おまけ
しばらくして――。
アンナとエヴァンはルミエール近くの公園を並んで歩いていた。
「そういえばさ、アンナにお礼を言うの忘れてた」
「え? お礼って、何のこと?」
「前にアンナからもらった『願いを叶えるリストバンド』、あれで願い事をしたら……ちゃんと叶ったんだよ」
「え!? 本当に? たまたまじゃない? で、何をお願いしたの?」
エヴァンはアンナの目を見つめると、少し照れたように顔を赤くした。
「……それは、秘密。でもまあ、一つ言えるのは、アンナのおかげってことかな」
「えぇ、何それ!」
アンナが眉をひそめて追及しようとするのを、エヴァンは慌てて話題を変えた。
「そ、それよりさ。あれってアンナのお義父さんが作った商品だったよな?」
「うん、作るのがすごく大変らしいけど……」
「そうか。実は――アンナのお義父さんの商売、うちで買い取ることにしたから」
「えっ!? 本当に!? どうしてそんなことを?」
「まあ……今後のこともあるしな。いずれちゃんと挨拶しに行かないとな、アンナのお義父さんに」
エヴァンの真剣な表情に、アンナは驚きながらも苦笑する。
「お義父さんは、ただのインチキ占い師だよ?」
「いや、そんなことないだろ。少なくとも、あのリストバンドは本物だった」
「……確かに、そうかもね」
アンナはふと考え込み、肩をすくめる。二人は笑い合いながら、公園の先へと歩いていった。