エピローグ 定期連絡
食事を終え、再びギルドに顔を出す。
「あー、ムードさん、連絡ブース、空きましたよ。使います?」
受付嬢の言葉にお願いしますと伝えて連絡ブースに3人は入った。
単なる窓口ではなく支部となると各地の支部との連絡が可能なブースが設けられている。
携帯用の通信機は無いわけではないが嵩張るので装甲車の様なある程度の大きさのある車両とか飛行船でもない限り通信は使えない。
そこで利用するのがこの連絡ブース。
この連絡ブースだが繋がる相手は都市にある他のギルドや有力な商会、主な機関に連絡できる。
都市の中では各家庭でも電話のあるところが結構あるが系統が違うため、他都市やギルド支部からは直接連絡が出来ない。
都市の交換手に連絡して呼び出す形になる。
他都市からでも直接話が出来るのはクランの特権の一つだ。
通話口のミオに報告書の送付と共に任務の完了を伝える。
評価はクランと当人だが、報酬の支払い先は個人ではなくクランにしている。
「報酬の取り分はいつも通り個人口座に振り込みを頼む。」
「了解。うん、報告は受け取ったわ。結構面倒なことになったみたいね。」
「ああ、そっちはどうだ。エセルさんと話は出来たか?」
「ええ、向こうにいた頃会ったことあるしね。」
「そうなんだ。」
「彼、結構有名人よ。マイセンの御曹司を押さえて在学中ずっと主席だとかマイセン宗家の末娘と婚約とか・・・」
ミオの話は長くなりそうなのでムードは打ち切る。
連絡ブースの使用料金は時間制で安い金額じゃない。
「分かった。戻ったら教えてくれ。」
「そうね。彼の頼みについてはこっちで何とかするわ。残りの調査もよろしく。」
「ああ、次はトーラから連絡する。」
ブース利用の単位時間が近付いたので通話を終了して連絡ブースを出る。
どうやら次が待っていた様で空いたブースに商人らしき人物が入っていった。
受付で認識票を使って料金を支払う。
ここでの料金は通信量ではなくブースの利用時間だ。
その為、報告関連は事前にまとめて圧縮して送っている。
ギルドへの報告も同様でこちらは非圧縮の状態で認識票を使って報告している。
この3人で一番報告書の作成がうまいのはジーン。
佳澄の両親から報告書の書き方を教わっているので早くて正確である。
元々、シル・ストアはキチンと文書で報告することで有名だったが、最近は特に報告書が読みやすくて正確ということで更に評価が上がっている。
その内、ギルドの講習に使われることになるかもしれない。
「あの人、色々謎だよね。」
ブースを出たので固有名詞を出すのを控える。
「レナ・カサル、それもマーデの人なのに祝福持ちだし。」
エセルが祝福持ちだと分かったのはシル・ヤーレに来てからだ。
マーデの出身ということで誰も持っていると思わず今まで確認してこなかったのだ・・・
「ハルナのそれもトリスタンの祝福ってバレたらすごく面倒になるんじゃない?」
「そうだね。トリスタン教徒には黙っていた方が良いだろうね。」
トリスタン教徒、特に巡回神父には祝福持ちが多いが、大半は他の眷属神である。
「そもそもトリスタンの祝福持ちってハーレンでも滅多にいないんじゃ無かったっけ?」
トリスタンが眷属神として知られるようになってから記録にある限り10人程である。
1000年近い期間で10人は相当少ない。
本人にその話をしたら何か心当たりがあるようだった。
3人は次に会ったら聞いてみようと思っている。
「それにゼ・ドナで習ったって言っていたけど向こうの人で収納使えるの相当珍しいって話だよ。」
レナ・カサルの何でも屋で収納を使えるものはそれなりいるが大半はハーレン出身かハーレンまたはデ・カサルで仕事をしていた時に覚えている。
謎だと思いつつもギルドの建物の外に出た。
「さて、報告も済んだし、もう一件の情報収集をするか。」
「そうだね。ジーンが覚えていれば良かったんだけど。」
「・・・ごめん・・・」
「気にするな。前に訪ねてきた親類の話じゃ生まれたのもこっちなんだろ。」
両親から聞いたのは自分は東の開拓村で生まれたということ。
その村の名前は聞いたが物心つく前に出ているので覚えていない。
ジーンの最初の記憶は船だ。
アレストリアからリソーナに向かう船で日の出を見たのが一番古い。
何故船に乗っていたのかリソーナで何の調査をしていたのか?
ジーンは両親から聞いていない。
5年程前に会った親類からも聞いていない。
そこら辺もまた知りたいことである。
「起点の山の水盤はラサ山の山頂の湖の可能性が高いからまずはそこに向かうとして何か情報は無いかな。」
3人はこの村の情報屋のいる酒場に向けて歩き出した。
閲覧、有難うございます。
旧版ではジーンは装甲車を使っていたので通信は可能でした。
今は3人ともバイクなのでギルド支部に寄った時位しか直接連絡する手段はないです。




