幕間 いろんな意味で設定資料集
黒を基調としたハルバードの置かれた机には、他にも様々な物品や本の山が置かれてあり意味ありげに置かれた冊子を手に取ってみると
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魔素の多次元的な性質を利用し、空間魔法などの三次元を越えた転移などの術式と魂へ干渉する精神魔術の併用で行う魂の『相互転移術式』に耐えうる肉体、および堕とす魂が受肉できるような肉体を構成するための人造人間の仕様書をここに記す。
「何気なく堕とすって言葉グサッと来るんだけど」
なお、単位は1アクアの立方体の一辺を1デシ。1アクアの重さを1ポンドとする。
「随分とまあ分かりにくいな、絶対会話で使わねぇからなコレ!」
体長 17.4デシ
重量 70ポンド
「俺の目測でだが、170cmチョイ、体重は……70kg程度なのか?」
また、人の魂の奥底に付随する言語を司る無意識の解析、さらに異世界の魂への言語的無意識の挿入には大陸での共通語を用いることとする。よって、森林族などの希少種との会話は不可能であると推定される。
「さらっと恐ろしいこと言ってね⁉︎
怖えよ、完っ全に心理操作じゃねえかっっ!!
つーかよく考えたら普通に喋ってるつもりなのに口が変に動いてキモい悪いしそもそもなんで今まで気づけなかったか分からねえけど兎に角気味悪りぃ!」
また筋繊維などは様々な魔獣の王種から構成されているので、人の魂では万全の力を発揮できないと思われる。
対応策としては、対応した魔獣である馬、獅子、蝙蝠、化猫、狼、鷹、龍王の魔石を取り込むことで完全なる力を発揮すると推定される。
「これがさっき言ってた魔獣とやらの因子を取り込めって奴か?」
具体的には、八脚馬の神経、獅子の筋繊維、蝙蝠の聴神経、化猫の内臓、狼の嗅神経、鷹の眼球の一部と視神経、龍王の血を使用した。
彼はさらに読むスピードを上げていき、ついに冊子を読み終えると
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(…………っと、これで最後か?)
____また、被召喚者はこの冊子の裏を見ること。
今までと違い、何か特別なことでも書いてあるのか?と思いながら冊子をめくると
____これ程のスペックがあるのだから、師匠が弟子に送る試練の一つや二つは乗り越えられるよなぁ?______
嫌味ったらしいようでいて、少し弾んだようでもいる文体の煽り言葉がそこにあった。
「ふっざけんなよクソジジィがァァァァ!!完っ全にお遊びじゃねえかァァァァァッッッッ‼︎‼︎」
少年の虚しい叫びはただ消えるのみ。
彼の波乱激闘の、十を三度掛け合わせた。
一千日の騒乱の日々が幕を開ける。