裏話01_始まり
エセルさん、この話の裏主人公?
男性ですがよくあるドアマットヒロイン系です。
ただし、悪役達がざまぁされるのは20年以上後ですが・・・
※旧版参照
「エセル、生きて・・・」
傷付き、弱っていく母を看取ったのは何時のことだろう。
ミラ・マーデから領地に向かう車の事故。
それが事故ではなく事件だったと知ったのは何時だったか。
フリーダ家はミラ・マーデから南西に幾つかの村や街を治める名門と言われる家だ。
母の死後、レア・マーデの名門マイセン家の分家から後添えを押し付けられた。
父から家として正式に断ったにも関わらず、薬を盛って既成事実を作る。
生まれた子供が親子鑑定で血縁を認められる。
その為、子供だけはフリーダ家の籍に入れた。
マイセン家は嫁として受け入れを強硬に要請している。
それに屈する形で再婚したものの、後妻を領地には一切同行させていない。
まあ、本人も田舎を嫌って来ようとはしていないが。
そのお陰で領地でエセルは父を気兼ねなく会話が出来る。
結果、ミラ・マーデに居たら知ることのない様々なことを知ることができた。
「巡礼の旅ですか?」
領地の館で夕飯時、エセルは父の言葉に首を傾げる。
肉汁に味付けしたソースを茹でた野菜に絡めて口に運ぶ。
マーデ5都市では食料プラントで作ったエナジーキューブが主流でこうした料理を食べる機会はほぼない。
マーデの城壁内には畑もあり、農産物も収穫されているが都市の住人に行き渡るだけの量は無い。
その為、一部の上位貴族や教会の関係者以外は配給されるエナジーキューブを食べている。
フリーダ家も同様でミラ・マーデにいる時の食事はエナジーキューブである。
対する外の農村ではエナジーキューブの配給は無いか少ないので大体村で採れる野菜を料理している。
結果、レナ・カサルで、都市の住人から料理のスキルは失われ、農村で田舎料理が辛うじて生き残ることになった。
フリーダ家の領主館のあるこの街は領主が居るが故に他の農村と違って様々なものが残っている。
「ああ、お前を気付いているだろう。」
そう言って父もまた切り分けた肉を口に運ぶ。
味は年々落ちている。
料理人の腕が悪い訳ではない。
大災害によって流通がおかしくなり香辛料の類が手に入らなくなった。
そして村で採れる野菜の量も質も落ちている。
これでもフリーダ家の治める領地はかなりマシな方だ。
廃都から東に作物の実らぬ荒野が広がり、流民が増えている。
廃都の西、デ・カサル側は豊かな緑が見えるが凶悪なモンスター達が徘徊している。
モンスター達は廃都の荒野に阻まれてこちらに来ないと言われているが・・・
「デ・カサルはレナ・カサル都市同盟から独立を宣言した。」
「そうなりましたか。」
デ・カサルがマーデの干渉を嫌い、レナ・カサルのコアを破棄し始めたのが10数年前。
数年前、マイセン家の総主家の跡取りとデ・カサルの有力者の娘の婚約の申し入れが破談となっている。
何でも屋ギルドの本拠地であるゼ・ドナは元々都市同盟に加入していない。
レナ・カサルで最も活力のある都市が都市同盟を離反、マーデの支配力は落ち、残った側への締め付けは厳しくなるだろう。
「ここがいつまで持つかわからん。」
「だからハーレンに移住を考えていると。」
「そうだ。」
フリーダ家はマーデの名門だが独立・中立派でマイセン家の派閥ではない。
「あちらはどうするのです?」
「置いていく。というかそもそも行きたがらないだろう。」
「そうですね。」
フリーダ家をこのままここで守り続けるのは後妻の存在故難しい。
なので移住の際は離縁することになるだろう。
「弟はどうします?」
「本人に任せる。
まあ、家督をあやつに譲ることになるだろうがな。」
弟とは血縁はあるが後妻のせいで交流は殆どない。
見た目豊かなミラ・マーデしか知らぬ弟がマーデの、レナ・カサルの衰退に気付くのは当面先になるだろう。
学園に通っていたころはともかく卒業後は領地で過ごすエセルにとって後妻も弟も家族とは言える存在ではなかった。
「そうですね。それが一番良いのでしょう。」
エセルも父と同じく二人を見捨てることにした。
閲覧、有難うございます。
ジーン達はこの世界の住人でわざわざ常識を口にしません。
※佳澄もジーンと体験を共有しているので知識があり、聞いたりしない・・・
何でも屋として活動する時は、会話その他を高速言語で済ませ、周りには知られない様に振舞うため、地の文で説明しようと思ったのですが書いていて厳しくなりました。
そこで狂言回しと説明役でエセルさんを召喚




