02_風の谷を抜けて
「確かに風の谷だわ。ここ。」
暫く歩いてムードが言った。
小さな神々の遊び場なのか壁が有るわけでもないのに一定方向に風が吹いている。
3人とも風の祝福持ちなので風が纏わりつく様に髪を揺らしている。
時折どこか遠くの会話を伝えてくる。
「ギャー!」
悲鳴が聞こえてジーンは周囲を見る。
ムードも同様だがレノンは首を傾げている。
「兄さん、ジーンどうしたの?」
周囲を警戒していたムードは力を抜いた。
「レノンが聞こえていないということは神々の悪戯か。」
「そうだね。この周辺で僕達以外の気配は感じないし。」
姿は見えないが神々が遊んでいるのだろう。
例えそれが本物の悲鳴であったとしても3人が駆け付けられるところの出来事ではない。
そう切り替えて再び歩き始める。
「ジーン、見える?」
「何となく・・・」
ムードもレノンも存在は感じることは出来る。
神々がご機嫌だろうということも分かる。
「アナ・ハルナの人達みたいに会話出来たら良いんだけどなあ。」
ジーンの両親はちょくちょく会話していていたがジーンは出来ない。
ただ、分かる・・・ここには大量に神々がいることを・・・
途中で周囲を見回した。
高地なので火口湖周辺は草木は殆ど生えていない。
少し下がったので背の低い灌木がところどころ存在を主張している。
「ここが昔は谷だったんでしょうか?」
ジーンの言葉にムードは思案気な表情を見せた。
「ちょっと考えづらいな。ただここの地下には龍脈が流れている。」
龍脈と言う言葉は大昔の来訪者から齎された。
アナ・ハルナではそれをリアナの流れと呼び、龍脈は主に大地の力の流れを指して言う。
今居るは場所は綺麗に力が流れている。
この龍脈を乱すと魔物が発生するという。
レナ・カサルは初代マーデの頃、この龍脈が乱れて多くの魔物が生まれたらしい。
マーデとその子供達はその流れを整え、繁栄を齎したとされる。
そして、レナ・カサルにはそれを利用した遺構があるらしい。
3人ともレナ・カサルにはデ・カサルしか行ったことが無く、廃都の荒野は飛行船から遠くに見掛けただけだ。
向こうで仕事する機会が会ったら確認したいと話ながら龍脈に沿って山を下っていく。
暫く歩くとフレイの言っていた崖淵に辿り着いた。
「ここが終点か。」
「そうだね。ここから下に龍脈は続いているね。」
そう言って崖の下を覗く3人。
ここまで唄にあった石碑らしきものはない。
「どうする?ここから下に降りてみる?」
崖の高さは30mから50m程。
垂直と言う訳ではなく凸凹と足場もあるので3人の身体能力ならロープを使わずとも降りることは可能だろう。
「そうだな・・・ジーン、どうした。」
ジーンは崖下?のある場所を指して言う。
「あそこ、何か変じゃない。」
「どれ?」
そう言って二人はジーンの示す場所を見つめる。
特別何かあるようには見えない。
が、二人の顔色は変わった。
「確かに何か歪んでいるね。」
「ああ、あそこだけ力が濃い。」
「行ってみるか。」
「そうだね。」
3人は崖を慎重に下って歪みのある場所に近付いていく。
「ここか・・・」
その言葉が終わらぬ内にムードの姿が消えた。
「兄さん!?」
続いて少し先にいたジーンの姿も消える。
上空を飛んでいたフレイもまた歪みに突っ込んいく。
「ジーンにフレイまで・・・仕方ない僕も行くか。」
そうしてレノンの姿も消えた。
3人と1羽の消えた場所には風だけが吹いている。
閲覧、有難うございます。
普段の探索は身軽なジーンがメイン
ジーン、レノン、ムードの順ですが、
今回は正体が分からず荒事も予想されたので
ムード、ジーン、レノンの順でした。




