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プロローグ「降りしきる雪の中で」

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 プロローグ「降りしきる雪の中で」

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 雪が降っていた。

 

 鈍色の空から。

 

 あとから、あとから雪が降りつもる。

 

 きっと本来ならば見慣れているだろう景色も白銀に染まって……。

 しん――と静まり返った音の無い世界。

 

 それは、まるでどこか違う世界に来たかのように感じさせる。

 

 倒れ伏せていた身体をかろうじて仰向けにすると、少しだけ楽になる。

 もうこの身体は寒さすらも感じなくなっているのか、顔に当たる雪や風の冷たさも感じない。

 

 今ので力を使い果たしてしまったのか、もう指一本も動かない。

 せっかく、首に巻いていた紅いアフガンマフラーが解けてしまって、近くにあった水たまりに浸かっている。

 ああ、汚れちゃったなぁ……宝物だったのに……そんな事を思う。

 

 最期に、青い空と風の匂いを感じたい……そう願って、最後の力を振り絞って病院を抜けだしてみたのだけど。

 季節外れの大雪が、そんなわたしのささやかな願いを叶わないものとした。

 

 はぁっと深い溜息を吐く。

 たぶん、このまま目を閉じて眠りにつけば、もう二度と目覚めることもないだろう。

 自分の身体のことだから……それくらいは解る。

 

 余命一年と宣告されてから、もう二年の年月が過ぎた……我ながら、しぶとく持ちこたえたものだ。

 もういいかな……と思う。

 

 苦しいや痛いのももうたくさん……。

 もちろん、思い残したことや、やりたかったことが無いといえば嘘になる。


 けれどもう……いい。

 

 この二年間という延長戦のような年月は……神様がくれた奇跡だと言われた。

 でも、それは……わたし自身がこの世の未練から解き放たれる為の時間だったのかもしれない。

 

 かろうじて動く右腕をゆっくりと水溜りに浸かったマフラーに伸ばす。

 このマフラーはお母さんがくれた大事な宝物……泥に塗れたままにするのは忍びない。

 それにささやかでいいから温もりが……欲しかった。

 

 けれど、伸ばした手には何も触れることもなく……白銀の世界も揺らめき、徐々に視界が暗くなっていく。

 

 死に逝くもの、命が終わり果てるその先に……人の魂の行先はどこにあるのだろうか?

 

 このまま無に帰ってしまうのならば……わたしは死にたくないっ!

 

 覚悟なんて、とっくに決めていたはずなのに……。

 

 怖い……怖い……怖いっ! イヤだ……やっぱり死にたくない!

 こんなところで、誰にも看取られす、誰にもお別れも言えず……。

 

 一人寂しく死んでいくなんてイヤだっ!

 

 もしも、神様とやらがいるのならば、この理不尽な運命から救い上げて欲しい。

 何なら悪魔だって魔王だって構わない。

 

 わたしは……生きたいっ!

 

 けれど……そんなわたしの切なる最期の想いは……。

 この頬に降り積もる粉雪のように、一筋の涙と共に……儚く消えていった。

 

はじめまして、MITTと申します。

今作がなろう初投稿となりますが、塩漬け作品はなんか大量にあります。

それなりの回数推敲してますが、アラは取りきれてないかもです。


本作のコンセプトは小さくて可愛い女の子がいーっぱい!

なので、登場人物の大半が120-140cm台というちびっ子ですが、人外なのでセーフ!


主要人物名としては、鉱石や宝石の和名からいただきました…つまり、鉱石擬人化と言う新ジャンル!!


一人称視点が基本ですが、群像劇形式なので、他のメンバーや敵側視点、第三者視点などもあります。

基本時系列順に展開していきますが、たまに前後します。


初回はプロローグです。

なんか、悲しい始まりですけど、転生物での主人公の前世の生き様って重要だと思います。


次からは、本編。

ブラバはまだ早いんじゃなくて?

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