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第一話「Dreams come true」①

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 第一話「Dreams come true」①

 ---Kurogane Eye's---

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 ……心地良く微睡んでいたわたしの眠りは、不意に誰かに腕を掴まれて、勢い良く引っ張られた事によって無残に打ち破られた。

 

「にょわあああっ!」

 

 なんとも、ヘンテコな声が出てくわっと目を開ける。

 次の瞬間、わたしは白い人影にガバっと抱きしめられていた。

 

 目の前でわたしを抱きしめているのは、青いツリ目に銀色の髪、白と淡い青を基調としたフリフリのメイド服を着ている女の子。

 

 なんか、子供をあやすような感じで、背中をトントンと叩かれる。

 そして、彼女はじっとわたしを見つめるといたずらっぽい笑みを浮かべる。

 

「くろがね! おはようっ! どうした? 溺れてる夢でも見た? 何か……ふおぉって感じで、うなされながら手を伸ばそうとしてたから、思わず引っ張ったげたけど。なんか言う事ない?」

 

 身体を離しながら、わたしの手を握り、そんな風になんだか楽しそうにそう言ってくるのは、白銀しろがね

 わたしの……姉に当たる存在。

 

 厳密には、姉と呼ぶにはちょっと違う。

 近い概念としては車なんかのグレード違いとか色違いに近いかな……。

 

「んっと……そ、そうっ! 水に落ちて溺れるぅって、必死で手を伸ばしてたんだけど、まさかのしろがね登場! さすがにびっくり……危ないとこだったよ……。でも、夢の中まで助けに来るとか、さっすがしろがねだね! あはは……。んと……ありがとっ!」

 

 実際はあの日の夢を見ていたのだけど、適当なことを言って話を合わせる。

 妙にリアルで嫌な夢だった……死にぎわの再現フィルムとか、ホント勘弁して欲しい……。

 

 しろがねを見返すとちょっとだけ心配そうな目をしていた。

 

 自分の頬にふれると少し湿ってる……涙のあと――あちゃあ……不覚。

 たぶん、しろがねには気づかれているのだと思うけど、何事もなかったかのように笑顔。

 それくらいの気遣いはしてくれる程度には、彼女はいい娘。

 

「そっかそっか……一人で寝るから変な夢みるんじゃない? 今夜は私が添い寝でもしたげるよ。それより、早いとこ支度する! 今日はとっても大事な日、我らが魔王城が地上に浮上する日だからさ。これから、色々と忙しくなるんだから……シャキッとするっ!」

 

「うん、解ってる……姉上、くろがね、かしこまりまりです。」

 

 寝ぼけ眼をゴシゴシこすって、キリッと真面目な眼付きで、親指を立てながらそう答える。

 

 しろがねの添い寝……と言うか今夜は抱きまくら代わりになれと言う事実上の命令。

 まぁ、いいんだけどさ……石造りの部屋は夜冷えるし、誰かの体温を感じながら寝るのってちょっとした幸せなんだから。

 

「外で待ってるから、なるべく急いでちゃっちゃとやる! てか、40秒で支度しろ! 出来なかったら、あとで腕立て腹筋スクワット100回コースだからねっ!」

 

 そう言って、最後にウィンク。

 有名なあの台詞を、ガチで言われてしまったけど……40秒なんて、寝巻き脱いで下着換えただけで経ってしまうよっ!

 

 あと、さらっとトンでもないこと言ってった……100回とか普通にキツイのに……。

 更に重りゴテゴテ巻きつけてのハードなやつだと予想。

 

「う、うわぁああんっ! いっそげーっ!」

 

 そう叫びながら、大急ぎで一旦全部脱いで、軽く身体を拭くと、下着姿で鏡の前にダッシュ。

 

 鏡に写るのは、何と言うかとっても小さな女の子。

 背丈はいいとこ、120cm程度と極めてコンパクト。

 

 前髪パッツンで腰まである真っ黒な髪と赤いタレ目。

 眉毛だけはキリッとつり上がったどちらかと言うと男前な感じ。

 

 雰囲気的には……日本人形……だよねぇ。

 和服着てお盆とお茶でも持てば完璧かも。

 

 しろがねとは、容姿についてはほぼ一緒で、髪の色とか眼の色とかが違う。

 

 色違いの2Pカラーとで言えば解るかな? そんな感じ……けど、結構印象が違うし、いつの間にか全体的な雰囲気とか、細かいところが全然違う感じになってきてしまったと、最近とみにそう思う……。

 別にわたしが一方的にデブったとかそんなじゃないからね、念のため。

 

 ……身体の方は文字通りのまな板胸に、スットンと凹凸もない細い腰に同じく細く華奢な手足。

 要するに、子供子供した推定年齢ひとケタ台のお子ちゃま体型。

 

 微かに覚えている自分の姿とはかけ離れた姿のわたしがそこにいた。

 

 ……わたしの名前は「黒鉄くろがね

 

 次元の狭間に浮かぶ魔王城の主……千年魔王様に仕える幾人もの下僕達……マテリアドールのひとり。

 

 あの日……病魔に屈し、力尽き果てたわたしだったけど。

 剣と魔法のファンタジーな世界に君臨するとある魔王様に、第二の生を賜ると言う奇跡に恵まれた。

 

 そう……神様でも悪魔でもなく魔王様の……だ。

 わたしだって、ファンタジーもののアニメとか見たり、ゲームなんかをやった事がある……と言うかむしろ大好物でした。はい。

 

 まぁ、そんな訳で、魔王様とかについても大体のイメージはある。

 いわゆる悪役とかラスボスとか、そんな感じでお馴染みのアレだ。

 

 ちなみに、魔王様は自分でそう言ってたから魔王様なのだけど。

 正直、何で魔王様なのかは、よくわかんない……何かと戦う予定はあるみたいなんだけど、今のところびっくりするほど平和な日々。

 

 もちろん、平和だからって色々やることはある。

 掃除とか洗濯にお料理とか……結構おっきいお城なんで何かと大変なのですよ。

 聞いた話だと、横幅400m、縦幅200mくらいあるとかなんとか……。

 

 とにかく……要するに、自分はそんな魔王様の配下……悪役の中のひとり……と言う訳なのさ。

 ふふん! ヒール役だって、開き直っちゃえばこっちのもんなのよ?

 

 今はともかく、そのうち勇者とか冒険者と戦ったり、街や村を襲えと命令されたら、やらなければならない。

 人間の軍隊とかとも戦うのかもしれない……まぁ、魔王様と言えば、大抵そんな感じだしね……。

 

 けれども、わたしはそんな事、これっぽっちも気にしてなかった。

 この第二の生を与えられたという奇跡と言うのは、一度でも死を経験した者にとっては、すべてを引き換えだとしても構わない……その程度には価値があるものだった。

 

 例え、その生が修羅の道であったとしても……わたしは一向に構わない。

 

 わたしは文字通り、魔王様に魂を売り渡して、第二の生を得たようなものなのだから。

 魔王様の為ならば……悪魔にだって修羅にだってなるよ……。

 ……これはいっぺん死んでみれば解るよ?

 

 だから、他の同じような立場の仲間達同様、わたしは魔王様へ絶対なる忠義を誓うことにまったく抵抗はなかった。

 

 掃除に料理、洗濯、家事全般なんでもこなし、時には外敵との戦いもこなす万能文化メイド。

 

 ……といきたいけど、わたしはどちらかと言うと、何をやっても微妙な感じの落ちこぼれのダメダメイドだったりする。

 ダメダメイドッ! うん、わたし、うまいこと言った!!

くろがねのキャラの外見イメージとしては、艦これの初霜やまいてつのハチロクが近いです。


最近、艦これやってませんが、初霜ちゃんが嫁艦です。


心優しき小さな衛手、「わたしが貴方を護ります!」


未公開ですが、初霜主人公の二次創作物も塩漬けであります。

なので、くろがねのベースは初霜です。

パクリというより、下敷きです……キャラクターの作り方の一つです。


ひらがなで「くろがね」なのかは……漢字だとゴツいから。

初期タイトルは「くろ☆がね シューティングスター」なんて意味のわからないタイトルでした。


それにしても……黒髪ロングって、やっぱ最強だと思うんですが、どや?

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