11 境界へ
地面が崩れて僕と織本さんは、下に落ちていく。
「⋯⋯⋯織本さん、⋯⋯⋯⋯⋯手を。」
そう言って僕は織本さんに手を伸ばした。織本さんも手を伸ばした。そして僕は、織本さんの手を握り、⋯⋯⋯⋯⋯抱きしめた。織本さんも抱きしめ返した。
「ボクは南鳥クンと、どこまでも一緒に行くよ。どこまでも一緒に。」
そう言った瞬間、織本さんの強く抱きしめてきた。
「僕も織本さんと一緒にいたい。これからもずっと。」
僕も織本さんを強く抱きしめた。
そして僕と織本さんは、地面に落ちた。
しばらく僕はきを失った。
「⋯⋯⋯⋯⋯ク⋯⋯⋯⋯⋯みな⋯⋯⋯⋯⋯南鳥クン。」
ボクは、織本さんの声で気がついた。それと同時にとても強い痛みに襲われた。
「いたッ!なんだ!?」
痛みのする方向に目を向けると、右手がなくなっていた。
「なっ‼何で右手が。」
「そんな南鳥クンも⋯⋯」
織本さんのほうを見たら、彼女は左手がなくなっていた。
「僕が⋯⋯⋯もっと強ければ、僕が⋯⋯⋯僕が⋯⋯⋯、僕は⋯⋯⋯俺はもっと強くなる。」
「ボクも⋯⋯⋯私も強くなる。南鳥クンと一緒に」
「それなら先に進もう。強くなるために。」
「うんっ!」
その瞬間、周りがまぶしく光って、見たことのない場所にいた。
「ここは⋯⋯⋯?」
「南鳥クン、大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ、織本さんは?」
「私も大丈夫だよ」
そこに二人の女性が姿を現した。
「初めまして。南鳥 零斗君、織本 知音さん」
「ようこそ、境界へ」
そこにいた女性は、そう言いながらニッコリ微笑んだ。