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第五話「まおう軍!」②

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第五話「まおう軍!」②

---Kurogane Eye's---

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 日頃から、役立たずと卑下していたわたしですけどね。

 そこはそれ……わたしだって、やる時はやりますよ?

 

 という訳で拝命した特別訓練教官! くろがね、そろそろ始まっちゃったりなんかしての巻っ!

 

 何と言っても、わたしにとっては、隠密行動は生存性を上げるための必須重要スキル。

 なので、ゲームで散々やってむしろ、当たり前レベルに身体に染み付いている。

 スナイパーって奴は常に気配を殺し、敵に見つかってはいけないのだよ……ふふん。

 

 夜間、少人数、敵になるべく見つからず、確実に急所を潰す……この条件をクリアさせるための最低限のスキルを叩き込んで欲しい……これがワイズマン様からのオーダーだった。

 

 そのオーダーに応える為に、わたしは皆にとって地獄の訓練メニューを考案。

 

 まず暗闇の中でのハンドサインだけでの連携集団行動や夜間戦闘……各種隠蔽技能などなど。

 どれもこれも本来は数ヶ月くらいかかる所をむりくり詰め込みで、一週間程度のハードスケジュールにゴリ押し込んで……。

 

 ……おまけに皆は合間合間に偵察任務や通常業務もこなしてる訳で……当然、無茶苦茶ハードなメニューにもう文句たらたら。

 けど、そこはまがりなりにも精鋭……結果だけ言うとヘロヘロになりながらも何とか乗り切ってくれた。

 

 ちなみに、ここに来て披露した隠密戦闘スキル……これまで正面切っての戦闘訓練主体でイマイチだったわたしにとって、これは何と言うか本領発揮って感じになってしまった。

 

 これはどんな感じかと言うと……。

 気配を消すなんては当たり前、遮蔽物を使って姿勢も低くしての無音高速移動に、死角を付いた無音戦闘。

 正々堂々と背後からのバックスタブッ! って感じ。

 

 一方的にこっちのターンとか、不意打ちなら別に接近戦だって怖くないから、わたし的にはむしろこう言う方が向いてたっぽい。

 

 それに手加減もし易い、勝ち負けも分かり易いからね。

 後ろ取って、背中にタッチとか獲物をクビにトンっとか。

 戦士として、これは完全に負け……お互い実にわかりやすいし、痛くもない。

 

 この辺、他の皆は意外とお粗末で……だからこそ、本気で持ちうるスキルを叩きこんだ。

 返事はサーイエッサー以外は許さんとか、そんな勢いでっ!

 

 ……なにせ、ある程度でも隠密行動スキルを習得してくれないと、作戦自体が破綻してしまうから、わたしだって、超必死、責任重大だったんだからねっ! もう鬼軍曹みたいにだってなってやるさね。

 

 ちなみに、夜間戦闘訓練の一環でしろがねと真っ暗闇の中で一回戦ってみたけど、こちらを完全に見失ってたもんで、がら空きの背後から、そっと近づいてぎゅっと抱き着いてあげちゃった!

 だって、背後からポコッと叩いたり、しろがねの首に模擬刀と言えどナイフを当てるとか、なんか嫌だったんだもん。

 同じ勝つにしても優しく愛を込めて、その方がいいじゃないの。

 

 んで……珍しくしろがねへ完勝して、なんか無性に嬉しくなったんで、抱き着いたついでに、いたずら心でしろがねのぺったんこなお胸をがっつりわきわきと揉んでやった!

 

 そしたら……触りどころがちょーっとアレだったみたいで、なんか色っぽい声出された挙句にクタッと腰砕けになっちゃった。

 

 何と言うか……公衆の面前でやらかしちゃいましたぁ……うわぁ……。

 うん、もうやんないから……しろがね、まじゴメン。

 

 顔真っ赤にして、胸を隠してこっちをちら見しては、もじもじするしろがね。

 普段とちょっと違ってなんか、別口の可愛さがあって、わたしもなんかドキッとした。

 こ、こっちもそんな反応されると……正直、困るから……ね?

 

 ただ、この夜間戦闘訓練……わたしの予感が当たって、水晶組の娘達が猛威を振るいだした。

 わたしも玻璃ちゃん相手に予想外の大苦戦……暗闇の中で、お互いヒット・アンド・アウェイを繰り返す、忍者バトルみたいになった。

 

 しかも、この娘……水晶で出来た透明な剣を甘えんぼ袖みたいな感じにして隠し持ち、間合いを読めなくさせているのだ。

 この時点でもはやプロの暗殺者! 見えない斬撃を繰り出して、空中に見えない足場を作ってのワイヤーアクション張りのトリッキーな動きには翻弄されっぱなし!


 ……辛くも力技のカウンターシールドアタックで、玻璃ちゃんの獲物をブッ壊して、こっちの判定勝ちだったんだけど。

 しろがねとは違う強さとその気迫にタジタジでしたよ。

 

 試合放棄は……しませんでしたよっ! そんな事思う暇もないような猛攻だったもん。

 いやぁ……ほんと、手強い相手だった……玻璃ちゃんが敵じゃなくてほんと良かった。

 

 けれど、二番手の黒曜には完全に上をいかれて、逆に背中を取られた上に変な前例を見せてしまったせいで、黒曜に無表情で背中から抱きつかれながら、我がちっぱいをモミモミされたという結果に……うにゃぁあああっ!


 まぁ……わたしがどうなったかは、詳しくは言わない……。

 

 教訓:女の子同士で不健全な事は程々にしようね。

 

 けど、色々話を聞くうちに、この娘達、何気に錬成魔術を使えると聞いて、錬成仲間ゲット! と密かにガッツポーズ。


 例えば黒曜の場合、黒曜石のナイフを連続錬成……魔力線ってのでナイフを繋いで、ファンネルみたいに次々飛ばすって、大技持ってた。

 

 おおお、錬成使いならではの技って感じ……超かっこ良かった! わたしもやりたいっ!

 

 と言うか、そんな技、初見で対応できるわけがない……まさに初見殺しの非道技。

 正面からの多段連続攻撃でガードに集中した隙に、時間差で後ろから襲われた……でもって、例の屈辱の敗北。

 

 ……くっそー、そのうちこっちも大技身につけてやる。

 

 ちなみに、彼女自身は百合っ子とか、そんなでは無く……単にわたし達の駄目な見本を見て、背後を取って相手の胸を揉んだら勝ちと勝手に勘違いしてたらしい。


 むしろ、デモストレーションバトルで悪ふざけしたこっちが全面的に悪かったんだけどね。

 

 でも……玻璃ちゃんは、普通に勝ちに来てたのに……なんで彼女だけこうなったんだろう?

 その後、なんかお詫びとか言って、黒曜のあれやこれや触らせてもらったんだけど、彼女無口で大人しいクセに意外とナイスバディだった。

 

 何と言うか……ダブルパンチでショック。

 

 えっ? あれやこれや触るなって? だって触ったらどんな感じなんだろって、興味あったんだもん。


 そんなわたしは前世でもせいぜいAカップ……ええっ! ヒンヌー族でしたよぉっ!

 んと……感想? やわっやわ……でしたよぉ?

 

 とにかく、こんな調子ながらもひとまず……最低限の隠密戦闘スキルを叩き込まれた我らが魔王軍精鋭中の精鋭。

 

 僅か一月と言う決して長くない準備期間だったけど、それ以外にも進めていた様々な準備も完了し、こちらの体制はととのった。

 かくして、未だに延々と居座る外界の軍勢へ鉄槌を下すべく、ついに魔王軍の出撃の日がやって来たっ!

 

 作戦参加メンバーと作戦の流れを説明すると……。

 

 黄金、鋼の両姉様達……これは当然、安定の人選。

 この二人は……なんでも、特別任務って事で東の隅っこに陣を張ってる騎兵集団に2人だけで当たるらしい。

 

 詳しいことは機密事項だとかで教えてもらってないし、その軍勢については2人に任せて他は一切手出し無用と言われてる。

 

 それとわたしこと、くろがね……まぁ、訓練教官なんてやっちゃった以上、必然的にそうなるんだけど。

 なんとまぁ……現場指揮官まで押し付けられてしまった。

 

 実際の戦闘指揮はワイズマン様や魔王様が戦場を飛行型監視ゴーレムを使って俯瞰しながら、個別指示をするらしいので、あくまで現場主任って感じらしいのだけど。

 

 ちなみに、わたしとしろがねの配置は……と言うと。

 敵軍は東軍と西軍みたいな感じで2つの勢力の寄り合い所帯みたいな感じで、間に空白地帯みたいなのを設けている。

 その空白地帯へ陣取って、東西の連携を妨害する役ということになった。

 

 初の実戦でこんなのが役に立つのかなぁ……とか思ってたけど、その辺は……まぁ、一応考えてくれてたみたいで、伝令や偵察を妨害するって、ある意味地味だけど、重要な裏方任務が与えられた。

 

 まぁ、それについては別に不満はない……その重要性はよく理解しているから。

 

 まず作戦の基本方針として、西軍の方が数が圧倒的に多いようなので、そっちを集中的に叩くと言う方針となっている。

 東軍の方は……どうもその騎兵隊に超強力な伏兵がいる可能性があるとやらで、作戦開始当初はあえて手を出さず放置するとの事だった。

 

 ただそうなると、西からはなんでこっちばっかりやられるんだ! とか色々と猜疑心が湧くだろうし、東の方も攻撃されない理由がわからず、偵察とか伝令をじゃんじゃん放つだろう……そこで空白地帯にわたし達が居座って、伝令や偵察を次々撃破したら……。


 まぁ、敵は困る……それも非常に……その結果、東軍も動くに動けなくなるだろうとの予想だった。

 

 なにせ、攻めてこない理由が解らない……西の様子は遠目にしか解らない。

 仲も悪いみたいだから、助けに行く義理もない。

 そんな状態で動くのは自殺行為……となれば、守りを固めて動かないというのは順当な対応。

 

 動けなくなった末、例の切り札が動くかもしれない……切り札が動いたら、潜伏していた黄金姉様たちの出番。

 切り札を潰せれば、あとは西を叩いたあとからゆっくりと料理すればいいし、むしろ、勝手に潰し合ってくれる可能性も高かった。

 

 ちなみに、伝令も偵察も……基本騎兵が出てくると想定されていた。

 どちらも足の速さが必須なので、当然そうなる……わたしとしろがねの2人でその全てを阻止する……一見、困難なように見える。

 けれど、わたしにはわたしにしか出来ない必殺の騎兵対策があった。

 

 その秘策を持ってすれば、ほぼ確実に騎兵の突破を阻止出来る。

 

 どんな秘策かは……内緒。

 仕上げを御覧じろ……と言った感じかな。

 

 とにかく、わたし達金属系マテリア四姉妹は実質四人で東軍への対応をする事となる。

 わたしの配置もある意味、敵陣のまっただ中……危険なことには変わりなかった。

そろそろ、くろがねちゃんのターンって感じ。

乳揉み合戦とか、この娘達はなにをやってるんでしょうねー?

まぁ、楽しそうです…。


それと今回、玻璃ちゃんとくろがねの戦闘ダイジェストみたいなのが描かれてます。

実は彼女は主要キャラどころか、Eye's持ちのサブ主人公の一人だったりします。

くろがねの自称ライバルなんだけど、厨二同盟で魂の盟友です。


甘えん坊袖ってなんだって人は「巻雲」とでもググってください…あんな感じです。

キャラのイメージ的にも、割と近いかも…巻雲を白髪、赤目にして、ツリ目にして猫耳フード被せた感じですねー。

(注:それ原型とどめてない。)


彼女はモブどころか、初期プロットに名前が載ってなかったと言う…。

瑠璃ちゃんの相棒ってことで後付で作られたキャラだったりしますが、まさかのサブ主人公化。


ちなみに、玻璃ってのは石英とも言いまして…要はガラスの事です。

…昔の人はガラスにもお洒落な名前を付けてたのです。


「瑠璃も玻璃も照らせば光る」


こんなことわざがあったりします。

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