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第二十八話「魔砲少女 結乃すくらんぶる!」①

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第二十八話「魔砲少女 結乃すくらんぶる!」①

---Yuino Eye's---

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「ほんじゃ! お母ちゃん! いってくるけんね!」


 そう言って、私はお母ちゃんに手を振って、家の玄関を飛び出した!

 

「結乃ちゃん! 本当に大丈夫なんか? ちゃんと病院行った方がえぇと思うで!」


 お母ちゃんが心配そうにそう声を返しながら、後を追おうとするのを私は制止する。

 

「大丈夫じゃけん! もうピンピンしょーるから、こんなで病院行ったら、仮病とか言われるのが関の山じゃ!

 心配せぇんでええよっ! ほんじゃ、もう行くわっ!」


 言いながら、もう走り出す。

 中学までの道のりは結構あって、約1.5kmってところ。

 

 振り返ると山……我が家はその山の麓の公共住宅。

 なんだけど、それぞれの建物に星座の名前が付いてて、なんかお洒落!


 うちは、さそり座なんだって……なんか、そんな歌あったなぁ……なんて事を思ったりもする。


 尚、実際は結構地味でかつボロい。

 冬場は隙間風が吹き込んで、家の中で上着着ることだってある。

 まぁ、岡山は冬場でも氷点下いかないし、雪も降らないから、他所よりはマシみたいだけどね。 


「ねぇねぇ、結乃っち……お母さんがああ言ってるんだから、学校くらいお休みしたって良かったんじゃない?」


 コートのポケットから、顔を出しながらそんな事を言ってくるのは、くろがねちゃん。

 ……私はクロちゃんと呼んでいる。


 クロちゃんは身長10cm程度の小人さん……妖精さん?

 正直言って、良く解らないんだけど。

 

 私がこうやって、元気に走り回っていられるのも彼女のおかげ。

 私の命の恩人であり、相棒にして、新しい友達!

 

「いやいや、クロちゃん。今日行かんで、どうすんのって話なんじゃ。

 中菱の馬鹿……変な噂とか絶対広めると思うんじゃ……じゃけん、先に釘刺しとかんと!」

 

「うーん、暴力とかダメだよ? 君の身体……わたしと同じマテリア体なんだからね?

 まずは、加減を覚えないと大変な事になるよ! 今だって、そのつもり無いと思うんだけど……時速40kmとか出てるの気付いてる?」

 

 クロちゃんにそう言われて、慌ててブレーキを掛ける。

 いつのまにかバイクの人を追い抜いていたらしく、唖然とした顔をしながらめっちゃ見られた。

 

 私としては、軽いランニング程度のペースで走ってたつもりだったんだけど……。

 

「あはは……ごめんね! そぉじゃなぁ……気ぃつけんとなぁ……。

 しっかし、すっごいなぁ……なんか、私スーパーマンみたいじゃのぉ……。」

 

「みたいじゃなく、スーパーマン顔負けなんだよ?

 車とかも気をつけないと……事故ったら、君じゃなくて、相手の方が大変な事になっちゃうからね。」


 クロちゃんのお説教。

 これでもう何度目だろう? けど、いちいちごもっとも。

 

 ちなみに、クロちゃんはこう見えてハタチ近いお姉さんらしい。

 

 でも、見た目はチンチクリンのお人形サイズ。

 

 カッコは銀河鉄道の車掌さんみたいな黒くて厳ついカッコなんだけど。

 私のくまたろうよりちっさ可愛い! 


「ん、クロちゃん先生! ご指導ありがとなぁ。

 けど、学校じゃ大人しくしててくれんといかんよ?

 いちお、姿は消せるんじゃったっけ?」


「結乃っちみたいに、天性の直感持ちでもない限り、わたしの光学迷彩術式は見破れないよ?

 それに中学なんて、文字通り、とっくに卒業してますよーだ。」

 

 ドヤ顔のクロちゃん。

 魔法の世界の……ではなく、この世界の中学……なんだって!


 そもそも、クロちゃんは元々こっちの世界の東京住まいだったらしい。

 すっげー! 首都東京住まいっ!! まじカッコイイ!


「ほら、クロちゃん! ここが私の通う中学校じゃ!」

 

 話をしてるうちに、中学の校門の前に到着。

 いつもよりだいぶ早く着いたせいで、まだまだ全然人影も少ない。


「おおっ! なんか校庭広っ!」


「そ、そーなの? こんなん普通じゃろ?」

 

「うーん、視点が低いせいかな? けど、私の行ってたとこはまっすぐ100m走なんて、出来なかったけど。

 この学校の校庭……150m走だって出来るよ!」


 そう言いながら、クロちゃんは指で四角を作って覗き込んでる。

 

 ……私も真似てみる。

 目標の大きさが解ってれば、これでおおよその距離が解るんだとか。

 

 なるほど、解らんっ!

そんな訳で、始まりました。

第三章「魔砲少女」編です。


第二章のラストシーンの続きではなく、だいぶ話飛んでます。

くろがねちゃんも、何だかコンパクトになってしまって……。(笑)


まぁ、あの後の事は、ポツリポツリとくろがね達から語られる事になるかと思いますが……。

相応の悲劇と激戦の末に、くろがねは現実世界に出戻ってきてます。


とりあえず、初回はこちらも様子見たいので、短めにまとめました。

結乃はセリフはガチガチの岡山弁ですが、一人称の語りは標準語形式です。


結乃パート全部、岡山弁なんかにしたら、もう訳が解りませんからね!


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