缶コーヒー(400文字小説)
「だからいつまでもメソメソしてんじゃねぇよ!」
「うぅ……先輩すみません」
今日は仕事で大ミスをしてしまい先輩に迷惑を掛けてしまった。ショックで涙が止まらないよぅ。
「たく! これだから女は……ほれ!」
「わっ!! あ、有難う御座います……」
先輩は自販機で購入した缶コーヒーを私に放り投げて渡してくれた。あぁ、冷えた身体に温かさが沁みる。
「だいたいお前みたいなペーペーはミスしてなんぼなんだから、いちいち悔やんでいたら先が思いやられ……うおっ! あつっ!」
どうやら2つ目の缶コーヒーが予想以上に熱かったみたいで、先輩は地面に落としてしまった。んん? 違う。これは落ち込んでいる私を元気付けようと一芝居して下さったんだ! なんて優しいんだろう!
「たく、ツイてねぇなぁ……って、あちっ!! なんだよ! 落ちた衝撃で缶に穴が開いちまってコーヒーが漏れてやがる!」
「ふふっ」
――ほら、やっぱり。先輩は優しくてとても暖かい人だなぁ。