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シル・ストア~第1部 風の通り道  作者:
第2章 北の辺境民

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閑話01_最初に見たものを

フレイの出会いの話

元は第0部側に掲載しようと思っていたのですがこちらに移しました。

時期的にはジーンが10~12歳の頃の話です。

「なんでだよ・・・」

「そうだね。」

ジーンはレノンと二人、デ・カサルから帰ったきたばかりのムードを見ている。


事の起こりは今から1年半程前、10歳になってEランク登録をしたジーンを連れて森に出掛けた時だった。

ヤーレの何でも屋ギルドでは森の採取品の買い取りは有資格者からしか行わない。

その為、ヤーレの森に住む辺境民達や何でも屋志願の者は皆子供の内に検定試験を受ける。

大体問題を起こすのは余所から来た何でも屋で無資格で採取したものを買い取って貰えず大騒ぎする。

真っ当なものはそこで無料の講習を受けるのだがそうで無いものはヤーレのギルドから出禁を食らうことになる。

ジーン自身もGランクの内に検定に合格しており、今まで依頼は受けれないが買取りはして貰えるので近場の採取活動をしていた。

※流石に奥まで行くとギルドの受付に怒られる・・・

今回は依頼でDランクのムードとレノンの3人で森の奥まできていた。

二人の役割はジーンの指導員である。

「この薬草の場合、色がこの位濃い状態で、大体この位置から切り取ること。」

レノンが採取対象を示して説明している。

対象は実の部分だが実だけを取ると傷むのが早いので手前の葉を2,3枚付けた状態で切り取るがルールである。

素早く切った枝の部分に濡れた布を巻き収納に仕舞う。

「うまいうまい、ジーンは慣れているね。」

うんうんと頷くムードにレノンが言った。

「少し前に街の子の指導員をしていたんだけど・・・」

街のそれも内陣出身の子供の場合、GではなくFランクから始めることが多い。

それまでまともに森にきたことが無いので見ていて冷や冷やしたそうだ。

「悪い子じゃないんだけどね・・・最後の方はかなり上達していたし。」

「もう一回実習を受ければ検定試験を受けても大丈夫じゃないかな。

真面目に座学も受けていたし、知識もちゃんとあったし。」

「ただ・・・経験が足りな過ぎて不安だ・・・」

ムードの言葉にレノンが笑う。

「そこら辺は受付が何とかするでしょ。」

「そうだね・・・」

ムードの様子にレノンとジーンは顔を見合わせて言った。

「どうしたの?」

ムードは周囲を見回し、首を2度3度振る。

「・・・誰かに呼ばれたような気がしたんだ。お前達は何か聞こえたか。」

「???僕は何も聞こえなかったけど。ジーンは?」

その言葉にジーンは首を横に振る。

「勘の良いジーンが気が付かないとなると俺の気のせいか・・・」

またムードが黙って周囲を見回す。


「こっちだ。」

ムードが歩き出したのでその後を二人で歩く。

こそっと隣のジーンにレノンは問い掛けた。

「ジーンは何か感じる?」

「・・・なんか先の方にいるみたいだけど・・・」

「どこら辺?」

ジーンは自分の背丈よりも高い位置を指す。

「敵意とかそういうは感じないけど。」

「その位置だと鳥かな?ヘルバードの巣でもあるのかな。」

そう言って歩いた先には大きな木の根元、頭の上にはヘルバードの巣がある。

親鳥が、こちらを見下ろしている。

見ているのはムード、何か会話をしているらしい。

「念話かな。僕達にも聞こえれば良いのに。」

「そうだね。早くマスターしたいよ。」


暫くして親が立ち上がった。

「危ない!!」

何を思ったのか卵の一つを巣から蹴り出したのでムードがそれを受け取る。

親はまた巣に戻り、卵を温め始めた。

「戻ろう。」

用は済んだらしくムードが元来た場所に向かうので二人は慌てて追いかけた。

「一体何だったの?」

「卵を産み過ぎて育てきれないから俺に育てろって。」

「何?それ?」

普通の鳥に比べヘルバードの雛が育つのには時間が掛かる。

シル・ヤーレの鳥達も雛が独り立ちするのに数年掛かるので人間との共存を望んで住み着いていた。

「それでその子は後どれ位で孵るの?」

ムードの手の中の卵を見つめてジーンが問う。

「5日程と言っていた。」


残りを採取をし終えて街に戻り、鳥のことは鳥に聞くのが一番とその足でシル・ヤーレに向かう。

その後、てんやわんやしながら無事孵った鳥はフレイと名付けられた。

1月後にムードは研修の為、デ・カサルに向かった。

ムードが戻ってくるまでフレイの世話をしてたのはレノンとジーンの二人。

「ひよこは最初に見たものを親だと思うって佳澄が言っていたけど。」

「今まで世話をしていたのは僕達なのに。」

裏切り者と言う視線を向ける先にはムードに甘えるフレイの姿があった。

閲覧、有難うございます。

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