表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シル・ストア~第1部 風の通り道  作者:
第1章 巡礼道での出会い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/15

07_救出

巡礼道を離れた場所で一人の男が追い詰められていた。

4,5人の追っ手の中にニヤニヤと笑う男の姿がある。

「しつこいぞ。全く。」

追われる男には追っ手の心当たりがあった。

自分の義母と異母弟、その親戚である。

マーデの名門の跡取りであった彼は父の再婚でやってきたマイセン家の親戚である義母にずっと命を狙われていた。

特に異母弟が生まれてからは段々見境が無くなってきており、父とその親戚達の手でハーレンに逃げてきたのだった。

「ちっ。」

足元の根っこにバランスを崩す。

追っ手の男達が彼を取り囲んだところで遠吠えがした。

「ヘルドックか!?」

男達に動揺が走るも丁度良いと言わんばかりに銃口を男に向けた。

「都合が良いな。あんたをここで始末して後は畜生が片付けてくれる。」

ニヤニヤ笑う男はアバヨと撃鉄を起こし、引き金に指を掛けたところで何かに吹っ飛ばされた。

周囲に白煙が舞う。

何事かと焦る囲まれた男は突然地面に押し倒された。

じっとして小声で言われ、何か布様なものを被せられる。

間を置かずして周囲に爆発が起こった。


「もう大丈夫です。」

男は自分を拘束していた少年に助け起こされる。

周りを見ると自分を取り囲んでいた男達が血だらけになって倒れていた。

そんな男達の武装を解除し、拘束するもう一人が振り返る。

「エセル・フリーダさんで間違いないですか?」

「ああ、そうだが、その名をどこで?」

彼は身元を隠すため、アレンと名乗っていた。

本名を知っているのは先導者だけである。

「緑の風団のリュークさんに貴方の救出を依頼されました。」

「リュークさんが・・・」

証拠のバンダナを見てほっと一息つく。

「リドさんは貴方の薬のお陰で命を取り留めました。」

その言葉に表情が明るくなる。

「彼は医者の治療を受ける為、イルナの村に戻りました。」

「良かった・・・本当に良かった・・・」


レノンが村の警備隊を引き連れてやってきたのでジーンはエセルを連れて緑の風団のいる野営地に戻る。

リュークはほっとした表情でエセルを抱きしめた。

「アレン、無事で良かった・・・」

「導師、ご迷惑をお掛けしました。」

エセルの言葉に先導者は首を横に振る。

「すまない、毒茸には気を付けていたがまさか村で売っている茸に毒を盛るとは思わなかった。」

エセルが訳ありなことを知っていた先導者は離れたもう一人の男の動向に気を配っていた。

まさか別口で毒入り茸が使われ、そちらの対応をしている間に連れ出されるとは想定していない。

実際にはこれ以上団のメンバーを巻き込まないために自分から離れたのだったが。

毒入り茸を口にしてしまった別の男達がエセルに声を掛ける。

「あんたのせいじゃないよ。悪いのはあいつらだ。」

「俺達はあんたのくれた解毒剤のお陰で助かった。」

そういう男達にエセルは頭を下げる。

「お詫びにこれを」と金を渡そうとしたが男達は首を横に振る。

「良いよ、それよりもここを離れた方が良い。」

「あんた、マーデの出身なんだろ。あそこの連中はしつこいから。」

そういう男達はジーンの顔を見る。

「坊主、どこか良い避難場所を知らないか?」

「地元民なんだろ。頼む。助けてやってくれ。」


困り果てたジーンと合流したムード、レノンは暫くエセルを預かることしてイルナの宿に戻る。

エセルを加えた4人は食事もそこそこに部屋に戻ってテーブルを囲んでいた。

「マルサイの毒か。あいつらどうやって持ち込んだんだ。」

「飛行船じゃないな。監視に引っ掛かる。」

「となると船か。アレストリアなら港の荷揚げにも監視が入っているはずだが。」

港周辺には巡視艇がでて荷の監視をしているが完全ではない。

沖合に船を泊めて小舟で上陸すれば気付かれないだろう。

ただし、街には入れない。

城塞を持たないトライオッドでも入り口には監視が置かれている。

危険物を持ち込めば監視に引っ掛かて警備隊の尋問を受けることになるのだ。

「どこかにその手の犯罪者のアジトがあるな。」

ムードがヤーレで受けた依頼に盗賊組織のアジトの摘発がある。

三人の会話におずおずとエセルが声を上げた。

「あの・・・手伝わせて頂けませんか?」

その言葉にムードは首を横に振る。

「あんたがレナ・カサルの人にしては鍛えているのは分かるが。」

「足手まといですか・・・」

「済まんな。」

「なら私を囮にするのはどうでしょう?」

「おい・・・」

「私は緑の風団の方に迷惑を掛けました。

ハーレンの人達が私達を信用していないのは知っています。

私達の同胞がこちらで迷惑を掛けていることも。」

そう言って下を向く。

「ですが、そういう人達ばかりではないんです。」

「知っている・・・後緑の風団の人達は皆あんたを心配していた。

態度は良いとは言えないがあんたが色々気を使っていたのは気が付いている。」

「そうですが・・・」

俯いたままのエセルにムードが言う。

「ただあんたを囮にする案は賛成だ。」

えっと顔を上げる男にムードは人の悪い顔で笑う。

「身代わりを立てる。」

閲覧、有難うございます。


よくあるお家乗っ取りが裏にありました・・・

このマイセン家とシル・ストアは因縁があります。

まだ話には出てきていませんがムードの従妹のミオもマイセン家の横槍が原因でハーレンに逃げてきています。

多分祝いの膳に参加していた筈・・・


男達を吹き飛ばしたのは粉塵爆発。

火薬性の銃を持っているのに気付いたジーンは小麦粉を撒いて防弾布を被せて伏せました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ