23 魔剣レグレス
「「「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」」」
見慣れたステータスだが、どうしても黙り込んでしまう。強くなるのは嬉しいんだけどどうしても悲しくなってくる。
「俺、どんどん人間やめていってないか?」
「だ、大丈夫だよゼロト君。私はゼロト君が人間やめても愛しているから」
「私もです。たとえゼロ様が人間ではなくなっても私はゼロ様の妻であることに変わりはありません」
二人の言葉は俺を癒してくれた。そう思い二人を見ると驚く出来事があった。
「知音その左手治ったのか?」
「左手?」
そう言い知音は自分の左手を見ると、どんどん涙が流れてきていた。
「左手がある⋯⋯⋯、元に⋯⋯⋯戻っている。でもどうして⋯⋯⋯?」
「恐らく、ゼロ様の力でしょう。進化した事によって自動的に発動したのかと⋯⋯⋯」
「何はともあれよかったな、知音」
「うんっ!!」
そうして、喜んでいるといつの間にか何もなかった壁に扉ができていた
「このタイミングで扉が出てくるとあの中には何かありそうだな」
そんなことを考えていると、
「「「っ!!」」」
扉の中から変な気配がした。
「とりあえず入ってみるか」
そう言って扉を開けた。
扉の中には、魔法陣がありその中心には剣が刺さっていた。
「ゼロ様、この部屋⋯⋯⋯」
「ゼロト君、ここ何か変な感じがするよ」
「あれはっ!!」
俺は魔法陣の中心に刺さっている剣に見覚えがあった。
「魔剣レグレス⋯⋯⋯」
「ま⋯⋯魔剣⋯⋯?」
「レグ⋯⋯レス⋯⋯?」
二人は知らないらしい。
俺は城で童話を読んだから覚えていた。
「とりあえずあの封印を解くか」
「大丈夫なのゼロト君?」
「もし何かあったらどうするんですかゼロ様」
「大丈夫だよ二人とも」
そう言って俺は魔法陣に近づいた。
魔剣の前に立ち魔剣に触れたとき、
(妾に触れるとは愚か者目。その体のっとらせてもらう)
頭の中にその声が聞こえた。
その瞬間黒いオーラが俺の体をのみこんだ。しかし体には何の異常はなかった。
(妾がのっとることができない。こんなこと⋯⋯⋯。フフッ、お主、気に入った)
(どういうことだ?)
(これからは妾を使ってくれ、旦那様)
(まさか⋯⋯⋯)
(とりあえず人間の姿になってもいいか)
(いいぞ)
その時、魔剣が黒いオーラに包まれ人間の姿に化わっていく。
黒いオーラが消えると目の前に和服姿の少女が立っていた。
「初めまして。妾はレグレス。よろしく旦那様」
その時、後ろから殺気を感じた。