第五話「まおう軍!」④
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第五話「まおう軍!」④
---kurogane Eye's---
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それから……紫と紅も結構なやり手……。
基本二人セットなんで、二人がかりでもいいですか? 何ていうから、試しにお相手をしたけど、空中に大量のクリスタルの足場を作って、16体もの分身による三次元アタックとか訳わかんない事された。
最終的に、16人が一斉に飛びかかってきたんで、絶対防御ブロック発動で全員弾き飛ばして、勝ったと思ったら全部「残像だっ!」って落ち。
本命の本体は透明化してて、最後に突撃って、二段構えの策で来られて、かなりやばかった!
しかも時間差で二方向からと言う念の入れよう、けど、殺気を読んでダブルカウンターシールドアタック……両手に防御シールド生成して、攻撃に合わせてぶん殴る力技……で撃退できたけど……わたし、こんなんばっか!
絶対防御の解除の隙狙いとか……こっちの戦術しっかり研究してて……ホント、参った……こっちも良い教訓になったけど。
絶対防御も鋼お姉様直々の地獄の特訓の成果で、無意識に発動ではなく、ある程度意識して発動出来るようになっていたのだけと。
とにかく、発動中は見えない聞こえない状態なので、解除のタイミングが難しい……遠距離攻撃や全周攻撃には強いけど、連続攻撃や白兵戦には弱い。
連続発動時間の制限も、試した感じだと10分から30分とバラツキが多い……正直、まだまだ無敵には程遠い……と言うか、あまり頼らないようにしている。
ちなみに紫と紅の分身が攻撃してきたのは、実は剣だけ遠隔操作して、幻影をかぶせてたってからくりだった。
一人が剣の操作、一人が幻影操作担当……こんな感じで分担しているそうな。
攻撃力のある幻影による集団戦法で最大32人までいけるとか……二人一個小隊ですがな……それは。
あと、見た目は……紫の方は、サイドテール右で強気、紅は左で弱気……髪の色はそれぞれ紫と紅と名前通り……なんだけど、目の色は紫が赤で、紅が紫と逆になってる。
服装もこの二人は、他の二人と違って忍ぶ気全くなしの白ゴスロリ。
ニ身一体とか言って、基本セット……たまに二人くっつきすぎて背景に百合の花咲いてる。
いつでもどこでも、イチャラブな感じで……割りとガチな感じの百合姉妹。
……ぶっちゃけ、人のことはあんま言えないような気もするんだけど……。
姉の玻璃ちゃんですら、「この二人は二人の世界に生きてるから」とブン投げてる程なので、まぁ……関係としては普通?
ただ、なんかしろがねが変な影響受けちゃって、困ったことになっちゃったりしたけど……それは別の話。
それにしても、この水晶姉妹……戦い方がわたしと同じベクトルで卑怯、不意打ちなんでもありで、魔法の分むしろ強いんですけど……わたしの天敵?
……みんな、こえーです。
おまけに、玻璃ちゃん以外は、少し身体が大きいぶん、皆、ちゃんとおっぱいとかあるしさ……わたしとしろがねにちょっと分けて欲しい。
最後に魔術師組からは宝石系の筆頭金剛さんに、紅玉、蒼玉、翠玉、黄玉の四天王が総出陣。
ちなみに金剛ってのはダイアモンドの事で、山とか戦艦の名前じゃなくて、むしろこっちが元祖。
宝石→山→戦艦。
って順番に受け継がれた名前だったりする。
だから、別に砲塔背負って、巫女さんみたいなカッコはしてたりとかしない。
こっちの金剛さんは宝石の女王の名を冠するだけに、万能ぶっちぎりな感じの魔王軍最強の大魔法使い……魔王様の右腕とも言われるお方。
なお、この人は170cmくらいと一番大きい……メガネでいつも白衣着てる金髪シニヨンのインテリ女史風な感じ。
自称、非戦闘員の研究者だそうなので、あまり表に出てこないし、戦ってるとこなんて見た事ないけど、魔王様に次ぐ実力者らしい。
魔王様によると、玉四姉妹全員集めて互角……って、そんなの非戦闘員って言わないよっ!
そして、それぞれ火、水、風、土の4大元素魔術の最高峰に位置するのが玉四姉妹。
彼女達は、皆、お姉さん風な感じ……なんだけど、黄玉さんだけは、ちっこい……つまり、ナカーマ♪
キャラ的には、強気お姉さんキャラ……なんだけど少しちっちゃめ紅玉さん、のんびりぽわわ~んとした感じの蒼玉さん。
大人しくて真面目な凛とした武人タイプの翠玉さん……妹タイプのキャピキャピ系の黄玉さん……とまぁ、こんな感じ。
なんか知らないけど、皆、いつのまにか司令部要員に収まって、ワイズマン様の親衛隊みたいになってた……なんかずっこくね?
彼女達の使う魔法は軍勢をまとめて吹き飛ばすような超強力な奴……戦略級魔術とか言うらしい……をそれぞれが使いこなせるそうで、殲滅戦に入った段階では彼女達が主戦力となる。
彼女達は、むしろ目立った方が恐怖を煽る事になるだろうからと、わたし達のように隠密戦闘スタイルはなし。
堂々と姿を見せ、圧倒的な力で一方的に殲滅する……まさに魔王様の代理執行人。
その前の対魔導兵団への戦いの主力や例の首謀者たちとの戦いにも状況次第で参戦と、色々負荷が大きいと思われたんだけど。
金剛さんも参戦するんで、最悪の想定でもなんとかなりそうだって話。
翡翠や瑠璃ちゃんも元素魔法の使い手だけど、玉四姉妹は格が違うそうで、魔力も一桁違うそうな……。
ちなみに、わたしとは戦闘の相性が悪くて、向こうが嫌がってあんまり相手してもらえない。
マジック・キャンセラーって、魔術の発動段階で、後だしじゃんけんの要領で先に潰しに行くから、魔術師側にとってのわたしとの戦いは片っ端から魔法を潰され、逃げ回ると言う涙目状態になるらしい。
あとはこっちも雑兵がいるだろうって事で、その辺に撒けばニョキニョキと土塊で出来た兵隊が生えてくる魔王様謹製のゴーレムの種ってのを使って、1000とか2000くらいの雑魚軍団を用意するらしい。
前にわたしが戦った奴は騎兵型でこっちに突撃してきたくせに、ぶつかり負けて木っ端微塵になる程度だったけど……最新バージョンでは、大きさが3mくらいあって、4つ足の虫みたいな動きをするキモい奴になってた。
別に人形とか大きさに拘らなくてもよくね? ってなって、デカく素早く頑丈になったらしい。
基本的にジャンプしたり、走り回るとかそんな感じなんだけど、とにかく大きさはそれなりにあるので、軽自動車が暴走するようなもん……これが集団で敵陣に雪崩込めば……結構な戦力になるだろう。
数には数で対抗、どうせいくら潰れても惜しくないんで、積極的にガンガン突っ込ませればよろしいってそんな感じみたい。
さて……メンバー紹介と部隊編成、その配置、作戦概要としては、こんな感じ。
作戦参加人数は総勢17名。
人数は20名にも満たないけど、ゲートを連続稼働させたとしても、4人ずつ連続4回までと言うのが、今のゲートの性能と魔王様の魔力の限界で、これが今のわたし達が短時間で展開出来る人数としては最大の兵力となる。
はっきり言って、少ない……。
もちろん、数日間に渡って少しづつメンバーを送り込んで待機させるという手もあったけど。
人数が増えれば増えるほど、作戦開始前に発見されるリスクもあるし、皆だって、お腹も減れば喉も渇く。
持ち出せる物資も手荷物みたいな感じで持ち出すしかなく、実はこちらも補給については色々問題が多かった。
それに、煙が出せないので、煮炊きもまともに出来ない訳で……。
食料も携帯食中心になるし、お風呂とか贅沢は論外……なので長期間の屋外活動はなんだかんだ言ってキツイ。
現状、ゲート周辺警備に最低2人は常駐させるようにしているのだけど、偵察より警備任務の方がキツイというのがもっぱらの評判。
そんな訳で、無理して人数揃えるよりも、少数精鋭で、万全の状態のメンバーを送り込む……と言うのが現実的だった。
ちなみに、金剛さんは本人だけなら自力でゲート経由で転移できるらしいので、あまり乗り気じゃないところをむりやり出陣となった。
……本人的にはインドア派の研究員を自称してるんだけど、最強戦力の一角をサボらせるほど、うちには余裕はない。
当然ながら、魔王様がガス欠状態から回復するまでゲートは使用不可になるので、わたし達に退路なんてない。
イザとなれば、魔王城を浮上させるという事なのだけど、それは最終手段……魔王様に敵の手が届く可能性なんて作りたくない。
ある意味、背水の陣ではあるけど、どの道この戦いは不退転……わたし達には、勝利する以外に未来はありえないのだから。