生きてしまった
死ぬはずだったけど
生きているあたし・・・
「キリコ、起きた? よかった」
あたしが目を開けて覚えているのは
お母さんのその言葉だけ。
後は、よく思い出せない。
朝になったみたい。
ぐっすり寝てたみたい。
起きたら、また涙が出そうだった。
死ねなかった・・・・・・。
今度こそ本当に死ぬと思って
お酒飲んだのに。
生きたらどうしよう?
なんて想像してなかった。
いや、でも
心のどこかで考えたんだ。
一瞬だったけど。
「もし、今度病院に行って先生に会ったら、何て説明しよう?」
「救急車で運ばれるとしたら、こんな服装じゃ恥ずかしいよね?」
「あ、入院するとしたらお財布とか用意しなきゃ!」
心の中では[もしも 再び 息をした場合]
を想定していた。
本当に死にたいと思いながら、
生きたいとも望んでいた。
そりゃ
できるものなら
生きたいよ。
楽しいことだってあるだろうからね。。。
例えば?
何かの映画で聞いたことがある。
確かウーピー・ゴールドパークが
「死にたい」と言う子供にこう言ったの。
「本当に死ぬの? もったいない!
あなた、31(サーティーワン)のアイスの味、全部知ってる?
全部名前言える?
あたしはあの味を全部食べるまで死なない!」
何の映画だったか忘れたけど
たしかに
人生には楽しいことも待ってるのかも。
お母さんが、何かあたしに話していた。
あんまり覚えてない。
友達のエイコが、何度もケータイの留守電に伝言入れてた。
それにメールもきてた。
《キリちゃん、なんで!? どうしたの!? 連絡ください》
エイコからは、このメールが何件もきてた。
留守電の声は震えてた。
今日生きると思っていなかったから
あたしは1日中、ぐぅたらしていた。
何かしなきゃと思いながら・・・・・・。