ、それは―――――」
『ここからは私が話しましょう』
「アルダナか」
『はい、サキネ様をそちらに送ったのは私です。私のもう一つの加護を与えて』
「もう一つの加護?」
『はい、邪王神アルダナの加護を』
「邪王神アルダナの加護⋯⋯⋯」
『もう時間が来てしまったのでこれまでです。また会いましょ。ア・ナ・タ」
そうしてアルダナとの念話終わった。
「咲音、ちょっと」
知音は咲音ちゃんを呼んで何か話し始めた。
「エミとレグレスはもうこのダンジョンを出ていいな」
「はい」
「旦那様についていきます」
その後、知音達の話はすぐに終わった。
「もう地上にいくけどいいか?」
「ちょっと待ってゼロト君」
「どうした知音」
「うん、ほら咲音言うんでしょ」
「うん」
どうやら話があるのは咲音ちゃんのようだ。何だろう?
「あ、あの零斗先輩、わ、わわ、私と結婚して下さい」
「⋯⋯⋯!?」
「そ、その、だめ⋯⋯⋯でしょうか?」
「いいよ」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯っ!?い、いいんですか?」
「うん、これからよろしくね、咲音ちゃん」
「は、はい、よろしくお願いします零斗先輩」
こうして咲音ちゃんのも俺の妻になった。
「それじゃあ外の世界に行こうか」
そうして、俺達はダンジョンから転移した。