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第四話「明日の闘争の為に、今日から始めること」③

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第四話「明日の闘争の為に、今日から始めること」③

---Kurogane Eye's---

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 ひとまず、偵察隊のメンバーについて簡単に紹介しよう。


 彼女達……翡翠と琥珀の他に瑠璃るり柘榴ざくろって、やっぱり羽の生えた娘達がいて……。


 それと、水晶系マテリアって言う幻影魔法に長けた娘達が地上偵察班として動員される予定だった。

 玻璃はり黒曜こくようむらさきくれないって名前だったかな。


 名前の通り、水晶をベースにした娘達で、彼女達は直接戦闘力は高くないけど、なんと言うか、色々とトリッキーに策を弄する感じ。

 要するに正々堂々と戦わないタイプらしくあんまり評判は良くない。


 けれど、今回の作戦の話を聞いて、姉妹4人でワイズマン様のところに直談判にやってきて、自分達の能力なら絶対役に立てるって、志願してきた。


 リーダーの玻璃ちゃんって娘と色々話したんだけど、その戦闘スタイルは忍者みたいな感じで、おまけにプレデターみたいに、光学迷彩みたいなことまで出来るって話で……。


 むしろ、この娘達は絶対外せないって思ったので、わたしからも強く魔王様へ推薦……結果、地上偵察班として彼女達の投入が決定された。


 それにしても、魔法。

 ……空を飛んだり、電撃や火の玉飛ばしたり……透明になったりとか、訓練を通して色々見せてもらったけど、ホントスゴ技の数々……。

 どうせわたしには関係ない世界なんだけど……ほんと羨ましい。


「使いたいね……魔法」


 隣のしろがねがぼそってつぶやく、やっぱり思いは一緒らしい。

 けどまぁ、わたし達金属系マテリアは白兵戦ガン振りみたいな感じなので、どうにもならないんだけどね。


 魔力自体はむしろ高い方なんだけど、それが全部、防御とか身体強化のパッシブスキルに回ってる感じらしい。

 おまけに魔術の発動を妨害するマジック・キャンセラーって固有能力と、魔法攻撃を無力化する抗魔力と言うのが物凄く高いらしく……基本、魔法攻撃はほとんど通用しないらしい。

 なので、物理攻撃しかまともに効かない……。


 なんというか……ネトゲのタンクの理想形。


 わたし的には、ものすごーく能力値とスキルや適性がミスマッチしてる気もするんだけど……ね。

 わたし……ジョブ的にも性格的にもガンシューターとか、レンジャーとかそんなだと思うんだけど……。


(白兵ガン振りで白兵がヘタレって、どんな縛りプレイなのよ……もうっ! スキルリセットか転職したいっ!)


 ……加速なんて、便利なスキル持ちのしろがねが羨ましい。

 あれ、移動に回避、攻撃と……戦闘に関しちゃ超便利な万能スキルじゃない……うっらやましいっ!


「さぁて、くろがねっ! 二人が戻ってくるまでに、私達もお仕事、お仕事! ぼさっとしないっ!」


 そう言って、わたしの内心の嘆きをよそに、しろがねがわたしの肩を叩く。

 わたし達のお仕事……それは、そこら辺の瓦礫や城壁の残骸なんかを不自然じゃない程度に動かして、ゲートをカモフラージュすること。


 ゲート自体は、普段は半透明の水面みたいな感じのが垂直に立ってるような見た目で、不活性状態だと遠目だとまず解らないのだけど。

 近づかれるとやはり不自然極まりないので、丘に上がってすぐ見えてしまうようでは問題ある。


 なので、さりげなく瓦礫を動かして目隠しをしてしまおうという魂胆。


 幸い……敵はどうも、この丘の上には近づくつもりがないらしい。

 あくまで憶測なんだけど……いつ魔王城がここに浮上してくるか解らないので、危なっかしてくて近づけないってのが実情なんだろうね。


 きっと呪いがかかってて、入ったら死ぬとかそんな迷信の一つや二つありそうだし……実際、朝晩は霧が出たりもするみたい……。

 雑草なんかも生え放題で場所によっては、完全に視界が遮られるし、所々に蔦がお互い絡まって、タワーみたいになってたり……なんとも異様な雰囲気だった。


 それにしても、この瓦礫……めちゃくちゃ重たいはずなのだけど、ちょっと気合入れて両手で押すだけでゴリゴリ動いた。


 ……しろがねと二人がかりなら、相当な大きさの瓦礫であっても、動かせそうだった。


(ブルドーザー代わりになってるとか……どんだけハイパワーなのよっ! わたしっ! 花も恥じらう乙女なのに、乙女なのにぃっ!)


 この調子だと、車くらいなら片手で投げられる気がする。

 訓練で相手や自分の武器がポキポキ折れる訳だよ……。


 かくして、人間重機と化したわたし達の活躍で、目立たない程度にゆっくりちまちまと瓦礫を動かしてゲートのカモフラージュは完了。


 これで、塹壕でも掘ればちょっとした防衛拠点にもなる。


 続いて、偵察隊の皆が使う拠点探し。

 丘の上をウロウロ見て回ったら、天井が崩落した地下室跡みたいなのを見つけたので、ここを隠れ家に使えば良くね? ってなった。


 天井は布でも張って、軽く土盛って、その辺の枯れ草とか載せとけば、周りから見られてもすぐには解らないだろう。

 なんか、秘密基地っぽくていい感じっ! ゲートを使っての出入りって、魔王様頼みなので、あまり気軽に出来ない。

 だからこそ、待機や休憩用のベースキャンプは必須……これはいいところを見つけた。


 中に降りて、大きめの瓦礫だけしろがねと2人でぽいぽい外に放り投げて、とりあえず4-5人座れるくらいのスペースを確保。

 すみっこに階段状に瓦礫を重ねて、出入り口もばっちり。

 周囲を壁に囲まれて、敵陣からの視線を気にせず良くなったので、ちょっと休憩って事で2人並んで座り込む。


 持参してきた水筒に入れたあま~い紅茶をふたりで回し飲みする。

 ちょっとした重労働のあとだけに、甘さが身体に染み渡って、くはぁ~って感じになる。


 携帯食代わりにクッキーをもらってきてたので、2人で分け合って食べる……うん、これも美味しい。


 一息ついて、空を見上げると、文字通り満天の……空を埋め付くすほどの星空が見える。

 さっきまで気が付かなかったけど、結構時間が経っているので、きっと月が沈んで、空が一気に暗くなったのだろう。

 その光景は……感動的なほどで……思わず見とれてしまうほどだった。


「すっごっ! しろがねっ! わたし、こんな星空初めて見るかも! すっごいなぁ……降るようなって言葉がピッタリ!」


 思わず、立ち上がって感嘆の声が出る。

 だって、星空っても東京とかの星空の比じゃないんだよ? 

 星の並びとかぜんぜん違うとは思うんだけど、そんな事を抜きにしてもとにかく凄いっ!


「あはは……私は星空って、いつもこんなもんだと思うんだけどなぁ……。確かにこんな風にゆっくり見るのは久しぶりなんだけど……くろがねが前世で暮らしてた所って、星空は珍しかったの?」


「うん、夜になると星は見えるんだけど、街明かりのせいで星の数が全然少ない……。ほら、あのへんとかにあるちょっと大きめの星ってあるじゃない? あんながポツポツと見える程度。空気も汚れてるから、空自体霞んでるってのもあるけどね。山の上とか海の上とか……街からかなり離れないとちゃんとした星空なんて見えないんだって……。わたしは……街から離れたことなかったからね……実際にこんな星空見るのは、ほんとうに初めてかもっ!」


「そっか……星の光をかき消すような街の明かりって、その時点でどれだけ明るいんだろうって思っちゃうよ。わたしが知るかぎり……夜の空はいつもこんな感じ……やっぱ私とくろがねは……違う時代を生きてたのかなぁ……。」


 どことなく、寂しそうにそうつぶやくしろがね。


「そうだね……でも、今は一緒の時間を生きているじゃない……だからさ……しーろがねっ! ふふっ……。」


 そう言って、しろがねの隣に座ると、その肩に頭を乗せて寄り添ってみる。

 しろがねもニコリと笑うと、わたしの頭に頬を寄せて、そっと手を握ってくる。


 ……何と言うか、イチャラブカップルみたいな感じだコレ。

 ここで告ったら、キスとかしちゃう流れでしょ……確実に。


 だけど……こんなロマンチックで素敵な星空の下にいるんだから。

 もう彼氏代わりみたいな感じになってもらっちゃおう……。

 ひとりぼっちじゃこの感動もお互いの温もりだって、分かち合えないから。


 そんな感じで、戦場の優しくも貴重な時間が過ぎていった……。


 たぶん、わたしはこのしろがねと見た本物の星空を……生涯忘れられないだろう。

さて、今回はしろXくろのイチャラブ回です。(*´艸`*)


次回はしろがね視点です。

しろがねと言う娘も多面性を持った面白い娘です。

彼女も転生者なので、結構複雑な背景の持ち主だったりします。

転生者って、その背景も二倍って事なんですよね…キャラを掘り下げる主義の私としては、美味しい題材です。


今回、名前の出た娘達の何人かは主要メンバーってとこですが。

第一部を見直すと、モブ予定がメインキャラの一人になってたり、原案で主要メンバーだったのがモブ化したりと、なんともままなっていないのです…これが。


キャラクターってのは生き物なんですよねぇ…作者の言うことを聞かないなんて日常茶飯事です。

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