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シル・ストア~第1部 風の通り道  作者:
第1章 巡礼道での出会い

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04_バイクに乗って2

翌日、準備を終えてヤーレの噴水広場の前に3人は集まった。

ヤーレ内の移動は基本徒歩か層内を循環するトラムを利用する。

セキュリティーの問題で層間を移動するトラムは無い。

住人以外は利用できるのは来賓といえど第3層の外周区で、元首といえど余所の都市の第2層の内陣には入れない。

行商人達は運んできた荷を商業ギルドに預け、必要に応じで専用のコンテナに入れて内陣に運び込む。

このルートには生き物を通さない専用のセンサーがあり、内陣では犬猫はおろか小鳥と言えど飼うことは許されていない。

飼えるのは金魚や熱帯魚と言った魚だけだった。


シル・ストアの面々が装甲車を利用する時は歩行者が利用できない専用レーンを使用する。

今のところのバイクはこの専用レーンの利用が認められていないので全員トラムを利用していた。

「情報屋?ミオ姉の調査じゃ足りないの?」

ジーンの疑問にレノンが答える。

「ミオの調査で分かるのは何という名前の訪問者がいつ滞在して何を買ったかだけだ。」

「それで十分じゃないの?」

「お前、ジョンという名前の人間がどれだけ多いか分かっているか?」

レナ・カサルではジョンという名前は一般的で人混みの中に一人はジョンという名前に人が居る。

大き目の巡礼団なら3人4人居ても珍しくない。

前にジョンという名前の人だけの巡礼団というのもあった。

それを聞いてミオの調査結果を見直す。

・・・ここ一か月で訪れた訪問者の内、2割がジョン・・・

「普段よりもジョンという名前の訪問者が増えている。

問題の連中が隠れ蓑としてジョンと名乗っている可能性が高いな。」

そう言って何人かの容疑者ジョンの資料を見せた。

「こいつらの特徴を覚えておけよ。」


準備が問題ないことを確認して城塞のゲートを抜ける。

3人はバイクに跨って軽快に街道を駆け始めた。

「情報屋って第3通りの裏の店ですよね。」

「ああ、成人になったことだし戻ったら連れて行くよ。」

「お願いします。」

先行していた巡礼者の一団を幾つか追い越し、お昼前には最初の巡礼宿の村に着いた。

まずは情報収集のため役場に向かう。

ギルドから調査依頼を告げると受付は渋い顔をした。

「ええ、盗賊が原因と思われる失踪の話を聞きますよ。」

役場では出来るだけまとまって行動する様に頼んでいる。

周辺の村で何でも屋ギルドに街道の巡回を依頼していた。

巡礼者達の多くはアレストリアからヤーレまで乗合馬車を利用して移動する。

ヤーレから法王国まで、定期運航の乗合馬車は無いのでここからは歩くか馬車を雇うことになる。

巡礼者の中には金に物を言わせてアレストリアから馬車を雇うものがいる。

が、多くは態度が良くないのでしっかりした街道のあるヤーレまででその先は断られる。

また、そういう情報は馬車業者の間で共有されているのでヤーレから雇われるものはまずはいない。

この村でも不満たらたらで評判は良くなく彼らと一緒に歩こうと言う仲間がいない。

行方が分からなくなるのはこういう集団行動を嫌い我儘を言って周りから嫌われるような行動をしている者だった。


「金があるのを知って狙われているな。」

「ええ、そうだと思います。ここでもそう言う態度ですから。」

ジーンは首を捻って聞いた。

「お金があるならバイクとか装甲車を買わないの?」

「向こうじゃ乗っている奴も多いだろうけど、レナ・カサルとハーレンじゃ規格が違うから運転できない。」

「レナ・カサル規格の車とか持ってきたらモンスターに襲撃されて壊されてハーレンじゃ使えないよ。」

「それに車持っている連中に話に聞いたけど怪我とか急病人でもなきゃレナ・カサルの人間は乗せたくないって。」

「そこまで態度が悪いんだ・・・」

役場の人も揃って頷いた。

「乗合馬車の御者も言っていたけど、大多数の巡礼者は良い人だけど中には物凄く態度の悪いのが居るって話だ。」

「何か、自業自得って気がしてきた。」

「確かにな。だからと言って被害を見過ごす訳には行かん。」

「盗賊が増えると今度は真っ当な巡礼者達が狙われるからな。」

役場で狙われそうな巡礼者の情報を集めて3人は食事処に行った。


昼時の食事処は巡礼者で賑わっている。

トリスタン教徒の聖地のあるハーレンでは何故か信者は殆どいない。

巡礼者の大半はレナ・カサルの人間で大半は40代だ。

二十歳前に結婚して子育てが一段落した頃に思い立って巡礼の旅に出るらしい。

同席している気の良い巡礼夫婦の夫婦の話を聞きながら食事をする。

川魚の塩焼きに炒めた野菜、具沢山のスープとパン、ハーレンでは一般的な昼食だ。

美味しそうに料理を平らげる夫婦は言った。

「はあ、帰るのが嫌になるわ。」

「ああ、こっちに定住したいな。」

話を聞くとこのレベルの食事はゼ・ドナかデ・カサルじゃないと食べられないそうだ。

「美味しくないんだ?」

「ええ、こっちにきてビックリしたわ。」

「言葉が悪いがこんな田舎でこの値段でこれ程の料理が食べられるなんて、信じられないよ。」

そう言って顔を顰める。

「それなのに不味いだなんだって騒ぐのが居てこっちが恥ずかしくなる。」

レナ・カサルの人が全てそうだと思わないで欲しいと言って食事を終えた夫婦は出て行った。

閲覧、有難うございます。

ジョンは佐藤とか田中、一昔前の太郎みたいなものです。

アナ・ハルナでは名字は一般的でしたが現在の東ハーレンでは内陣の上層部位しか名字は使いません。

代わりに所属する組織名を名字替わりに使います。


なお、レナ・カサルの料理はゼ・ドナ、デ・カサル以外は不味いです。

特に都市ほど酷い・・・

田舎は新鮮な分まだまし。

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