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涼しげな音色が響くガラス風鈴

作者: きつねあるき
掲載日:2025/12/25

 このお話は、僕が幼稚園児の頃の出来事になります。


 僕は、園児の中でも背が低く、年齢よりも更に幼く見られる事が多かったのです。


 近所でも、お家に(まね)かれる事が多く、よくお菓子や果物を頂いていました。


 ある夏の日に、いつもはお呼ばれしない近所のお家に、僕1人で行く事になったのです。


 僕は、居間でお菓子を頂いた後、早々に帰ろうとしました。


 すると、近所のおばさんは言いました。


「すぐ帰って来るから、お留守番しててくれない」


 僕は、お菓子を(もら)った恩もあるので、素直にOKしました。


「それにしても、このお家って…」


 不思議に思ったのは、とにかく部屋が暗いという事でした。


 そこで、僕は縁側(えんがわ)に出てみたのです。


 軒下(のきした)には、青い花柄のガラス風鈴が()ってありました。


 屋外では、そよ風が吹いていたので、ガラス風鈴の涼し気な音色が心地よく(ひび)いていました。


 縁側に腰掛けて風鈴の音色を聞いていると、不意に眠くなってしまいました。


 気が付くと、僕は20代前半と思われる女性に、膝枕(ひざまくら)をされれたまま、頭を()でられていました。


 その女性は、色白で美しく、瑠璃(るり)色の花柄模様の浴衣(ゆかた)を着ていました。


「う、う~ん」


「起きたのね」


「ん、あれ?」


「ゆっくりしていていいのよ」


「ううん、僕はもう帰るよ」


「そんな事言わないで」


「あと5分だけでもいいから」


「うん、5分だったらいいよ」


 それからというもの、その女性は愛おしそうに視線を送ってきました。


「あぁ~、何て可愛らしいのかしら」


 数分後、その女性は言いました。


「もう帰っていいわよ」


「私は充分満足したから」


 すると、ここで近所のおばさんが帰って来ました。


「ガラガラガラ」


「ごめんなさいね、すっかり遅くなっちゃって」


 その声を聞くと、浴衣姿の女性は慌てて左側の部屋に入りました。


「あら、縁側にいたのね」


「うん、ここで浴衣のお姉ちゃんに膝枕をして貰っていたの」


「えっ、そんなまさか…」


「あっちの部屋に入って行ったんだよ」


 おばさんは、顔面蒼白(がんめんそうはく)になりました。


「あの部屋に入ってみるかい」


「う、うん」


 (ふすま)を開けると、さっきまでお姉さんが着ていた浴衣が衣桁(いこう)に掛けてありました。


「あれ、お姉さんは?」


「娘は若くして病死したのよ」


「あの子は本当に子供が大好きだったのよ」


 僕は、仏壇に案内されお線香を立てて熱心に拝みました。


「良かったら、これを貰ってくれないかしら」


 おばさんが仏壇の中を指差すと、そこには青い花柄のガラス風鈴が置いてあったのです。

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