19 加護
「さてと、まずは称号から見ていくか」
そういって、俺は【称号】の下にある文字にふれた。
召喚に巻き込まれし者⋯⋯⋯伝説の勇者召喚で巻き込まれた者。
神に愛されし者⋯⋯⋯神に気に入られると、その神の加護をもらうことができる。
「称号はスキルに比べると少しちっぽけな感じがするが、神に加護をもらうことができるのはいいな」
神に加護をもらえるということは、俺が強くなれるということだ。それは、俺にとってとても嬉しいことでもある。
「あれ?」
「どうした、知音」
「確かアルダナさんはゼロト君に与える加護がなかったから、ゼロト君は加護がなかったんだよね?」
「あ」
そうだった。俺に与える加護がなかったから城で見たステータスに加護がなかった。
「それじゃこの称号もいみねーじゃん」
俺はだいぶへこんだ。
「それなら大丈夫ですよ」
エミだった。大丈夫って、
「何が大丈夫なんだ?」
「私が神になると同時にたくさんの神候補が新しい神になったのです」
「それってつまり⋯⋯⋯」
「はい、ゼロト様はこれからたくさんの加護を手に入れる事ができます」
「エミ、教えてくれてありがとう」
そういって、俺はエミの頭を優しく撫でた。エミは気持ちよさそうな顔をした。
「エ、エミだけずるい。ゼロト君、私の頭もその、なでてくれないかな~?」
知音に頼まれたので、俺は知音の頭も優しく撫でた。
「それじゃあ、加護を見ていくか」
邪神エミの加護⋯⋯⋯闇魔法の威力が上がる。呪いの効果を受けない。
最高神アルダナの加護⋯⋯⋯レベルが上がるのが速くなる。思いついた魔法を使うことができる。
「ゼロト君、この二つの加護だけで人間やめかけてるね」
「種族のところ見たけど半人半神になってた。なんだ半人半神って」
『それは私の方から説明しましす』
「アルダナ⋯⋯なのか?」
『はい、アナタのアルダナです、ちなみにこの声は私の住む場所から送っています。簡単に言うと、念話です』
「念話?」
『嫁のところに名前が乗っている人とその旦那は念話ができるんです』
「それはいいな。ところでアルダナ、半人半神ってなんだ?」
『それは人間でありながら神に近い人のことです』
「教えてくれてありがとな、アルダナ」
『それでは、私はこのへんで、またお会いしましょう。ア・ナ・タ♥』
そう言ってアルダナとの念話が終わった。
「アルダナさん、どんどんおしていったね⋯⋯」
「悔しいですけどアルダナ様の方が1枚上手でした」
「今はダンジョンを出ることに集中するぞ、二人とも」
「うん」
「分かりました」
再びダンジョンの中を歩き始めた。