1-2 青年の願い
体調不良で寝込んでいました。これから投稿再開していきます。
家の中に入ると、そのままリビングに通された。リビングは丸型のテーブルと椅子が2つ、壁際には本棚があり、テーブルの上には飲みかけのコーヒーが1つある。また、ウッドデッキに繋がる扉もあり、その横には小窓があった。
おそらくここから僕らのことを見ていたんだろう。
すぐ隣はキッチンのようで、特に仕切りなどは無く、流し台や魔石コンロなどがあり、その隣に食器棚がある。
ちなみに魔石コンロとは、魔石に込めてある魔力を使って火を付けることのできるコンロのことで、一般的に普及している魔法道具だ。
「お茶を入れてくるから少し待っててね、そこの椅子にかけてていいから。」
そう言って彼はリビングの椅子を指差した。
「ありがとうございます」
「良いやつだと喜ぶぜ、俺が」
「こら、それに君は飲めないだろ」
「ははは…ちょっと待ってね、大したものは出せないけど…」
僕は椅子に座ると、すぐ横にカバンを置き、ネルをテーブルの縁に立て掛けた。
少しして彼がお茶を2つ入れて戻ってきた。
「はい、どうぞ。」
そう言って彼は僕の前にお茶を置く。
そしてふと思い出したようにこう言った。
「そう言えばまだ名前を聞いていなかったね。僕はアル。君たちは?」
「ティアと言います。旅人で、魔法使いです。こっちのはネル」
「ネルだ、こいつの相棒ってとこだな」
「魔法使い…実際に会ったのは初めてだよ」
少し驚いて、彼は言った。
「やっぱり珍しいんですか?他の魔法使いに会ったことなくて…」
「うーん…ここらへんではあまり見ないかなぁ…でも、大きな…それこそ王都とかに行けば結構いるらしいけどね。ほら 魔導試験とか行われるのが王都だから」
(魔導試験…確か王都で行われる魔法使いの格を決める試験だったっけ…)
特級、一級、二級、三級というふうに魔法使いの実力を見るものだったはずだ。
確か、それに応じて就職先とかが紹介されたり、ある程度の身分が保証される…とかなんとか…
(一度行ってみるのもいいかもしれない…)
そんなことを考えていると、なにか思いついたようにアルさんが声をかけてきた。
「そうだ!魔法が使えるなら、少しお願いがあるんだけど…」
「お願い…ですか、どんなことかによるけど…それでもいいなら」
そうか、ありがとう…と彼が嬉しそうに言った後、こう言った。
「僕の恋人を、探してほしいんだ」
寂しさと悲しさ、そして期待が入り混じったような声で彼はそう願った。
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