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第十九話「帝都炎上」④

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第十九話「帝都炎上」④

---3rd Eye's---

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「……しろがね、ターゲットヒット! さっすが……距離800mくらいあったのに、当てるなんて、スゴいね!」

 

 辺り一面瓦礫の山のようになった皇城のバルコニーで、帝国製の望遠鏡を片手にくろがねが立ち上がりながら、感心したような声をあげる。

 

「けど……浅かったみたい……たぶん、弾が当たっただけ。なんかわざと当たって落ちてみせたんじゃないかって気がする。さすがにこの距離だと、威力も半減するなぁ……。普通はあの高さから落ちたら無事じゃ済まないと思うけど……正直、仕留めれたとは思えない」


 憮然とした表情で愛銃エトワールを構えながら、伏射姿勢を取ったしろがねが身体に積もった埃を払いながら応える。

 銃の有効射程を超える上に、撃ち上げる対空射撃となった為、さすがに威力も減衰したようだったが、そもそもこんな夜間射撃で当てる時点で異常だった。


「姫様が墜落地点へスッ飛んでったのが見えたし、最初にフリーダイブしたやつもダイン将軍が捕捉して交戦中だって……。あの二人なら、後続が来ない限りなんとかなるでしょ。それにしても、なにあれ? レーザーみたいなの放ってきたけど、グニャグニャ曲がりまくってたし、一発着弾しただけでこの有様。たしかに、大戦力の降下の可能性は想定してたけど……近代兵器並の火力なんて、むちゃくちゃじゃない。ワイズマン様……あれも使徒なんですか?」

 

 くろがねがそう言いながら、辺りを見渡す。

 バルコニーと大広間は、バルコニーに着弾した余波だけで、半壊し瓦礫の山のようになっていた。

 

 この騒ぎに事情を飲み込めないまま、バルコニー付近に集まっていた人々はまとめてなぎ倒され、死傷者も多数出ているようだった。

 けれど、くろがね達は……怪我ひとつもなくあっさりしたもの。

 

 初撃で瓦礫やら爆風の余波やらをしっかり食らっていたのだけど、くろがね達の防御力の前には涼風程度でしか無かった。

 

 本来、こんな爆撃を受けて、即座に反撃などとても出来ない話で……実際、紅玉と黄玉も防御に徹していた。

 

 けれど、しろがねは銃砲弾の飛び交う戦場……くろがねもVR戦場とは言え、対戦車戦闘なども経験している。

 どちらも、大火力が相手の場合こそ、やられる前にやれと言うのが基本と言うことで、落ち着いたものだった。

 

「くろがね……油断しちゃ駄目ですわ。あいつ……私のフレアボムの発動前に回避行動に移ってましたわ。

 アレって、前触れとか何もなく唐突に空間自体が爆裂する……。そう言う魔術だから、遮蔽物とかもお構いなしで、普通は避けられないはずなんです……。くろがねみたいに、魔術発動に自動反応するキャンセラー持ちなら話は別なんですけどね……。発動を事前に察知して避けた……ありえませんわ。それに……あんな無造作に放った光条一つでこの威力……飛行船も、コースそらそうとしただけなのに……とんでもない爆発するし……」

 

 迫りくる飛行船を火炎魔法で迎撃した紅玉が振り返りながら、告げる。

 爆発の余波で、相応の被害は出たようだったが、バルコニーには被害は及ばなかったのが、不幸中の幸い。

 

「いやはや……私はお前達と違って、あんなのまともに食らったら即死だからな。黄玉……もういいぞ……助かった。あの飛行船……恐らく水素で浮いてるな……言わば空飛ぶ爆弾みたいなもんだ……。連中、正気か? 紅玉……迂闊に火を使うとヤバイぞ……あれの迎撃は帝国軍に任せたほうがいいな……」

 

 ワイズマンがそう言いながら、黄玉が作り出した岩壁の影から顔をだす。

 黄玉は、ニコリと笑うとワイズマンに手を貸す。

 

「黄玉……お前は治癒魔法も使えたな? 今の攻撃で相当数の死傷者が出ている。こっちはもう良いから救助活動を行ってくれ……当分、攻撃はこないはずだからな」

 

「かしこまりました……それではちょっとお手伝いしてきますね!」


 そう言って、黄玉が小さな身体を揺らしながら、けが人達のもとへ向かう。

 

「くろがね……すまんが、あの敵は完全に未知の敵だ……私の知る限り、あんな攻撃は見たこともない。エーリカ達の支援に向かったほうが良いかもしれん……連中、ここにエーリカ達が居ることを解ってて、攻め込んできたんだろうからな……勝算があるからこその強襲……そう言う事なのかもしれん。」

 

「私もそう思うよ……あの敵、相当ヤバイ。あの敵……初撃の銃撃を明らかに避けてた……何ていうか、銃撃戦ってもんを解ってる……。えらく撃たれ慣れてるって感じ……ホント、なにあれ? それに、次弾が当たったから良かったようなものの……まともに反撃されてたら、危なかったよ。思い切りこっち見てたし……くろがねがとっさに銃貸してくれなかったら、向こうに先に撃たれて、吹き飛ばされてたね……」

 

 しろがねの言葉を聞いて、くろがねも眉をしかめる。

 先程の銃撃……本当は二人がかりの時間差射撃で仕留めるはずだったのだが、しろがねの銃撃に反応して初弾を避けたのを見て、しろがねの狙撃技量に賭けた……と言うのが実情で、実は結構危うい状況だったのだ。

 

「そうだよね……あいつ……市街地への無差別攻撃とかやってたし、手段を選ばない感じ。それに姫様って戦いを楽しんじゃったり、正々堂々と戦うタイプだからちょっと心配。しろがね……一緒に来てくれる? 単独で挑むのは絶対ヤバイ……。紅玉さんと黄玉さんはワイズマン様とお城の守り……こんな感じでどうかな?」

 

 くろがねの言葉に、皆無言で頷く。


「やれやれ……ただじゃ済まないとは思ってたが……敵はチャリオッツだけじゃないって事か……。めんどくさい事になってきたな……くろがね、ひとまず楽に倒せるような相手だと思わないほうがいいぞ。先程、魔王様と通信で連絡を取ったが、状況次第では我々だけでも魔王城まで撤収する。空間転移ゲートをこの場に作る……最悪、帝国の要人を魔王城へ避難させる事や魔王城から増援を呼ぶ事も考えるべきだろう。そんな訳で、紅玉はゲート設営準備の為、一緒に来てくれ……くろがねとしろがねはエーリカ達の支援と敵の足止めだ。以上……皆、速やかに行動に移れ……!」

 

 まずは真っ先に退路を確保する……堅実なワイズマンらしい判断だったが……全く未知の敵と相対するのに退路も無く戦うなんてのは無謀でしかない……。

 

 もちろん、撤退は帝国を見捨てるという事でもあるが……。

 要人救出の為と考えれば、むしろ現実的な判断だと言えた。

 向こうがその気になれば、この程度の城……たちまち瓦礫の山にされる……。

 

 ワイズマンが走り出すと紅玉は頷くとあとを追う。

 しろがねとくろがねの二人もバルコニーから階下へ飛び出していった。


 唐突に始まった帝都攻防戦。

 誰もが予想だにしない強大な戦力を持つ勇者達の来襲!

 

 その戦闘の行方はまだ誰にも解らなかった。

カヤ様にやられてる方は…案の定、大惨事です。

カヤ様的には、帝国はやられ役のモブ程度にしか考えてないので、気分はレイストーム。


なんか、先日はPVが1000超えちゃいました…。

平均の倍です…やっぱり、カヤ様ジンクス強いなぁ…。


いっその事「伽耶様のぼてくりサーガ」なんてタイトルで一作作ろうかな。


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