作戦開始
前回のあらすじ マーキュリー改めマリーから情報はもらう代わりにショゴスロードを倒す手伝いをすることになった。そして、キリトスは、マリーといい感じになるトオルに対して嫉妬した
キリトスがベットから起き上がり、大きなあくびをする。
「ふぁーあ、いい睡眠は目覚めを阻害するぜ」
「朝から何言ってんだよ」
「うるせぇよ、トオル。ていうかお前なんかデカく、、、」
キリトスはその事実に気付き驚愕する。
「お前、まさかだよな。なぁ、まさか。ネてるのか?マリーと」
「変な言い方するんじゃねぇよキリトス。手持ちがたりないから四人部屋にしたんだ。だから、仕方なく二人で寝ることになったんだろ」
「おん前が寝る必要はないだろ」
「キレんなよ。マリーが選んだんだから。嫉妬か?見苦しいぞ」
「わかってるよ。見せつけるなってつってんだよ」
キリトスが嫉妬を込めながら怒鳴る。
「クソが。トイレ行く」
キリトスの怒鳴り声を聞いてか、ラプターが目覚める。
「...うるさい」
「悪いなラプター、キリトスが怒鳴っちゃってさ」
「...ん。ん!?」
ラプターはキリトスと同様に驚愕し戸惑う。
「...ト、トオル。そ、それは?」
「ん?あー、マリーだよ」
「...なっ」
ラプターが怒った顔でトオルのベットに駆け寄る。
「ラプター、どうしたんだよ。引っ張るなって」
「...おい、女。トオルから離れる。俺のトオルだぞ」
「何言ってんだよ。ラプター」
ラプターがマリーの服を引っ張っていると、マリーが目覚める。
「うわーん、なんなんですか?ラプターさん」
「...俺からトオルを取るな。甘いものが食べられなくなる」
「なんだよ。そんな理由か。安心しろラプター、心配しなくても甘いものは無くなったりしない」
「...ほんとだろうな?」
ラプターの確認にトオルは静かに頷く。
「...ならいい。トイレ行く」
ラプターの張り上げた声を聞きハスマが起き上がる。
「どうかしましたか?」
「ラプターとキリトスがマリーと寝るなってうるさいんだよ」
「そうですか。仕事に支障をきたさないでください」
トオルは呆れる。
「はぁ、冗談きついな。そんなんじゃないって」
「まぁ、そういうことにしておいてあげますよ」
全員が目を覚まし、朝食をとる。決戦前だからか、その朝食はいつもより美味い。
「おい、ここらで山火事があったらしいぞ」
「なんだって、そりゃ怖いな」
そんな会話が聞こえてくる。
「ところで、マリー。ショゴスロードって、どんなやつなんだ?」
「ショゴスロードは普通のショゴスより変形が得意で、再生能力や単純なカもショゴスに優っています。ですが、大きさはショゴスと同じで知能はコピーした個体によって変わります」
「そうか、じゃあ触手の方はハスマと俺が対処して、燃やすのはトオル、ラプター、マリーでなんとかするって感じだな」
「そうだね。でも、どうやって燃やすかだね」
「わ、私が誘導をします。私ならバレないでしょうし」
「...ん、危ない。トオルの友達として協力する」
「いいんですか、ありがとうございます」
「じゃあ、作戦としてはマリーが誘導し、ラプターを追いかけさせる。そして、目的の場所に着いたらそこで、キリトス、ハスマ、俺の三人で油をかけ、ラプターが矢で火をつける。最後の抵抗で攻撃がきた場合はキリトス、ハスマがって感じで」
『了解』
四人が声を揃えていう。そこでトオルが少し考えこむ。
「どった?トオル」
「いや、少し用ができた。先に準備しててくれ」
各々が自分の仕事に必要なものを買い込む。そこに遅れてトオルが合流する。
「ごめん。遅れた」
「大丈夫。用事って?」
「これ、柑橘系の香りで鈍るって言ってたから」
キリトスがそれを手にとる。それはガラス細工に包まれた柑橘系の香水、その香りからかなり高いものだとわかる。
「これ、いくらしたんだ?」
「キリトスのつけの二倍くらい」
「たっかっ。ていうかそれだけのために宿屋代浮かしたのか?」
「そうだけど。意味あるか微妙だけどな」
「ちゃんと効きますよ。トオルさん」
マリーが頬をふくらせる。五人は適度に緊張しつつも、準備を進める。
「よし、準備完了だな。ていうか、どうやってショゴスロードの場所がわかるんだ?」
「ショゴスロードは集まれって感じの電波を出してるので、それを辿ればわかります」
「なるほど。で、どうやって誘導をすんの?」
「合流した時に少し形を崩して、それをたまたま狩人に見つかったってことにします」
「ちゃんと考えてんだな」
「二人で考えたんです。ねえ」
「...ん」
二人は自慢げな笑顔を浮かべる。その一方でキリトスは驚愕していた。
(マジかよ。あのコミュ症のラプターと打ち解けてる。コミュカお化けかよ)
「マリーって元人間のショゴスとか?」
「えっ、なんでですか?」
「気にしなくていいよ、マリー。キリトスの戯言だ」
(なんだ。心残りを感じる何か見落としてることがあるはずだ。ショゴス、ショゴス、ショゴス、ショゴス、、、。)
「あっ」
キリトスは深く考えすぎて、思わず声に出してしまった。
「どうしたよ?キリトス」
「統合されたショゴスって三人だろ。後一人はどうしたんだ?」
「あっ、そういえばそうだった。不確定要素は摘んでおきたいな」
「あっ、それなんですけど」
マリーが申し訳なさそうにモジモジしている。
「実は昨日の夜、近くに同族の気配を感じたので、会って見たんです。そしたら、彼も協力してくれることになったんですが、彼はショゴスとして、完璧に近い変形ができるけど、力が他の統合ショゴスより劣っているから私がいない間は自分がマーキュリーとして過ごすと」
「何気に1番いいポジションじゃん」
「それと彼とはリンクを繋いだので終わったら連絡して欲しいと」
「どうする。トオル、念のため殺すか?」
「まぁ別にいいんじゃない」
「僕はトオルさんの指示に従います」
「じゃあ、そろそろ行こうか」
トオルがそういうと皆は真剣な表情をして、足並みを揃える。戦うのは生物として圧倒的に格上けれども恐るものは誰一人いない。皆が一斉に森に入る。
「手筈通りに行こう」
『了解』だ。です。した。
皆が息を揃える。マリーはショゴスロードの出す電波に向かって、体の形を少し変形させながら近づく。
「お久しぶりです。ロードさん」
そこにいたのは白いローブを纏った銀髪銀目で長髪の神話に出てきそうな見た目をしたショゴスロードだった。見た目だけなら普通の人だ。だが、その圧倒的な存在感はショゴスロードの力の象徴でもあるように感じる。ショゴスロードは座禅を組んでいたが、目を開く。
「なんなんだお前は、その適当な変形をしている。敵にバレないとでも思い上がっているのか?」
「すみません。柑橘系の匂いを嗅いじゃって」
「ハッ、腑抜けが、ショゴスとしての誇りはないのか?私たちは偉大なる古きもの達から生を与えられたのだぞ。人の習慣や文化を理解するという使命を全うするために最低限バレないように柑橘系に注意し、退けることはできなかったのか?鼻の穴を塞ぎ鼻腔に侵入する柑橘系の香りを最低限減らす努力もできないのか?」
(こっ、こいつ。やっぱりとんでもなくうざい。言動一つ一つが感に触る)
「大丈夫ですよ。こんなところに人が通るなんて滅多に」
そこにタイミングを合わせてラプターが現れる。
「おい、ショゴス。言わんこっちゃない。バレてしまったぞ。殺せ」
「すみません。柑橘系のせいで力が」(トオルさんの柑橘系がここがたまたま使えた、トオルさんグッジョブ)
ショゴスロードが座禅を崩し、マリーに悪態をつきながら、ラプターを追いかける。
「この役立たずめ、なぜ我らが主である古きものはこのようなカスに命などを与えたのだ。ですが大丈夫です主よ、あんな者など居なくとも私目がおりますゆえ。あのようなカスは入りません」
ショゴスロードが木々を倒しながらラプターを追いかける。
(やっぱりこのショゴス本当にうざい)
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