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政治経済エッセイ

完全に空気な「最高裁判所裁判官の国民審査」について

作者: 中将

◇国民審査の制度概要



筆者:

 選挙権をお持ちの皆さんのところにはもう「期日前投票」の用紙が届き始めたころかな? と思います。


 本日は衆議院選挙と同時に行われている日本国民の権利でありながら全くの空気と化してしまっている

 

「最高裁判所裁判官に対する国民審査」


 について語っていこうと思います。



質問者:

 確かに選挙と同時に行われていますけど全く注目されていませんよね……。


 よく分からなくて白紙にしているんですけど……。



筆者:

 そんな考えの方々がほとんどだと思います。


 簡単に制度について説明しますと、

 日本の司法の頂点である最高裁判所裁判官について国民が罷免(簡単に言えばクビ)にすることが出来るんです。


 これは衆議院選挙と同時に行われ、

 投票用紙には、辞めさせたい人の欄に「×」を記入し、

「×」が有効投票の過半数に達した裁判官は、クビになります。


 対象者は、


 最高裁に就任してから一度も国民審査を受けていない、

 又は審査から10年以上経った裁判官


 のいずれかが該当します。


 今回は尾島氏、宮川氏、今崎氏、平木氏、石兼氏、中村氏の6氏が審査対象となります。



質問者:

 この制度で罷免された方っていらっしゃるんですか?



筆者:

 教科書などではこの「中学受験ナビ」と言うサイトからお借りした下記の図のように


 挿絵(By みてみん)


「国民の権利」などと真ん中にデカデカと書いてあることがありますし、

 テストで問われることもあると思うのです。


 しかしながらこの制度で罷免された裁判官の方は「ゼロ」です。


 しかも、これまでで「×」の割合が最も多かったのは、

 1972年に審査を受けた下田武三裁判官の15.17%だったようです。

 

 基本的には「×」は10%に満たないと審査される裁判官の方がほとんどのようですね。


 ちなみに下田裁判官は裁判官就任前には日米安全保障条約に関与。

 最高裁が尊属殺重罰規定を違憲とした際、ただ一人合憲の反対意見を出す。

 裁判官退官後は日本プロ野球のコミッショナーを務めたりなどかなりインパクトのある経歴の人物だったようで、ある意味“有名人”だったみたいです。


 ※ちなみに下田氏はコミッショナーとしてパリーグの指名打者制度(DH)を導入、

 球場を国際規格を基準にするなどと現在の野球の基礎を作っています。



◇分からないことは「評価できない」とする国民がほとんど



質問者:

 投票の過半数で罷免なのに、「×」の割合15%台が歴代最高って、全く意味をなしていないじゃないですか……。



筆者:

 そうですね。


 現時点ではこの制度は「投票用紙と集計手間の無駄」と断言できるレベルの空虚な制度と言って良いでしょうね。


 ちなみにこの裁判官罷免制度は世界にも稀な制度であり、アメリカの一部の州であるに過ぎません。


※ただしアメリカの場合は全ての州最高裁裁判官の任命を住民の投票で行うことが出来ます。



質問者:

 どうしてこんなにも無意味な制度になってしまっているんでしょうか……。



筆者:

 どうして国民が重要な権利をやすやすと放棄してしまうのかと言うと、


「裁判官について知らない」


 と言うのが一つと


「裁判とか難しいことは分からない」


 と思考を放棄してしまっているのだと思います。


 また、優しい方や責任感が強い方は


「無責任なことは(クビになってしまうため)したくない」


 と思ってしまっているのかもしれません。


 

質問者:

 確かに調べれば特設サイトなどで誰がどういう判断をしたのかって言うのは分かりますけどそこまで辿り着く人って僅かですよね。


 そもそも裁判について興味があったり、詳しく理解されている方が少なそうですから……。



◇現状は「無意味な制度」なので衆議院選挙に集中するべき



質問者:

 ここからはどの裁判官が良くないとかそう言う話になりそうですけど……。


 それとも制度を周知して関心を上げるという話からですか?



筆者:

 僕自身においては裁判官について個々の意見はありますが、


 今回は裁判官、過去の判断に関する小難しい話はするつもりはありません。

 

 皆さん、どうぞご自由に最高裁判所裁判官を審査して下さい。



質問者:

 えっ!? このエッセイの存在意義は一体……。



筆者:

 僕は「チョークポイント(物事の進行を左右する重要な部分)」を抑えたいと思っているんですよ。


 まず構図として最高裁判所の裁判官は内閣が選ぶんです。

 そうなると、仮にクビにすることが成功したとしても、

 似たような人間を内閣が任命してしまえば全くもって無駄になるわけです。


 そして内閣は国会から選ばれますので、

 国会議員とそこから選ばれる内閣総理大臣を事実上選任する、

 衆議院選挙のほうが何百倍も何万倍も大事だと考えるからです。


 つまり、形骸化されている制度や裁判官について語ること自体が


「あまり意味が無い」


 という事なんです。



質問者:

 むしろ、国民審査について考え過ぎることで、

 投票所に行くハードル(同時に行われるため)が上がっていくだけだということですか……。



筆者:

 そうです。


 このエッセイのタイトルからすると凄い本末転倒に思えるかもしれませんが、

 ここは「思考の断捨離」だと思って、皆さんは国民審査について一切考えなくて構いません。


 もちろん、本来であれば国民審査が機能するに越したことはありませんが、

 これまでの傾向からすると機能する可能性はゼロに等しいです。


 そうなると同時に行われている衆議院選挙の方が重大であり、

 皆さんのお住まいの地域の候補者を吟味していただいた方がよっぽど日本のためになります。

 

 自分で取り上げておいてアレですが、あんまり周知しても労力が無駄

 ――と言うか制度としても存在意義が全く無いと言えるでしょうね。



◇権力者が「大手を振る」ための制度



質問者:

 そうなるとこの「国民審査」って一体何の意義があるんでしょうか……



筆者:

 これは、裁判官のみならず国会議員もそうなのですが、

 選挙規制などの周りのシステムがしょぼいのにも関わらず、

「国民から信任されたと言う憲法のお墨付き」を与えてもらって、

「独裁制じゃないです」と大手を振って活動するためにある制度だと思うんです。



質問者

 実際は内閣、政党の上層部の一部の人間が日本国全体を牛耳っているという状態ですよね……。



筆者:

 権力者が絞られることによって腐敗は進みますし、

 アメリカや中国などの外国勢力、財務省などの緊縮財政勢力の「工作」もやりやすくなりますからね。


 衆院選挙は政権選択選挙でもありますから、投票に行くことが国民に出来る「チョークポイントを動かす方法」であり、この構造を崩す「最大のチャンス」なのです。


 そして、これを逃せば次の衆議院解散まで大体3年前後ぐらいはこの状況が続くという事です。



質問者:

 選挙戦の前半の状況を政治アナリストなどの考察ですと、

 石破政権の支持率は20%台。

 自民党単独過半数は厳しそうという事のようですが……。



筆者:

 僕は自民党単独過半数を切ることが今の日本国民のできる抵抗の成果として「最低限」だと思っているわけですが、

 まだまだ油断はならないと思います。


 2021年の衆議院選挙では「野党統一候補」によって自民党が勝てないと言われていたのですが、実際は現状維持に成功しました。


 今回は自民党に対する逆風はありますが、野党統一候補になっていないことから、

 まだまだ自民単独過半数の可能性は高いと僕は考えております。


 圧倒的な歓迎ムードの勝利で無くとも「相対的勝利」で問題ないわけですからね。

 

 野党が頼りないことは100も承知ですが、

 僕の過去のエッセイhttps://ncode.syosetu.com/n0358jq/を参考に投票所に行っていただければと思います。



質問者:

 あとは上の図で言うのなら「世論」として声を上げていくという事ですよね?



筆者:

 選挙期間中以外でもできる政府に対する抵抗としてはSNS上でもいいので発信していくことは大事だと思いますよ。


 意外と世論のご機嫌取りのような政策を取ってきますから全く効果が無いということは無いと思いますからね。


 という事でここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回は最高裁判所裁判官の国民審査は形骸化しており、

 この一件を考えるぐらいなら衆議院選挙の候補者を吟味した方が日本のためになるという事をお伝えしました。


 今後もこのような政治についてわかりやすく個人的な解説をしていきますのでどうぞご覧ください。 

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― 新着の感想 ―
新聞に挟み込まれる選挙公報に、各裁判官が過去の裁判でどのような判断をしたかが書かれているので、一応それを軽ーく読んではいますねー。
2024/10/17 19:58 退会済み
管理
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