倭国神威伝ーIF:旅人がやらかす(アマテラス降臨)ー
第1話:アマテラス降臨
「よし(笑)。修正しに行くか」
「ノリノリですね」
「今日からお前は『天の鳥船』な。俺は『旅人』と名乗ろう」
「……了解です、アドミニ」
「旅人だって」
「……了解です、旅人」
「さて、こいつで行こう。名付けて、アマテラスAIロボだ」
「旅人、これは過剰性能です」
「俺つええ、したいからな」
「…アマテラスAIロボのスペックを表示します。」
身長1450mm
本体ステルスモードと併用した鳥船からのホログラム使用で、巨大化出来る(ように見える)
天の鳥船との同期で、天の鳥船からの攻撃が、アマテラスAIロボの攻撃に見える。
攻撃時は、八尺瓊勾玉(首から下げてるが)、意味もなくピカピカ光る。
物理近距離攻撃は、天叢雲剣。
輪郭に沿って不安定に光る。
攻撃ヒット時八岐の大蛇のホログラム発生。
物理遠距離攻撃は、八咫ブーメラン。
直径1mほど(八咫では無いが気にしない)
自力飛行しているので、敵をなぎ倒して戻ってくる。
アマテラスAIロボの背中が定位置。
「作成します」
ある日のこと、巫女達の合同での課題があった。日を祀り恩恵を受ける事。
この日は、卑弥呼も臨席し修行の一環といえど、皆真剣に努めていた。
其処に、天から光の帯が現れる。
その、光に導かれるように、一つの人影が降り立った。
胸に光る勾玉を抱き、腰には何やら立派な剣をはき、背に大きな鏡を背負っている。
「日の巫女の、祈りに応え、降りて参った『アマテラス』じゃ」
巫女達を見回した後、壱与に向かって
「む、そなたが光の巫女じゃな?」
壱与「ひゃい、ふええ、ひゃああ」
アマテラスAIロボ(以下ロボ)「うにゅ?どうしたのじゃ?どこか痛いのか?そうじゃ、『飴ちゃん』舐めるか?」
壱与「ふああ、甘い、美味しい」
ナツ(苦労症の巫女長)「お、おお、お待ちください。その者、未だ修行中の身」
ロボ「なんじゃ?お主も『飴ちゃん』ほしいのか?」
ナツ「これは、甘いぃぃ」
巻き込まれた卑弥呼が走ってくる。
「こりゃ、またぬか、待てと言うに」
ロボ「なんじゃ?ばあちゃんは走っちゃだめなのじゃ、『飴ちゃん』なら、まだあるから、慌てずともよいぞ」
卑弥呼「ナツ、其処におわすお方は何者なのじゃ。神か。神なのか」
ナツ「そ、それを、卑弥呼様にご確認いただきたく。」
卑弥呼『無茶を言いおる。妾も、神に会ったことなど無いわ』←心の声
ロボ「なんじゃ?飴ちゃんは、いらんのか?」
卑弥呼「は?飴ちゃん?…甘いぃぃ…神じゃ、神に違いない(神様安っ)」
ロボ「それで、じゃな、これらを、日の巫女に授けて行こうと思うのじゃ」
塩、味噌、醤油、清酒、酢、焼酎、麦芽糖、砂糖など、諸々を取り出す。
ロボ「これで料理を作れば、うまいぞぉ」
作り方は、追って知らせる故、準備をしておけ。と言い置いて、姿を消すロボ。
方然とする、卑弥呼達。
壱与「あの、あの、あの、卑弥呼様こ、こ、これ」
壱与の胸には、ロボとお揃いの八尺瓊勾玉が、淡い光を放っていた。
第2話:宇佐の地に高炉が建つ日
塩や醤油、そして謎の激甘物体「飴ちゃん」の衝撃から数日後。
宇佐の浜辺には、言葉を失って佇む卑弥呼、ナツ、そして職人たちの姿があった。
空から突如照射されたホログラムにより、全長数十メートルの巨大神様(※中身は145cmのロボ)がドーンと君臨している。背中の八咫ブーメランが意味もなくウインウインと高速回転し、首の勾玉がピカピカと眩しく輝いていた。
ロボ「ハーッハッハ! 日の巫女たちよ、元気にしていたか! 今日はなぁ、お前たちに『文明』という名の贈り物を持ってきたぞ!」
ナツ(苦労症の巫女長)「は、はひっ! 先日の甘味や調味料だけでも国中が大騒ぎになりましたのに、一体これ以上何を……!?」
卑弥呼(心の声『頼むからこれ以上妙なものを降ろしてくだされるな……胃が痛い……』)
巨大ホログラムロボがドカンと指を差した先。浜辺の空き地に、見たこともない巨大な煉瓦作りの塔と、謎の機械群が「ズドドン!」と音を立てて実体化した。
アマテラスAIロボ(旅人)「これぞ『高炉』! そして『反射炉』じゃ! ついでに『コークス炉』もセットで置いておいたぞ! これで今日から邪馬台国も近代製鉄の仲間入りじゃ!」
職人頭「こ、高炉……? はんしゃろ……?? か、神よ、これは一体何をする建物で……?」
ロボ「鉄を作るのじゃよ! カタツムリみたいな手押しポンプで風を送り、水車でギッタンバッコン回してな! 千歯こぎで稲をガリガリ削り、唐箕で風を起こして選別し、正条植えで効率UPじゃ! 船には縦帆を張り、荷物は猫車で運べ! これで生産性は数百倍じゃーーっ!!」
卑弥呼・ナツ・職人たち:
「?????????」
知識のオーバーフローを起こし、泡を吹きかける職人たち。
そこへ、巨大ロボの懐からパラパラと大量の上質紙(未来レベル)の紙に印字された(
作成/使用手順書・フルカラー図解付き)が降ってくる。
ロボ「これで鉄も作り放題じゃな! あ、原料の鉄鉱石と石炭は自分たちで用意するのじゃぞ? あと耐熱レンガも追加で自分らで作っておくのじゃ。備えあれば憂いなしじゃからのう!」
『『『『(貴方様が一番の憂です!!!!)』』』』
(卑弥呼、ナツ、職人全員の心が完全に一つになった瞬間であった)
ロボ「あ、そうそう! 一番大事なことを言い忘れておった!」
ロボがビシッとポーズを決めると、胸の八尺瓊勾玉が「ピカーッ!」と無駄に眩しく発光する。
ロボ「出荷する鉄製品にはな、必ず『Made in USA(メイド・イン・宇佐)』の刻印を打つプレートを忘れるでないぞ! 良いな! メイド・イン・宇佐じゃぞ!!」
壱与「め、めいど・いん・うさ……? 宇佐で作られた、神様のおしるし……?」
(※必死にメモを取る純粋な壱与)
ナツ「壱与様、真面目にメモを取らなくてよろしいのです! 神様、お待ちください! 我らにはまだ火の興し方すら……!」
ロボ「ではなー! 働けよー!!」
神様は一瞬で空の彼方へと消え去っていった。
残されたのは、静まり返る浜辺と、そびえ立つ近代製鉄プラント。そして呆然と立ち尽くす人々。
卑弥呼「……ナツよ」
ナツ「はい……卑弥呼様……」
卑弥呼「とりあえず……『飴ちゃん』なめて、落ち着こうか……」
ナツ「……そうですね。甘いものがないと、やっていられません……」
こうして、歴史上どこよりも早く「重工業化」を果たしてしまった邪馬台国。
数ヶ月後、大陸からやってきた魏の使者は、宇佐の港に並ぶ蒸気と鉄の機械群、そして『Made in USA』と刻印された鉄斧を見て、開いた口が塞がらなくなるのであった。
大和
「大王に図って、使者を出していただこう」
「さて、卑弥呼が来るか小娘が来るか」
オオタ「揃って来てもらえば良かろう」
「おお、流石オオタ殿」
ナツ「大和より、三輪のお山にて行う『日の大祭』に、日の巫女であられる卑弥呼様、壱与様に是非ご参加頂きたいと、使者が参っております。如何致しましょう?」
アマテラスAIロボ「祭りの誘いか?綿あめはあるかのう?」
ナツ「いや、これは大和の誘いでは無いかと、思うのですが」
卑弥呼「そうじゃのう、慎重に…」
ロボ「身重は1450mmじゃ」
壱与「さむっ!」
ロボ「…壱与が、成長しておるのじゃな」
ナツ「いや、そこじゃなくて」
ロボ「やらかしたら、『プチッ』とすれば、良いだけじゃろ?」
卑弥呼『出来るから困る』
ロボ「プチッとして来るわ」
卑弥呼「え?」
ナツ「え?」
壱与「え?」
三輪山拝殿
祀りの準備に努めるオオタ達の前に、トラクタビーム風の演出で降臨するアマテラスAIロボ。
オオタ「何者じゃ、ここは三輪の大神のおわす場所、許可なく立ち入る事まかりんならぬ」
「「「おお、さすがオオタ祭祀長!」」」
ロボ「ん?誘われたから、来てやったのじゃが?卑弥呼や壱与から聞いたでのぅ」
ロボ「オオタと言うたか?随分な年のようじゃが、そろそろ免許の返納も考える頃じゃぞ?」
オオタ「理由のわからんことを!邪馬台国の者か!」
ロボ「さっきから、そう言うておろう?理解出来ないのか?」
オオタ(顔が真っ赤)「黙って、聞いておれば、調子に乗りおって…邪馬台国の者如きが、三輪の大神様の、神威に…」
オオタの精神攻撃:アマテラスAIロボに0のダメージ。
オオタと祭祀達の攻撃:アマテラスAIロボに1のダメージ。
ロボ「敵対勢力からの攻撃を確認。プチッとな」
天の鳥船と同期した、アマテラスAIロボの攻撃:三輪山に99999のダメージ。三輪山は沈黙した。
アマテラスAIロボの攻撃:三輪山にクレーターが発生した。三輪山は既に死んでいる。
アマテラスAIロボの攻撃:クレーター底面に内行花文の刻印。三輪山は既に死んでいる。
アマテラスAIロボの…「飽きた」
時は流れ、昭和の世
『倭国神威伝』の記述は、多くの歴史学者によって「一部に史実も含まれているが、神話的誇張が多い」とされていた。
著名な歴史学者Aの所に、慌てたように駆け込んで来た助手A1。
「先生、これを! これを見て下さい!」
「何だね君、これ……が……なんだこれは! 巨大な内行花文……」
「ちょっ、先生落ち着い……ぐえ!」
「落ち着けだと!? これはなんだ? 何処を撮影した? 話せ、さっさと話せ!」
「三輪山です! 三輪山の禁足地を航空機から撮影……ぐえ」
「これは『倭国神威伝』に記載されている壱与の神威ではないか!」
「そう、そう思ったので先生にご覧頂きたいと……かっこいいですよね『太陽の誇りを此処に』って、萌えるでしょ?」
「き、君は何を言っておるのかね! これは学会がひっくり返る程の発見ではないか!」
「ですから壱与ちゃんかっこいいなと」
「はい、はい? いや、冗談などでは無く、航空機から撮影した……」 (助手を無視して、どこぞに電話中)
「おお、そうだA1君、その写真のコピーを作ってくれ給え。取り急ぎ50部で頼む」
「そうです、今助手にコピーを取らせて居ますので、明日にはお伺い出来ると……は? 今から? 来られる? あいや、不都合などとんでもない! ええ、ええ、お待ちしております!」
どうやら、駆けつけた先輩研究者Bを巻き込んで「ああでもない、こうでもない」と大騒ぎ。
さらなる証拠を求めて三輪祭祀に調査隊の派遣を打診するが、全て不発。
資料を残し、研究は一旦中断する。
また時は流れ、令和の世
時は令和。某大学の史学科研究室。
論文のデジタルアーカイブ化とクラウド整理を任されていた大学院生(C君)は、古いスキャンデータの奥底で謎のフォルダを見つけて首を傾げていた。
C君「『1970_三輪山_特秘アナグラム』……なんだこれ? 昭和のオカルト論文?」
中に入っていたのは、昭和の歴史学者Aが遺した未発表の論文下書きと、白黒の空中写真データ。
現代の画像解析ソフト(AI補正機能付き)でその写真を何気なく高解像度化してみたC君は、画面を二度見した。
C君「うわ、なんだこれ……。三輪山の山中に、直径数十メートルの『内行花文鏡』の図形がくっきり浮かび上がってきたぞ……? 雑コラ……いや、1970年のフィルム写真データか?」
半信半疑のC君は、データを教授(史学科の権威だが、ネットスラングにも詳しい)のもとへ持ち込んだ。
教授「ん? なんだねC君。君の担当は『魏志倭人伝における渡航ルートの再検証』だろう。変なオカルトに逃げるなよ」
C君「いや教授、これ見てください。昭和のA教授が残したクラウドの没データなんですが……三輪山の禁足地を高度から撮影した赤外線写真です。現代のグラフィックAIでコントラスト補正したら、これが」
教授「どれ……ん? ……んんん!? これ、内行花文鏡の幾何学パターンか!? いや待て、三輪山だぞ!? 植生でこんな模様ができるわけ……」
C君「しかもこれ、昭和のA教授の手書きメモが付いてて、『倭国神威伝における刻印と一致』って書いてあります」
教授「『太陽の誇りを此処に』のくだりか!? バカ言え! あれは『神威伝』特有の神話的誇張表現だってのが学会の通説だろ! 1000年以上風化しないガラス化クレーターなんて……」
C君「気になったんで、某地形サービスの最新のレーザー透過標高データ(LiDAR)で三輪山の該当座標を照合してみたんです。そしたら……」
C君がタブレットをタップすると、樹木をデジタル処理で取り除いた「裸地標高モデル」が表示された。
そこには、千年の時を経てなお岩盤が完璧な円形に落ち込み、底面に薄く幾何学模様の凹凸が残る「クレーターの痕跡」がハッキリと浮かび上がっていた。
教授「……マジで……ある……? え、クレーターの底、ガラス化してんの……?」
その日の夜。
事態は教授とC君の予想を超えたスピードで大炎上・大拡散を始める。
C君が興奮のあまり、鍵アカウントのつもりで「大学のクラウドからやばい写真出てきたwww 壱与ちゃんマジでレーザー撃ってた説www」と投稿したポストが、鍵の付け忘れにより一瞬でバズってしまう。
――
ネット民A「【朗報】邪馬台国のレーザー兵器、実在した」
ネット民B「『倭国神威伝』はラノベじゃなくて実話だった……?」
ネット民C「オオタ司祭、まじで『動いてしまいましたね?』されてて草」
ネット民D「動いてねえだろ? 削れただけでw」
ミリタリー系VTuber「三輪山クレーターの推定エネルギー計算してみたけど、これ軌道上からのパルスレーザーじゃないと説明つかないレベルでワロタw」
旅人「全部、天の鳥船の仕業」
ネット民B「磐船のほうかもしれんぞ?」
ネット民A「鳥船はちょっと軽そうか?」
ネット民D「いや、オオタのせいだろ、確定的に考えて」
ネット民E「壱与ちゃんの自作自演説も微レ存」
ミリタリー系VTuber「いや、そう言う問題じゃ無くてだな」
ネット民F「ラノベ脳乙」
旅人「あ、原因は確かにオオタのせい。海洋祭祀を馬鹿にされて、壱与ちゃんが切れたw」
ネット民D「それよw そうするとネット民Eの説も微レ存?」
菊池彦「倭国神威伝が真実だとすると……ご先祖様orz」
ネット民E「狗奴国
キタ━━━━(∀゜)━━━━!!」
ネット民D「オオタよりマシだって、たぶん>菊池彦」
ネット民E「大和
コネ━━━━(゜д゜;)━━━━!!」
ネット民F「お前、AA貼りたいだけだろw」
旅人「そっとしておいてあげなさい」
――
翌朝、大学の史学科研究室の前にはテレビ局の報道陣、自称・古代宇宙飛行士説のyoutuber、現地調査を要求する歴史ファン、そして青ざめた顔の大学広報担当が押し寄せていた。
教授「C君!! C君、C君! 君は何ということをしてくれたんだ!! 電話が鳴り止まんぞ! 学長から『我が大学はSFサークルになったのか』って怒られたんだぞ!」
C君「すみません教授! でも見てください! ドローン撮影の許可を求めるクラウドファンディング立ち上げたら、たった3時間で目標額の5000万円集まりました!」
教授「集めるな!! ていうか三輪山は禁足地だぞ! 調査許可が下りるわけ……」
その時、教授の部屋のドアがノックもなく開いた。
入ってきたのは黒いスーツを着た文化庁の役人と、なぜか宮内庁の担当者、そして防衛省の技術研究幹部だった。
宮内庁「……先生方。ネットの騒ぎ拝見しました」
教授「あ、いや! あれは学生の軽率な投稿でして! 科学的根拠はまだ……」
防衛省「いえ。我が省の人工衛星で該当座標を再スキャンしたところ、地下数メートルのガラス化層から、現在の技術では絶対に再現不可能な超高純度ケイ素結晶と、未知のパルス波の残留磁気が検知されました」
教授&C君「え……?」
文化庁「つきましては、特別調査班を結成します。『倭国神威伝』に記述されている『物の理』……および『天の鳥船』に関する記述の、全面的再検証を開始してください」
C君「あ、あの、禁足地なのですが、その……」
防衛省・文化庁・宮内庁「「「我々が出張って来た時点で、そのような障害が有ると?」」」
教授「C君、もちろん君も参加だよ(いい笑顔)」
宮内庁「ああ、クラウドファンディングの有効活用お願いしますね」
文化庁「大変助かります、我々も予算が限られておりますので」
C君「うえええぇ……」
教授「……結果オーライ……か?」
一方その頃。
地球軌道上(からちょっと離れた位相空間)。
『天の鳥船』のブリッジ。
旅人「うははは。見つかっちゃってるよ。ネットで大騒ぎだよ。ほら、トレンド1位『#壱与ちゃんのレーザー砲』だってさ」
鳥船「警告したはずです。千年は風化しないと」
旅人「いやー、令和の人間、地上レーザー探知(LiDAR)とか使うようになっちゃったかー。成長したねえ」
アイ『旅人様、地上の「学び舎」の末裔(現代の史学界)が、かなり混乱しています。フォローを入れるべきでしょうか?』
鳥船「と言うか旅人、書き込んでるじゃないですか」
アイ『え?』
旅人「フォローしといた」
光の中に消えていく『天の鳥船』。
地上では一冊の歴史書『倭国神威伝』を挟んで、現代の科学者と歴史学者たちが頭を抱えながら、新たな「物の理」の解明へと走り出すのだった。
C君「5000万なんて一瞬で終わったorz」
(了)




