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シル・ストア~第1部 風の通り道  作者:
第1章 巡礼道での出会い

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10_巡礼道の合流点

ハーレンの地図は設定資料に掲載しています。

気になる方はご参照ください。

ジーン達は旧巡礼道との合流点の村に着いた。

遠くに法王国への発着所のあるトリムの街が見える。

この発着所は他と違ってハーレン各都市との便は殆どない。

あるのはアレストリアだけだ。

ここからハーレンの他の街に行く場合、デ・カサルかアレストリアに行く必要がある。

代わりにレナ・カサルの殆どの都市の直行便がある。

唯一直行便が無いのは何でも屋ギルド本部のあるゼ・ドナ。

この差はトリスタン教徒の信者数だと言われている。


「さて、ここのギルドに報告すれば二つの任務(ミッション)は完了だな。」

今回、ヤーレで受けた依頼は以下の3つ

・「北方調査」

・「巡礼道の巡回」:実態は行商・・・

・「巡礼道周辺の盗賊退治」

最後の一つは遭遇したらの任意課題だったが結構大掛かりな捕り物になってしまった。

エセルを襲撃した一団の他に二つほどの盗賊集団を捕縛した。

お陰で4日程度で抜ける予定の巡礼道を10日以上掛かって走破したことになる。

「歩くよりは早いけど・・・僕達の場合は歩いた方が早かった?」

「違いない」とムードが笑う。

彼等3人が全力で走れば1週間も掛からない。


バイクを仕舞ってギルド支部に結果を報告する。

査定結果と報酬については後日ということで一旦ギルド支部を出ようとしたところでムードは足を止めた。

二人は「どうした」とムードに問いかけ、視線の先を追うと6人程の一団が納品している姿がある。

草原(ステッペ)(リオン)だ。」

向こうもこちらに気が付いたらしい。

査定待ちになったところでこちらにやってきた。

「誰かと思ったらシル・ストアのムードか。久しぶりだな。」

「ああ、オーカも元気そうで、こいつは弟のレノン・・・」

互いにメンバーを紹介し、少し早いが食事でもということでオーカお勧めの食事処に行くことになった。


「やっぱりな。」

巡礼宿での一件を聞いてオーカは頷く。

食中毒を装った毒騒ぎを対処した彼らは違和感を感じていたのだ。

大体、巡礼団3つに対し、無差別で食中毒が発生したのだ。

通常は水の汚染を疑うが、問題が起こった野営地の近くには川は無い。

その為、先導が用意した水を使用して調理されている。

ついでに食材も先導が準備した。

巡礼団の先導は時間停止の収納持ちしか成れない職業だ。

扱いを間違えて腐らせるということは無い。

巡礼団で食中毒が起こるのは巡礼者が勝手に何か変なものを使った場合である。

が、今回の場合は3団とも帰りの団なのでそういう馬鹿なことする奴は居ない。

「被害にあった人達、皆働いて街道沿いの聖地をお参りしながら巡礼をしていたんで体力があったんだよね。」

治癒系異能持ちが言う。

「一人は70歳を越えていて、来たばかりの頃なら助けられなかった。」

毒を仕込んだらしき男は20代でアレストリアで頼まれたという。

食うに困ってハーレンに来たものの碌な職に就けず酒場で愚痴っていたところで声を掛けられたそうだ。

元気で楽しそうな老人達が憎たらしく、腹を壊せばいいと思って仕込んだとのこと。

致死量の毒とは知らなかったと供述している。

「蜥蜴の尻尾切か。哀れなもんだ。」

「そうだね。こっちは結構上の方を捕まえたと思うけどどこまで迫れるか。」

「統制が取れなくなって尻尾を見せる奴らを幾つか掴まえたけど・・・」

これで暫くは巡礼道は穏やかだろう。そう願いたいと話を締めくくった。


この村は猪の養殖をやっていてぼたん鍋が名物だ。

9人が囲むテーブルには簡易コンロに乗った大鍋がぐつぐつと煮えている。

「よく食べるねー。まあ若いんだしたんとお食べ。」

そう言って何度目かの追加の野菜とお肉の皿を持ってきた店員は鍋にだしを少し足した。

「〆が欲しかったら言っとくれ。スッテペさん達はうどんだったけどそちらは。」

「同じもので。」

とムードが答える。

来た時はまばらだった客席は満席だ。

が、次々に皿を空にし、追加を頼むので店としては有難い客だろう。

近くの席の客が積まれた皿の数に驚いている。

そろそろ〆に移ろうかというところでオーカが聞いてきた。

「クランを申請する条件に付いて教えてくれないか。」

「うん?クランの条件?スッテペのところはもう少し掛かると思うぞ?」

「それを目指して準備したいんだ。」

「なるほど。クランだと色々融通が利くからな。」

そう言ってムードは指を3本立てた。

「条件は3つ。

一つ、拠点があること。

二つ、構成員が10名以上で、必ず誰かしら拠点にいること

三つ、ギルドが認める実績があること」

そう言って、指を一つ折る。

「最初の拠点だがクランになるとギルドと直接繋がる端末が提供される。

それがあるとメンバーのギルドへの登録申請や依頼の受領に結果報告とかが出来るようになる。

それを設置できる場所と施設が必要と言うこと。」

レノンが補足する。

「拠点についてはギルドが相談に乗ってくれるから場所についてはそう心配しなくても良いよ。」

「二つ目の構成員だけど、人数もそうだけど常にギルドからの連絡を受け取れるよう待機要員が居ないといけないのが面倒かな。」

「大抵は引退した何でも屋かその家族が務めている。」

「最後の実績だけどこれは・・・まあ具体的なところはギルドの受付に聞いてくれかな。

大体Bランク位なら申請できるようになる。」

「たまに代表が引退してその子供が引継ぐなんていう場合、Cランクが代表になるなんてこともあるけどね。」

ふんふんと頷いている草原(ステッペ)(リオン)のメンバー達。

「クランだとギルドから色々情報を貰えるし、一般には公開していない依頼を受けれたりとメリットが多いけど・・・」

「多いけど?」

オーカの突っ込みにムードが答える。

「断れない指名依頼とかクランを維持するための実績作りとか面倒もある。」

「単なる何でも屋ならAランクにでも成らない限り指名依頼を断ってもペナルティは無いし、維持に必要な実績も少なくて済むんだよね。」

「家の祖父さん、それが嫌で親父に代表譲って引退したんだよね。」

「まだ若いゼンさんが何で引退したんだと思っていたけど、理由聞いても良いか?」

「爺さん、車作りが得意なの知っているだろ?」

「ああ、ゼンさんが作った車を持つのは何でも屋のステータスの一つだからな。」

何となく理由を察したオーカが言う。

「もしかしてそれの指名依頼が殺到したのか?」

頷くムードとリオン。

「うちは工房じゃないって言うのに・・・」

「親父の弟のギル叔父さんがデ・カサルで独立してクランを作ることになったっというのもあるけどね。」

「シル・サーレか。」

「そう。もし、向こうで行く機会があったら声を掛けて。」

「その時はお願いしよう。まあ俺達はここを離れる気はないけどな。」

閲覧、有難うございます。

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